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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 話せない事情
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そうだよな。
上野の立場から見れば─────それはもっともな言い分だった。
「けどさ、それには夢野だって事情が─────」
「は?事情って?友達からお金を借りて未だに返してないのに自分は欲しい物買ってて、どんな正当な理由があるって言うワケ?」
そのせいで水森っちは未だに苦しんで悩んでるのに!?と上野は感情を隠そうともせず俺にぶつける。
俺は黙った。
夢野の身体に関すること─────それは言えるはずなんてなかった。
「あーし、佐々木っちとSNSで相互フォローしてるからさ」
そこから辿って水森っちのアカウントも見てたし彼女のSNSでの書き込みも知ってんだけど、と上野は怒りを滲ませた表情で続けた。
「『死にたい』みたいなネガティブなコト、投稿しては消してっての頻繁に繰り返しててさ。そんなの水森っちが見たらどんな気持ちになるかなんて1ミリも考えてなかったんじゃない?!」
またしても俺は言葉を詰まらせた。
確かに─────それはそうなのかもしれないけど。
夢野には夢野の抱えてるデカ過ぎる事情があって……でもそれは水森には言えなかった事なんだ。
誰にも相談出来なかった苦悩。
もちろん、今ここで俺がそれを上野に言う訳にもいかなかった。
「自分で自分の命を人質に取るような言動するヤツ、マジであーし大っ嫌いだから!!」
本気で軽蔑するし、と上野は吐き捨てるように言った。
「卑怯っしょ、そういうの」
違うんだ。
俺は首を振った。
「……そうじゃない。夢野はそんなつもりなんて全然無くて─────」
またしても秒速で俺の言葉を上野が遮る。
「“そんなつもり”があろうが無かろうが、結果的に水森っちを心配させて迷惑掛けてるじゃん!?悪気が無けりゃナニやってもイイってワケ?!」
『悪気は無かったです』で済めば警察って要らなくない?!と上野は俺を睨みつけるように言った。
上野はなんでこんなにキレ気味なんだろう。
何も分からず、俺はただ困惑した。
「……あのさ、上野。なんでそんなに怒ってんの?」
俺はおずおずと上野に質問した。
は!?と小さく叫び声を上げた上野はなんか怖い。
どうしたんだよコイツ……
意味がわからない。
「あーし、佐藤っちに怒ってんの!」
上野の言葉は意外なものだった。
「俺に?」
思わず反射的に聞き返す。
俺に対して怒ってるって?
なんで俺?
「水森っちと佐々木っちのハナシを聞いてまだ、彼女の肩を持つようなコト言ってるからよ!?」
─────二人の話を聞いたら、大人しく引くかと思ったのに、と上野は声のトーンを落として呟いた。
「やっぱり男子って胸が大きくてふわふわ可愛らしい、か弱い女の子の味方なんだ?」
どんなに間違ってるって解ってても、と上野は何かを思い出すように続けた。
「彼女のせいで水森っちがどんなに苦しんで悩んでても、佐々木っちが悲しい思いをしてたとしても─────それでも佐藤っちは彼女を庇うんだ?」
上野のその表情は─────今にも泣き出しそうにも思えた。
上野の立場から見れば─────それはもっともな言い分だった。
「けどさ、それには夢野だって事情が─────」
「は?事情って?友達からお金を借りて未だに返してないのに自分は欲しい物買ってて、どんな正当な理由があるって言うワケ?」
そのせいで水森っちは未だに苦しんで悩んでるのに!?と上野は感情を隠そうともせず俺にぶつける。
俺は黙った。
夢野の身体に関すること─────それは言えるはずなんてなかった。
「あーし、佐々木っちとSNSで相互フォローしてるからさ」
そこから辿って水森っちのアカウントも見てたし彼女のSNSでの書き込みも知ってんだけど、と上野は怒りを滲ませた表情で続けた。
「『死にたい』みたいなネガティブなコト、投稿しては消してっての頻繁に繰り返しててさ。そんなの水森っちが見たらどんな気持ちになるかなんて1ミリも考えてなかったんじゃない?!」
またしても俺は言葉を詰まらせた。
確かに─────それはそうなのかもしれないけど。
夢野には夢野の抱えてるデカ過ぎる事情があって……でもそれは水森には言えなかった事なんだ。
誰にも相談出来なかった苦悩。
もちろん、今ここで俺がそれを上野に言う訳にもいかなかった。
「自分で自分の命を人質に取るような言動するヤツ、マジであーし大っ嫌いだから!!」
本気で軽蔑するし、と上野は吐き捨てるように言った。
「卑怯っしょ、そういうの」
違うんだ。
俺は首を振った。
「……そうじゃない。夢野はそんなつもりなんて全然無くて─────」
またしても秒速で俺の言葉を上野が遮る。
「“そんなつもり”があろうが無かろうが、結果的に水森っちを心配させて迷惑掛けてるじゃん!?悪気が無けりゃナニやってもイイってワケ?!」
『悪気は無かったです』で済めば警察って要らなくない?!と上野は俺を睨みつけるように言った。
上野はなんでこんなにキレ気味なんだろう。
何も分からず、俺はただ困惑した。
「……あのさ、上野。なんでそんなに怒ってんの?」
俺はおずおずと上野に質問した。
は!?と小さく叫び声を上げた上野はなんか怖い。
どうしたんだよコイツ……
意味がわからない。
「あーし、佐藤っちに怒ってんの!」
上野の言葉は意外なものだった。
「俺に?」
思わず反射的に聞き返す。
俺に対して怒ってるって?
なんで俺?
「水森っちと佐々木っちのハナシを聞いてまだ、彼女の肩を持つようなコト言ってるからよ!?」
─────二人の話を聞いたら、大人しく引くかと思ったのに、と上野は声のトーンを落として呟いた。
「やっぱり男子って胸が大きくてふわふわ可愛らしい、か弱い女の子の味方なんだ?」
どんなに間違ってるって解ってても、と上野は何かを思い出すように続けた。
「彼女のせいで水森っちがどんなに苦しんで悩んでても、佐々木っちが悲しい思いをしてたとしても─────それでも佐藤っちは彼女を庇うんだ?」
上野のその表情は─────今にも泣き出しそうにも思えた。
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