377 / 1,060
ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 小さな従者と神託
しおりを挟む
険しい表情で俺を睨みつけていたのは、小泉の甥っ子のシンジだった。
相変わらず巫女の赤い袴を身につけている。
いっつも思ってたんだけどさ、神社に居る男って水色とかの袴なんじゃねぇの?
なんで女子用の袴?
「あ?何か用か?」
俺が聞き返すとシンジはますます表情を険しくさせた。
「何しにここへ来たんだ?」
なんか知らねぇけどコイツ、怒ってんのか?
「何って……センセェにちょっと話があっただけだけど?」
俺がそう答えると、シンジは手にした竹箒を握る手に力を込めた。
「用が済んだならさっさと帰れ!」
は?
なにキレ散らかしてんのこの小僧?
「ちょっと意味わかんねぇんだけど」
なんなんお前?と俺が軽めにメンチを切ると、シンジはなおもこちらを睨みつけて来る。
「最近、鏡花姉さんの様子がおかしいと思ったけど─────」
お前がトラブルばっかり起こしてるんだろう!?とシンジは俺に食って掛かるような勢いを見せた。
威勢がいい小僧だなぁ、と思いつつも俺は首をすくめた。
「俺じゃないっつぅの。同じクラスの女子がちょっと問題起こしててさ。それで今日は様子を報告に来てたんだよ」
確かに、いつもは俺が面倒を掛けてるかもしれねぇけど─────
今回は俺じゃないんだ。濡れ衣もいいとこだろ?
そこんとこはハッキリさせときたかった俺は、シンジに向かってそう答えた。
「お前じゃないって言うのか?」
シンジは信じられないと言った様子で俺を見る。
まあそうだよな。
今回だけが特殊な事情な訳で。
いつもは俺がトラブルの原因だもんな。
ともかく、とシンジは続けた。
「用が無いんならここには来るな」
おいおいおい、随分とご挨拶じゃねぇか。
「神頼みもダメだって言うのか?」
神社なのに出禁とかある訳かよ?
っていうか、神社が参拝客を選り好みするとか普通やらなくね?
「お前にここをウロチョロされたら迷惑なんだよ!」
シンジはキッパリと言い放った。
え?そこまで嫌われてるってどういうこと?
まさかとは思うけど、呪いの事とかバレてんの?
っていうか、コイツに神通力や霊感があって俺のことが判ってるとか?
俺が黙っていると、シンジは更に言葉を続けた。
「お前は鏡花姉さんにとって悪影響だ。出来れば学校でも近づくな」
は?
俺ってそこまで嫌われてんの?
「大体、昔から鏡花姉さんはちょっと不安定なんだ。黙って姿を消すことも度々あって─────」
そこまで言いかけてシンジはハッとした様子で口を押さえた。
「姿を消す?」
小泉がか?
不安定?
推しだのアニメ絡みの時のテンションは確かに不安定でハイな時もあるけど─────
俺が何か聞き返そうとすると、シンジは俺の背中を押した。
「いいから!とにかくとっとと出てってくれ!」
はいはい。わかったわかった、と言いながら俺はシンジに押されて神社を後にした。
結局、何が何だか意味がわからないままだったが─────
今度からここに来る時はなるべく目立たないようにしないとな、と思いつつ俺は神社を後にした。
相変わらず巫女の赤い袴を身につけている。
いっつも思ってたんだけどさ、神社に居る男って水色とかの袴なんじゃねぇの?
なんで女子用の袴?
「あ?何か用か?」
俺が聞き返すとシンジはますます表情を険しくさせた。
「何しにここへ来たんだ?」
なんか知らねぇけどコイツ、怒ってんのか?
「何って……センセェにちょっと話があっただけだけど?」
俺がそう答えると、シンジは手にした竹箒を握る手に力を込めた。
「用が済んだならさっさと帰れ!」
は?
なにキレ散らかしてんのこの小僧?
「ちょっと意味わかんねぇんだけど」
なんなんお前?と俺が軽めにメンチを切ると、シンジはなおもこちらを睨みつけて来る。
「最近、鏡花姉さんの様子がおかしいと思ったけど─────」
お前がトラブルばっかり起こしてるんだろう!?とシンジは俺に食って掛かるような勢いを見せた。
威勢がいい小僧だなぁ、と思いつつも俺は首をすくめた。
「俺じゃないっつぅの。同じクラスの女子がちょっと問題起こしててさ。それで今日は様子を報告に来てたんだよ」
確かに、いつもは俺が面倒を掛けてるかもしれねぇけど─────
今回は俺じゃないんだ。濡れ衣もいいとこだろ?
そこんとこはハッキリさせときたかった俺は、シンジに向かってそう答えた。
「お前じゃないって言うのか?」
シンジは信じられないと言った様子で俺を見る。
まあそうだよな。
今回だけが特殊な事情な訳で。
いつもは俺がトラブルの原因だもんな。
ともかく、とシンジは続けた。
「用が無いんならここには来るな」
おいおいおい、随分とご挨拶じゃねぇか。
「神頼みもダメだって言うのか?」
神社なのに出禁とかある訳かよ?
っていうか、神社が参拝客を選り好みするとか普通やらなくね?
「お前にここをウロチョロされたら迷惑なんだよ!」
シンジはキッパリと言い放った。
え?そこまで嫌われてるってどういうこと?
まさかとは思うけど、呪いの事とかバレてんの?
っていうか、コイツに神通力や霊感があって俺のことが判ってるとか?
俺が黙っていると、シンジは更に言葉を続けた。
「お前は鏡花姉さんにとって悪影響だ。出来れば学校でも近づくな」
は?
俺ってそこまで嫌われてんの?
「大体、昔から鏡花姉さんはちょっと不安定なんだ。黙って姿を消すことも度々あって─────」
そこまで言いかけてシンジはハッとした様子で口を押さえた。
「姿を消す?」
小泉がか?
不安定?
推しだのアニメ絡みの時のテンションは確かに不安定でハイな時もあるけど─────
俺が何か聞き返そうとすると、シンジは俺の背中を押した。
「いいから!とにかくとっとと出てってくれ!」
はいはい。わかったわかった、と言いながら俺はシンジに押されて神社を後にした。
結局、何が何だか意味がわからないままだったが─────
今度からここに来る時はなるべく目立たないようにしないとな、と思いつつ俺は神社を後にした。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
もし学園のアイドルが俺のメイドになったら
みずがめ
恋愛
もしも、憧れの女子が絶対服従のメイドになったら……。そんなの普通の男子ならやることは決まっているよな?
これは不幸な陰キャが、学園一の美少女をメイドという名の性奴隷として扱い、欲望の限りを尽くしまくるお話である。
※【挿絵あり】にはいただいたイラストを載せています。
「小説家になろう」ノクターンノベルズにも掲載しています。表紙はあっきコタロウさんに描いていただきました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる