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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 TALKING ABOUT SEX②
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「多分だけど─────『相手と繋がりたい』みたいな気持ちなんじゃないだろうか?」
“精神的な充足感”みたいなものを求めているとでも言うべきか、と小泉は視線を畳に移しながら呟く。
「『相手と繋がりたい』?」
そう言われてもピンと来なかった。
「それってさ……そんなリスク冒してまでヤる必要あんのかよ。自分の身体を危険に晒してんだぜ?」
それは、と小泉は言葉を濁す。
「『好きだから』って事じゃないのか?」
“好きだから”
その言葉は俺には空虚な綺麗事にすら思えた。
「それで自分の人生や身体がメチャクチャになってりゃ世話ねぇよ」
だってそうだろ?場合によっては二人分の命が無くなるじゃねぇか?
「そうだな。お前の言っていることは全くもって正しい」
小泉は声のトーンを落とし、俯いた。
だがな、と小泉は言葉を続けた。
「正論を言うことが必ずしも正しいことじゃないって事はお前が一番よく知ってる筈だろう?」
俺の思考は不意に停止した。
あれ?
なんだっけ、今の言葉─────
俺は─────
そこまで何かを思い出してるはずなのに、出てこない。
何だ─────?
「お前も以前は……人を好きになって同じように苦しんだんじゃないのか?」
人を好きになるのに理由なんて無いだろう?と小泉は追い討ちを掛けてくる。
人を好きになる。
俺がか?
「好きって……マコトの事か?」
そう言われてもピンと来ない。
一度だけ読んだあの文庫本。最初の一冊目だ。
俺はマコトを好きだった?
マコトも俺が好きで─────
それでセックスしたっていうのか?
俺は首を振った。
「そんなこと言われても全然わかんねぇよ。俺が誰かを好きになるとか─────」
あれは別の世界線のハナシで……
俺じゃない。
俺によく似た誰かだろ?
好きになったからセックスするとか言われてもさ、知らねぇよそんなん。
「だったら『ムラムラしたからヤリました』とか言われたほうがまだ納得できるぜ」
俺はもしかしたらムラムラどころか最高にイライラしてたのかもしれねぇ。
思い出したくないあの『文庫本』の内容を持ち出されたから余計にイラついてたのかもな。
俺は小泉にも同じ質問を投げかけてみた。
「さっきから偉そうなことばっか言ってるけどさ、じゃあセンセェはどうなんだよ?」
過去に彼氏とか居てセックスとかしたことあんのかよ?と火の玉ストレートにぶつける。
わかってんだ、小泉が処女で彼氏いない歴=年齢ってのはさ。
わかっててこんなこと聞くのって我ながら性格悪いって思うぜ。
けどさ、なんかイラついてしょうがなかったんだよ。自分でも訳わかんないくらいにさ。
小泉は黙った。
視線を逸らし、俺の顔を見ようとはしない。
ほらな、やっぱりそうだろ?
彼氏ナシの処女なのにそんなに威張ってさ、なんで俺に知ったかで語ってんだよって気持ちもあったんだよ。
だからちょっと意地の悪いこと聞いちまったんだよな。
けど、小泉のリアクションは予想外のものだった。
「─────好きな男子が居たんだ」
少し俯き、小泉は小さな声で呟く。
え?
小泉って彼氏居たの?
“精神的な充足感”みたいなものを求めているとでも言うべきか、と小泉は視線を畳に移しながら呟く。
「『相手と繋がりたい』?」
そう言われてもピンと来なかった。
「それってさ……そんなリスク冒してまでヤる必要あんのかよ。自分の身体を危険に晒してんだぜ?」
それは、と小泉は言葉を濁す。
「『好きだから』って事じゃないのか?」
“好きだから”
その言葉は俺には空虚な綺麗事にすら思えた。
「それで自分の人生や身体がメチャクチャになってりゃ世話ねぇよ」
だってそうだろ?場合によっては二人分の命が無くなるじゃねぇか?
「そうだな。お前の言っていることは全くもって正しい」
小泉は声のトーンを落とし、俯いた。
だがな、と小泉は言葉を続けた。
「正論を言うことが必ずしも正しいことじゃないって事はお前が一番よく知ってる筈だろう?」
俺の思考は不意に停止した。
あれ?
なんだっけ、今の言葉─────
俺は─────
そこまで何かを思い出してるはずなのに、出てこない。
何だ─────?
「お前も以前は……人を好きになって同じように苦しんだんじゃないのか?」
人を好きになるのに理由なんて無いだろう?と小泉は追い討ちを掛けてくる。
人を好きになる。
俺がか?
「好きって……マコトの事か?」
そう言われてもピンと来ない。
一度だけ読んだあの文庫本。最初の一冊目だ。
俺はマコトを好きだった?
マコトも俺が好きで─────
それでセックスしたっていうのか?
俺は首を振った。
「そんなこと言われても全然わかんねぇよ。俺が誰かを好きになるとか─────」
あれは別の世界線のハナシで……
俺じゃない。
俺によく似た誰かだろ?
好きになったからセックスするとか言われてもさ、知らねぇよそんなん。
「だったら『ムラムラしたからヤリました』とか言われたほうがまだ納得できるぜ」
俺はもしかしたらムラムラどころか最高にイライラしてたのかもしれねぇ。
思い出したくないあの『文庫本』の内容を持ち出されたから余計にイラついてたのかもな。
俺は小泉にも同じ質問を投げかけてみた。
「さっきから偉そうなことばっか言ってるけどさ、じゃあセンセェはどうなんだよ?」
過去に彼氏とか居てセックスとかしたことあんのかよ?と火の玉ストレートにぶつける。
わかってんだ、小泉が処女で彼氏いない歴=年齢ってのはさ。
わかっててこんなこと聞くのって我ながら性格悪いって思うぜ。
けどさ、なんかイラついてしょうがなかったんだよ。自分でも訳わかんないくらいにさ。
小泉は黙った。
視線を逸らし、俺の顔を見ようとはしない。
ほらな、やっぱりそうだろ?
彼氏ナシの処女なのにそんなに威張ってさ、なんで俺に知ったかで語ってんだよって気持ちもあったんだよ。
だからちょっと意地の悪いこと聞いちまったんだよな。
けど、小泉のリアクションは予想外のものだった。
「─────好きな男子が居たんだ」
少し俯き、小泉は小さな声で呟く。
え?
小泉って彼氏居たの?
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