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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 巫女とカフェイン
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俺はそのままの足で真っ直ぐに神社に向かった。
今日は小泉、バイトしてるだろうか。
社務所兼お守り売り場。
小泉はそこに座っていた。
「なんだ、お前か」
俺の姿を見ると小泉は怪訝そうな表情を浮かべる。
もしかして何か掴んだのか、という小泉の問いかけに対し俺は小さく頷く。
「そろそろ休憩しようと思っていたところだ」
[御用のある方は呼び鈴を鳴らして下さい]という札と呼び鈴を受付に置き、小泉は奥に引っ込む。
「ここじゃなんだから中に入って来い」
どこから話せばいいだろう。
思案しながら俺は靴を脱いで社務所に上がる。
「疲れているようにも見えるが?」
小泉はそう言いながら俺の目の前に冷えたモンスター缶を置いた。
神社の社務所、座卓の上に置かれたエナドリ。
こういう時ってさ、普通は茶とか出すもんじゃねぇのか?
なんで神社の巫女が社務所で客にモンスター出してくるんだよ。意味わかんねぇよな。
でも丁度いい。
飲まなきゃやってられないんだ。
缶を開け、1/3を一気に喉に流し込む。
小泉は俺の正面に座って、黙って俺の様子を見ていた。
こんなこと、できれば副担任である小泉の耳には入れたくなかった。
でも仕方ねぇよな。
事態はもう、俺一人でどうにか出来る範疇を超えてるんだ。
俺はなるべく冷静に─────
佐々木から得た情報や水森の事情、夢野の自宅で知り得た事柄を話した。
途中で混乱したり時系列が判らなくなったりもしたが、小泉は黙って最後まで聞いてくれた。
モンスターを飲みながら話してたんだが、終わる頃には缶は空になっていた。
一通り話し終わると─────
案の定、小泉は頭を抱えた。
まあ、そうだよな。
クラスの女子がこんなとんでもない事態を引き起こしてるんだ。
さっきは俺一人じゃどうにもならない状況だと思ったが、新任の小泉じゃ似たようなもんだろう。
俺らの手には余る問題じゃねぇのか?
「マズいな。事態はそう悠長にもしていられない状況だろう」
小泉は座卓の上をトントンと指で叩く。
しかし、俺は案外どうにかなるんじゃないかという可能性も捨て切れていなかった。
「なんかさ、さっき夢野が言ってたんだけどさ。妊娠検査薬って高い割に外れることもあるんだろ?じゃあ取り越し苦労って事もあるんじゃねぇの?」
陽性が出た後に生理が来たって言ってたし、という俺の言葉を遮るように小泉は全力で否定する。
「違う……!それはそういう事じゃない─────」
小泉は何か思案するような仕草を見せた。
「恐らくだがそれは─────化学流産という状態だったんだろう」
今日は小泉、バイトしてるだろうか。
社務所兼お守り売り場。
小泉はそこに座っていた。
「なんだ、お前か」
俺の姿を見ると小泉は怪訝そうな表情を浮かべる。
もしかして何か掴んだのか、という小泉の問いかけに対し俺は小さく頷く。
「そろそろ休憩しようと思っていたところだ」
[御用のある方は呼び鈴を鳴らして下さい]という札と呼び鈴を受付に置き、小泉は奥に引っ込む。
「ここじゃなんだから中に入って来い」
どこから話せばいいだろう。
思案しながら俺は靴を脱いで社務所に上がる。
「疲れているようにも見えるが?」
小泉はそう言いながら俺の目の前に冷えたモンスター缶を置いた。
神社の社務所、座卓の上に置かれたエナドリ。
こういう時ってさ、普通は茶とか出すもんじゃねぇのか?
なんで神社の巫女が社務所で客にモンスター出してくるんだよ。意味わかんねぇよな。
でも丁度いい。
飲まなきゃやってられないんだ。
缶を開け、1/3を一気に喉に流し込む。
小泉は俺の正面に座って、黙って俺の様子を見ていた。
こんなこと、できれば副担任である小泉の耳には入れたくなかった。
でも仕方ねぇよな。
事態はもう、俺一人でどうにか出来る範疇を超えてるんだ。
俺はなるべく冷静に─────
佐々木から得た情報や水森の事情、夢野の自宅で知り得た事柄を話した。
途中で混乱したり時系列が判らなくなったりもしたが、小泉は黙って最後まで聞いてくれた。
モンスターを飲みながら話してたんだが、終わる頃には缶は空になっていた。
一通り話し終わると─────
案の定、小泉は頭を抱えた。
まあ、そうだよな。
クラスの女子がこんなとんでもない事態を引き起こしてるんだ。
さっきは俺一人じゃどうにもならない状況だと思ったが、新任の小泉じゃ似たようなもんだろう。
俺らの手には余る問題じゃねぇのか?
「マズいな。事態はそう悠長にもしていられない状況だろう」
小泉は座卓の上をトントンと指で叩く。
しかし、俺は案外どうにかなるんじゃないかという可能性も捨て切れていなかった。
「なんかさ、さっき夢野が言ってたんだけどさ。妊娠検査薬って高い割に外れることもあるんだろ?じゃあ取り越し苦労って事もあるんじゃねぇの?」
陽性が出た後に生理が来たって言ってたし、という俺の言葉を遮るように小泉は全力で否定する。
「違う……!それはそういう事じゃない─────」
小泉は何か思案するような仕草を見せた。
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