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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 『少年の日の思い出』
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「……高校には行かないつもりだから。これはただちょっと」
もう一回読んでみたくなって、と水森は視線を地面に落とした。
え?
高校に行かないつもり?
水森が?
それは意外な言葉だった。
生真面目タイプの水森から出た言葉とは思えなかった。
しかも『少年の日の思い出』を“もう一回読んでみたくなって”?
俺は瞬時に考えを巡らせた。
確かに高校へ行かないってのも何か事情がありそうだが─────
それ以上に俺はこの本の方が気になったんだ。
なあ、『少年の日の思い出』ってハナシは覚えてるか?
教科書に載ってたんだけど忘れてるって奴も居るだろうし、学校によって教科書が違うって話も聞くからな。
読んでない奴や内容を忘れたって奴のためにあらすじを簡単に説明しとくな。
要は『友人であるエーミールのレアなコレクションアイテムの“蝶”を主人公が盗んだ挙句にうっかり破壊してしまう。謝罪するもエーミールに軽蔑されたので居た堪れなくなって自分のコレクションも全破壊して終わり』みたいなハナシだな。(ちょっと違うかもだけど大体こんなモンだと思ってくれ)
まあ、こんな感じだ。
コレってもしかして事件に何か関係があるんじゃねぇの?
そう思った俺は慎重に口を開いた。
「……なあ水森。違ってたら悪いんだけどさ」
もしかして、“エーミール”か“主人公”のどっちかに近い状況にあるのか?
ちょっとストレートにブッ込み過ぎただろうか。
俺は恐る恐る水森の顔を見た。
そうかもね、と呟いた後に少し皮肉めいた微笑を浮かべている。
「……貴方が知りたいのは別の事でしょう?」
あ、もしかしてバレてたか?
夢野のことを探りに来たって思われてる?
まあぶっちゃけソレもあるんだけどさ、と俺は更に慎重に受け答えする。
駄目だ、こういう生真面目タイプの水森相手だとさ、どうコミュニケーション取っていいかわかんねぇ。
「俺、水森自身の口からちゃんと聞きたいって思ったから」
俺は率直に思ったままを口にした。
もうどう駆け引きしたらいいかなんてわかんねぇ。
だったら単刀直入に聞くしかねぇだろ?
水森は驚いたように俺の顔を見た。
「……え?」
「だってさ、夢野だけに聞いたら片手落ちみたいなトコあるだろ?人間てのはどうしても自分の主観で話してしまうモンだし」
だから水森にもちゃんと話を聞かないとって思ったんだ、と俺はやや力を込めて言った。
「……佐藤君はくぅちゃんが好きで、付き合いたいって思ってるんでしょう?」
水森は手にした本に挟んである栞を弄りながら小さく言った。
だからなんでも全面的にくぅちゃんの話を信じてるんじゃないの?と小さく水森は呟く。
それはどこか泣きそうな声にも思えた。
いや、と俺は小さく首を振った。
「確かに俺は夢野のことが気になるから色んな事を何でも知りたいって思ってるけど……」
だけど、それでも水森の言葉で話して欲しいんだ。いい面も悪い面も全部ひっくるめてさ、と俺はゆっくりと言う。
そう、とだけ呟くと水森は再度視線を地面に落とした。
「そんな事を言ってくれたのは貴方が初めてだわ」
一方的に─────
無言の雰囲気のまま、あたしが悪いことになってたから─────
水森はそう言うと少し表情を柔らかくした。
もしかして水森は水森で何かとんでもない物を抱えてるんじゃないか?そんな気がした。
もう一回読んでみたくなって、と水森は視線を地面に落とした。
え?
高校に行かないつもり?
水森が?
それは意外な言葉だった。
生真面目タイプの水森から出た言葉とは思えなかった。
しかも『少年の日の思い出』を“もう一回読んでみたくなって”?
俺は瞬時に考えを巡らせた。
確かに高校へ行かないってのも何か事情がありそうだが─────
それ以上に俺はこの本の方が気になったんだ。
なあ、『少年の日の思い出』ってハナシは覚えてるか?
教科書に載ってたんだけど忘れてるって奴も居るだろうし、学校によって教科書が違うって話も聞くからな。
読んでない奴や内容を忘れたって奴のためにあらすじを簡単に説明しとくな。
要は『友人であるエーミールのレアなコレクションアイテムの“蝶”を主人公が盗んだ挙句にうっかり破壊してしまう。謝罪するもエーミールに軽蔑されたので居た堪れなくなって自分のコレクションも全破壊して終わり』みたいなハナシだな。(ちょっと違うかもだけど大体こんなモンだと思ってくれ)
まあ、こんな感じだ。
コレってもしかして事件に何か関係があるんじゃねぇの?
そう思った俺は慎重に口を開いた。
「……なあ水森。違ってたら悪いんだけどさ」
もしかして、“エーミール”か“主人公”のどっちかに近い状況にあるのか?
ちょっとストレートにブッ込み過ぎただろうか。
俺は恐る恐る水森の顔を見た。
そうかもね、と呟いた後に少し皮肉めいた微笑を浮かべている。
「……貴方が知りたいのは別の事でしょう?」
あ、もしかしてバレてたか?
夢野のことを探りに来たって思われてる?
まあぶっちゃけソレもあるんだけどさ、と俺は更に慎重に受け答えする。
駄目だ、こういう生真面目タイプの水森相手だとさ、どうコミュニケーション取っていいかわかんねぇ。
「俺、水森自身の口からちゃんと聞きたいって思ったから」
俺は率直に思ったままを口にした。
もうどう駆け引きしたらいいかなんてわかんねぇ。
だったら単刀直入に聞くしかねぇだろ?
水森は驚いたように俺の顔を見た。
「……え?」
「だってさ、夢野だけに聞いたら片手落ちみたいなトコあるだろ?人間てのはどうしても自分の主観で話してしまうモンだし」
だから水森にもちゃんと話を聞かないとって思ったんだ、と俺はやや力を込めて言った。
「……佐藤君はくぅちゃんが好きで、付き合いたいって思ってるんでしょう?」
水森は手にした本に挟んである栞を弄りながら小さく言った。
だからなんでも全面的にくぅちゃんの話を信じてるんじゃないの?と小さく水森は呟く。
それはどこか泣きそうな声にも思えた。
いや、と俺は小さく首を振った。
「確かに俺は夢野のことが気になるから色んな事を何でも知りたいって思ってるけど……」
だけど、それでも水森の言葉で話して欲しいんだ。いい面も悪い面も全部ひっくるめてさ、と俺はゆっくりと言う。
そう、とだけ呟くと水森は再度視線を地面に落とした。
「そんな事を言ってくれたのは貴方が初めてだわ」
一方的に─────
無言の雰囲気のまま、あたしが悪いことになってたから─────
水森はそう言うと少し表情を柔らかくした。
もしかして水森は水森で何かとんでもない物を抱えてるんじゃないか?そんな気がした。
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