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ep5.

ep5. 『死と処女(おとめ)』 ソロ行為

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ソロ行為。

それってそういうことだよな。

ヤバい、考え出したらこのことで頭がいっぱいになってしょうがねぇ。

「……そういうことってあるんだな」

俺がなんとなく呟くと佐々木が反応する。

「───── 一回やり始めるとクセになって辞められないっていう話も聞くわね」

「は!?やっぱそうなのか!?」

予想外の佐々木の返答に俺は戸惑ってしまう。

やっぱ女子でもそうなるんだ?!

いや、待て待て。

前にちょっと聞いたことあるぜ?

こういうのって男とは比べ物になんないくらい女の方が気持ちいいってよく言うよな。

「依存症みたいになって繰り返してしまうケースが多いらしいわ」

佐々木は冷静に言ってのける。

マジか。

やっぱりか。

だよな。そりゃそうだよな……

「俺、よくわかんねぇんだけどさ、やっぱそう言うのって……道具とか使ったりするのか?」

俺の質問に対し、佐々木は首を捻る。

「基本はそうでしょうけど……自分自身を酷く噛んだりとか、掻きむしったりとか……多種多様なケースがあるから一概には言えないわね」

「えっ!!」

随分と痛そうじゃねぇか。

いや、痛いことに意味があるのか?

痛いのなんか俺はご免だが……そうじゃない奴もいるのか?

むしろ快感なのか?

よくわからない。

俺の知らない事が多過ぎる。

俺は初めて知る概念に恐れ慄いていた。

「あのさ……こういう事ってさ……もしかしてだけど……お前もやったりする?」

俺は口に出した後、とんでもない事を聞いてしまったと後悔した。

いや、気を悪くしたならすまん、と俺は慌てて付け加える。

「わたしの事、心配してくれてるって訳?」

佐々木は驚いたように目を見開いた。

そうよね、こんな場所でこんな風に……保健室登校なんてしてたらそう思われても仕方ないわよね、と佐々木は俺の顔を真っ直ぐ見た。

「え!?」

確かにこの保健室ってコイツの私室みたいにはなってるが………

いや、流石にここではやらんだろ!?え?!違うのか!?

何気なく聞いたつもりがおれは何やらとんでもない地雷を踏んでしまったのか?

マジかよ。

確かに保健室は内側から鍵も掛かるけど……ベッドもカーテンもあっておあつらえ向きってシチュだけども……

え、ガチなのか?

俺はさっき質問してしまった事を後悔していた。

気軽に聞くような事柄じゃねぇだろ、こんなもん……

俺は頭を抱えた。

「でもね、実行しようとしたことはあるけど……出来なかった」

佐々木は小さく首を振った。

「色々と準備して……でも、途中で怖くなって」

佐々木は視線を床に落とす。

「そうか、やった事はないのか」

俺は心底ホッとした。

そうだよな、怖いよな。冷静に考えてこんな事。

「そうだよな、話聞いててもなんかめっちゃ痛そうだし……女子は特にそうだろ?最初は血だって出るんだから」

「そうね、手段にもよるけど出血もするでしょうし痛みも伴うでしょうね」

……なんであんな事しようとしてたのか、と佐々木は俯いた。

よく考えたら女子って大変じゃねぇか。

平常時でも月1で大出血してんだろ?

小泉なんかしょっちゅう貧血起こして顔色が真っ青になってるしな。

これ以上出血したり痛い思いするってのはリスクあり過ぎだよな。

「ま、俺はしょっちゅうヤッてるけど女子は慎重になった方がいいよな」

俺は一人頷いた。

「え?あなたそんな状況になってたの!?」

佐々木は驚いたように俺の顔を見た。

「しょっちゅうって……そう……しばらく会わない間に色々とあったのよね……」

お祖父様お祖母様のこと、さぞや大変だったでしょう、と佐々木が声のトーンを落として呟いた。

「ま、家に一人だからさ、こういう事は家族の目を気にせず好き勝手に出来るのが唯一のメリットっつうか」

「……!!そんなに!?」

佐々木の顔色がサッと青くなったのがわかった。

しまった、いくらコイツ相手でもこんな事は話すべきじゃなかったよな。

こんなん聞かされてもドン引きだよな。

「悪ィ、こんな事って他人に言うべきじゃ無かったよな。忘れてくれ」

俺は慌てて取り繕う。

「駄目よそんなの……!」

佐々木が首を振る。

「よかったら詳しく聞かせて…?わたしでよかったら何か手伝えるかもしれない」

「手伝い!?」

「こう見えて今までも実績はあるのよ。伊達に保健室を乗っ取ってないわ」

「実績!?」

え!?保健室をジャックしてるのってやっぱそういう……

思わぬ申し出に俺は心底ビビり倒した。そういうサービスやってんの!???



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