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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 探偵登場
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なんかコイツ、俺が思った以上にとんでもねぇスキルとか隠し持ってねぇか?
心配して損したような気すらする。
「……マジかよ」
無言になってしまった俺に対し、佐々木は身を乗り出してこう言った。
「─────で?何を知りたいの?」
何って?と俺も聞き返す。
「今知りたいのは夢野くるみ、水森唯の2名についてなのかしら?」
どっちを狙ってるの、と佐々木は俺を揶揄うように見つめる。
「いや、狙ってるって訳じゃ……」
そう言いかけて俺は口をつぐんだ。
いやいやいや。
佐々木は昔からなんでも俺の事をお見通しだとは言え、呪いの件なんて言えやしねぇよな。
だったら、言える範囲で相談するテイにするとしても─────
やっぱり俺が夢野くるみを狙ってる感じにしといた方が整合性が取れるんだろうか。
ま、夢野は胸もデカイしな。
中2男子が狙ってるって言ってもなんかこう、割とすんなり納得される感じじゃなかろうか。
「その……実はそうなんだ。夢野の事が気になってて。だからちょっとお前に聞いてみたい事があってさ」
どうぞ、と佐々木は頷く。
その瞬間、コイツの表情が変わったのを俺は見逃さなかった。
“待ってました”と言わんばかりじゃないか?
てことは、だ。
佐々木は何か掴んでるな。
しかも、俺の全く知らない情報を握ってるとみた。
佐々木がこんな表情をするときは決まってそうなんだよな。
ポーカーする時だってそうだ。
強い手札を持ってる時の顔なんだよコイツは。間違いねぇ。
何もかも見透かされているような気がして居心地は悪い。
だけど俺は確信した。
俺一人だと何も分からなかった事がコイツになら解る。
この件はコイツによる協力が不可欠なモノになるだろう。
意を決した俺は思い切って口を開いた。
「その……夢野くるみが今悩んでるのが水森唯に関する事でさ」
二人の間に何があったか知ってる事を教えてくれないか、と俺は言葉を選びながら佐々木に訊ねる。
それはつまり、と佐々木は一息ついた。
「夢野さんと水森さんの仲に距離が生じている、という理解でいいかしら?」
俺は無言で頷く。
「ねぇ、夢野さんからその話を聞いたときに“妙だな”って思った事はなかった?」
佐々木は意味ありげに俺に質問する。
妙なこと?
そんな事あったけ?
そもそも全部が意味わからなさすぎるんだ。
普段全く絡まねぇから女子達の話してることの半分くらい頭に入ってねぇかもしれねぇ。
俺が無言で首を振ると、佐々木はさらに続けた。
「彼女、7月にトラブルに見舞われてるわね。3年女子には前々から目を付けられてはいたようだけど」
俺が知らなかっただけでこの話は有名なのか?みんな知ってた件なのか?
「おかしいとは思わない?料理上手でお弁当作りも得意な夢野さんがどうして5000円分もの食券を持っていたのかしら?」
それを聞いて俺はハッとした。
そういやそうだな。
しかも、いつも弟の弁当も一緒に作ってるって言ってたよな?
夢野だけ購買で買って、弟にだけ弁当を持たせるとしたら不自然だ。
1個作るならついでに2個作った方が手間は省けるし安上がりだろうし……
しかも、と佐々木はさらに重ねるように付け加える。
「盗難に遭った事をどうして誰にも言わなかったのかしら?親や教師、それにあなたにさえも」
なんだ?
それって何を意味するんだ?
これは何かとんでもない事実が隠されている。そんな気がして俺は身構えた。
心配して損したような気すらする。
「……マジかよ」
無言になってしまった俺に対し、佐々木は身を乗り出してこう言った。
「─────で?何を知りたいの?」
何って?と俺も聞き返す。
「今知りたいのは夢野くるみ、水森唯の2名についてなのかしら?」
どっちを狙ってるの、と佐々木は俺を揶揄うように見つめる。
「いや、狙ってるって訳じゃ……」
そう言いかけて俺は口をつぐんだ。
いやいやいや。
佐々木は昔からなんでも俺の事をお見通しだとは言え、呪いの件なんて言えやしねぇよな。
だったら、言える範囲で相談するテイにするとしても─────
やっぱり俺が夢野くるみを狙ってる感じにしといた方が整合性が取れるんだろうか。
ま、夢野は胸もデカイしな。
中2男子が狙ってるって言ってもなんかこう、割とすんなり納得される感じじゃなかろうか。
「その……実はそうなんだ。夢野の事が気になってて。だからちょっとお前に聞いてみたい事があってさ」
どうぞ、と佐々木は頷く。
その瞬間、コイツの表情が変わったのを俺は見逃さなかった。
“待ってました”と言わんばかりじゃないか?
てことは、だ。
佐々木は何か掴んでるな。
しかも、俺の全く知らない情報を握ってるとみた。
佐々木がこんな表情をするときは決まってそうなんだよな。
ポーカーする時だってそうだ。
強い手札を持ってる時の顔なんだよコイツは。間違いねぇ。
何もかも見透かされているような気がして居心地は悪い。
だけど俺は確信した。
俺一人だと何も分からなかった事がコイツになら解る。
この件はコイツによる協力が不可欠なモノになるだろう。
意を決した俺は思い切って口を開いた。
「その……夢野くるみが今悩んでるのが水森唯に関する事でさ」
二人の間に何があったか知ってる事を教えてくれないか、と俺は言葉を選びながら佐々木に訊ねる。
それはつまり、と佐々木は一息ついた。
「夢野さんと水森さんの仲に距離が生じている、という理解でいいかしら?」
俺は無言で頷く。
「ねぇ、夢野さんからその話を聞いたときに“妙だな”って思った事はなかった?」
佐々木は意味ありげに俺に質問する。
妙なこと?
そんな事あったけ?
そもそも全部が意味わからなさすぎるんだ。
普段全く絡まねぇから女子達の話してることの半分くらい頭に入ってねぇかもしれねぇ。
俺が無言で首を振ると、佐々木はさらに続けた。
「彼女、7月にトラブルに見舞われてるわね。3年女子には前々から目を付けられてはいたようだけど」
俺が知らなかっただけでこの話は有名なのか?みんな知ってた件なのか?
「おかしいとは思わない?料理上手でお弁当作りも得意な夢野さんがどうして5000円分もの食券を持っていたのかしら?」
それを聞いて俺はハッとした。
そういやそうだな。
しかも、いつも弟の弁当も一緒に作ってるって言ってたよな?
夢野だけ購買で買って、弟にだけ弁当を持たせるとしたら不自然だ。
1個作るならついでに2個作った方が手間は省けるし安上がりだろうし……
しかも、と佐々木はさらに重ねるように付け加える。
「盗難に遭った事をどうして誰にも言わなかったのかしら?親や教師、それにあなたにさえも」
なんだ?
それって何を意味するんだ?
これは何かとんでもない事実が隠されている。そんな気がして俺は身構えた。
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