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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 校内の追跡
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俺は週末、夢野の家へ行くという約束を取り付けるといつもより早い時間に席を立った。
「悪ィ、実はちょっとやらかしちまって小泉に呼び出されてたんだよ」
ちょっと説教されてくるわ、と言いながら俺は急いで弁当箱を片付ける。
「何かやったの?」
心配そうに見つめる夢野だったが、俺は適当に答える。
「心当たり有り過ぎてわかんねぇんだよなぁ、ま、いつもの事だし大丈夫だって!」
じゃあな、と言いつつ俺は足早にその場を去った。
ちょっと確かめたいことがあるんだ。
カツアゲの件やブランド品の事も気になるが─────
夢野は水森が急に距離を置き始めた理由が判らないと言う。
それならこの件に関して、夢野にいくら聞いたって何も出てこないだろう。
現在、夢野の中でカツアゲ以上に悩んでるという事が水森の件だとしたら─────
それはもう、本人に聞くしかない。
それに。
昼食を取っている様子のない水森唯。
その点も気になった。
まず、昼休憩の時間に校内のどこへ行っていると言うのか。
そこから突き止める必要がある。
購買ではないとしたら─────
俺には何の心当たりもない。
トイレか?
いや、それにしては動きが不自然すぎやしないか?
俺は考えを巡らせながら校内を早足で歩いた。
教室以外で時間を潰せる場所─────
とりあえず1階から3階までしらみ潰しに歩いてみるか?
階段を降り、職員室の前を通過した時だった。
視界の端を見覚えのある人物の姿が横切る。
遠くからでもわかる長身のシルエットに分厚いレンズの眼鏡。
水森唯、本人だった。
俺は声を掛けるべきか躊躇してしまう。
水森がさっきまで居た場所。
部屋の前に掲げられた「保健室」という文字のプレート。
水森は保健室に居た?
具合でも悪いのか?
病気?
まさか、病気なのを夢野に隠して距離を置いているとか?
俺はなんだか個人のプライバシー、デリケートな部分に首を突っ込もうとしているのではないだろうかという気になり、思考が停止してしまう。
しかも、相手は女子だろ?
何かこう、俺が触れてはいけないような事柄じゃないのか?
戸惑いつつも俺は水森が去った後の保健室の扉を凝視する。
扉は完璧には閉まっておらず、2~3cmの隙間があった。
俺は通りかかるフリをして、その隙間をさりげなく覗く。
そこで俺は更に驚くことになる。
中に居たのは意外な人物だった。
佐々木七海
『学年カースト最下位』の───────俺の旧友だった。
「悪ィ、実はちょっとやらかしちまって小泉に呼び出されてたんだよ」
ちょっと説教されてくるわ、と言いながら俺は急いで弁当箱を片付ける。
「何かやったの?」
心配そうに見つめる夢野だったが、俺は適当に答える。
「心当たり有り過ぎてわかんねぇんだよなぁ、ま、いつもの事だし大丈夫だって!」
じゃあな、と言いつつ俺は足早にその場を去った。
ちょっと確かめたいことがあるんだ。
カツアゲの件やブランド品の事も気になるが─────
夢野は水森が急に距離を置き始めた理由が判らないと言う。
それならこの件に関して、夢野にいくら聞いたって何も出てこないだろう。
現在、夢野の中でカツアゲ以上に悩んでるという事が水森の件だとしたら─────
それはもう、本人に聞くしかない。
それに。
昼食を取っている様子のない水森唯。
その点も気になった。
まず、昼休憩の時間に校内のどこへ行っていると言うのか。
そこから突き止める必要がある。
購買ではないとしたら─────
俺には何の心当たりもない。
トイレか?
いや、それにしては動きが不自然すぎやしないか?
俺は考えを巡らせながら校内を早足で歩いた。
教室以外で時間を潰せる場所─────
とりあえず1階から3階までしらみ潰しに歩いてみるか?
階段を降り、職員室の前を通過した時だった。
視界の端を見覚えのある人物の姿が横切る。
遠くからでもわかる長身のシルエットに分厚いレンズの眼鏡。
水森唯、本人だった。
俺は声を掛けるべきか躊躇してしまう。
水森がさっきまで居た場所。
部屋の前に掲げられた「保健室」という文字のプレート。
水森は保健室に居た?
具合でも悪いのか?
病気?
まさか、病気なのを夢野に隠して距離を置いているとか?
俺はなんだか個人のプライバシー、デリケートな部分に首を突っ込もうとしているのではないだろうかという気になり、思考が停止してしまう。
しかも、相手は女子だろ?
何かこう、俺が触れてはいけないような事柄じゃないのか?
戸惑いつつも俺は水森が去った後の保健室の扉を凝視する。
扉は完璧には閉まっておらず、2~3cmの隙間があった。
俺は通りかかるフリをして、その隙間をさりげなく覗く。
そこで俺は更に驚くことになる。
中に居たのは意外な人物だった。
佐々木七海
『学年カースト最下位』の───────俺の旧友だった。
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