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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 可能性
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夢野くるみ。
この女子に一体何が起こると言うのだろう。
あまりジロジロ見ても気持ち悪く思われそうなので短めのスカートの裾から視線を逸らす。
「学校にいる時と全然雰囲気違うんだな」
夢野は外見だけで無く、中身まで違う人物になったかのようだった。
「……そう?」
でもね、と俺の言葉に対し夢野はまんざらでも無さそうに呟く。
「靴下は学校で履いてたのと同じだよ。ほら」
夢野はフリルの付いたスカートの裾を少し持ち上げて見せた。
控えめなレースと小さなリボンが付いた黒のハイソックス。
そういえば、と俺は昼休憩に見た夢野の姿を思い出した。
女子が履くソックスとか気にして見たことがないからあまり気がつかなかった。
「そっか。元々、こういう服とかが好きなのか?」
俺の問いかけに夢野はコクンと頷いた。
「いつもはピンクとか花柄ばっかりかな。でも、佐藤君が引いちゃうかなって思って今日は控えめな黒いのにしてみたの」
似合うって言って貰えて嬉しい、と夢野は笑ってみせた。
一応、俺に配慮しながら服を選んでくれたってことか。
ライダースとか着なくて正解だった、と俺は胸を撫で下ろした。
食料品の買い出しという名目ではあるが、実際には“夢野くるみとの距離を縮める”ことが最大の目的である。
更に言えば、夢野がビルの屋上から身投げするに至った原因を探り出す事が一番重要なミッションだ。
俺はやや緊張した面持ちで夢野に向き合った。
俺の知らない夢野くるみの側面がまだ隠されている。
どこまで俺に心を開いてくれるのだろう。
俺の心配をよそに、夢野の足取りは軽かった。
「こういう服着てるとね、やっぱ変な風に思われちゃうこと多くて」
だから、佐藤君に褒めてもらえるなんてちょっと自信付いちゃった、と夢野ははにかんだ。
「変な風って?」
俺は夢野に聞き返す。
んー、と夢野は少し言葉を選ぶような素振りを見せながら言った。
「『ダッサ』とか『キモッ』とか『ブスだから変な服着て自己アピールw』とかすれ違いざまに言われるのとかザラなんだよね」
幼稚園くらいの子からは評判いいんだけど、と夢野は地面に転がっている小石を蹴りながら俯いた。
「小さい女の子からは『「かわいい!プリアリみたい!』って言ってもらえるんだけどね……」
「『プリアリ』?」
耳慣れない単語に思わず俺は聞き返す。
「あ、ゴメン。『プリアリ』ってのは『ちいさなプリンセス アリア』ってアニメでね……ちっちゃい子向けのアニメなんだけど」
へへ、と夢野はやや自虐的に笑った。
「幼児向けのアニメが好きでこんな服着てるなんて……やっぱ変だよね……」
「そんなことねぇって!」
俺は反射的にそれを否定していた。
「アニメが好きなんてさ、今じゃ普通だろ?小泉なんか見ろよ。同じ柄の缶バッジとか鞄に大量に付けまくってるんだぜ?私服は毛玉だらけの変なスウェットだしよ」
今のご時世、アニメや趣味ごときで外野がガタガタ言う方がおかしいんだよ、と俺は夢野に言った。
夢野はビックリしたように俺を見た。
「え…?」
「服だってそうだ。好きな服着て何が悪いんだよ」
第一すごく似合ってるんだから自信持てよ、と言う俺の言葉に対し信じられないといった風な表情を夢野は浮かべた。
「佐藤君……」
佐藤君からそんな言葉を掛けてもらえるとか思ってもみなくて、と夢野は戸惑うような素振りを見せた。
もしかして、と俺は一つの可能性に行きあたる。
「学校でも誰かにそんな事言われてるのか?アニメ見てる事や服の選び方に?」
この女子に一体何が起こると言うのだろう。
あまりジロジロ見ても気持ち悪く思われそうなので短めのスカートの裾から視線を逸らす。
「学校にいる時と全然雰囲気違うんだな」
夢野は外見だけで無く、中身まで違う人物になったかのようだった。
「……そう?」
でもね、と俺の言葉に対し夢野はまんざらでも無さそうに呟く。
「靴下は学校で履いてたのと同じだよ。ほら」
夢野はフリルの付いたスカートの裾を少し持ち上げて見せた。
控えめなレースと小さなリボンが付いた黒のハイソックス。
そういえば、と俺は昼休憩に見た夢野の姿を思い出した。
女子が履くソックスとか気にして見たことがないからあまり気がつかなかった。
「そっか。元々、こういう服とかが好きなのか?」
俺の問いかけに夢野はコクンと頷いた。
「いつもはピンクとか花柄ばっかりかな。でも、佐藤君が引いちゃうかなって思って今日は控えめな黒いのにしてみたの」
似合うって言って貰えて嬉しい、と夢野は笑ってみせた。
一応、俺に配慮しながら服を選んでくれたってことか。
ライダースとか着なくて正解だった、と俺は胸を撫で下ろした。
食料品の買い出しという名目ではあるが、実際には“夢野くるみとの距離を縮める”ことが最大の目的である。
更に言えば、夢野がビルの屋上から身投げするに至った原因を探り出す事が一番重要なミッションだ。
俺はやや緊張した面持ちで夢野に向き合った。
俺の知らない夢野くるみの側面がまだ隠されている。
どこまで俺に心を開いてくれるのだろう。
俺の心配をよそに、夢野の足取りは軽かった。
「こういう服着てるとね、やっぱ変な風に思われちゃうこと多くて」
だから、佐藤君に褒めてもらえるなんてちょっと自信付いちゃった、と夢野ははにかんだ。
「変な風って?」
俺は夢野に聞き返す。
んー、と夢野は少し言葉を選ぶような素振りを見せながら言った。
「『ダッサ』とか『キモッ』とか『ブスだから変な服着て自己アピールw』とかすれ違いざまに言われるのとかザラなんだよね」
幼稚園くらいの子からは評判いいんだけど、と夢野は地面に転がっている小石を蹴りながら俯いた。
「小さい女の子からは『「かわいい!プリアリみたい!』って言ってもらえるんだけどね……」
「『プリアリ』?」
耳慣れない単語に思わず俺は聞き返す。
「あ、ゴメン。『プリアリ』ってのは『ちいさなプリンセス アリア』ってアニメでね……ちっちゃい子向けのアニメなんだけど」
へへ、と夢野はやや自虐的に笑った。
「幼児向けのアニメが好きでこんな服着てるなんて……やっぱ変だよね……」
「そんなことねぇって!」
俺は反射的にそれを否定していた。
「アニメが好きなんてさ、今じゃ普通だろ?小泉なんか見ろよ。同じ柄の缶バッジとか鞄に大量に付けまくってるんだぜ?私服は毛玉だらけの変なスウェットだしよ」
今のご時世、アニメや趣味ごときで外野がガタガタ言う方がおかしいんだよ、と俺は夢野に言った。
夢野はビックリしたように俺を見た。
「え…?」
「服だってそうだ。好きな服着て何が悪いんだよ」
第一すごく似合ってるんだから自信持てよ、と言う俺の言葉に対し信じられないといった風な表情を夢野は浮かべた。
「佐藤君……」
佐藤君からそんな言葉を掛けてもらえるとか思ってもみなくて、と夢野は戸惑うような素振りを見せた。
もしかして、と俺は一つの可能性に行きあたる。
「学校でも誰かにそんな事言われてるのか?アニメ見てる事や服の選び方に?」
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