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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 入り込むウインナー
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このやり取りですっかり警戒心が無くなったのだろうか。
夢野は自分の弁当箱の中のおかずを一種ずつ、ひょいひょいと俺の弁当箱の中に入れてくれた。
「えっ!こんなに貰っちゃ悪い気がするんだが?」
いいからいいいから、と恐縮する俺を尻目に夢野は小さく笑う。
タコさんのウインナーにミートボール、レタスにプチトマト。ベーコンで巻かれたアスパラ。色違いのカラフルな小さなおにぎり。
「……弟のリクエストでこんなラインナップなの」
ちょっと肉が多めだよね、と夢野は少し恥ずかしそうに俯いた。
「いや、こんな豪華な弁当さ、人生で一回も食った事ねぇからビックリした」
お前の弟は幸せモンだなあ、と俺は何気なく呟いた。
お世辞とかじゃなくてガチで本心でそう思った。
俺が小学生の頃は遠足や運動会の時には婆さんが弁当を作ってくれてたんだが─────
一生懸命作ってくれてるんだけどさ、やっぱラインナップが婆さんなんだよな。
周りがデコ弁とかカラフルな弁当の中、焼き魚や煮物、漬物中心の茶色い弁当が少し寂しかった記憶がある。
同級生の母親が作る華やかな弁当がすごく羨ましかったな。
婆さんが死んでからは爺さんが作ってくれたけど、やっぱセンスは同じなんだ。
タコさんウインナーなんて人生で一回も食ったことなかった。
俺は緊張しながら夢野のおかずを口に入れる。
パリッとした食感と肉の味が口の中に広がる。
─────初めてのタコさんウインナーは他所の家の味がした。
「…………」
黙って黙々と食う俺の顔を夢野が不安そうに覗き込む。
「………佐藤君?」
俺はタコさんウインナー、ミートボール、一口サイズのおにぎり、アスパラベーコンにレタスにプチトマトを無言で次々食べていった。
全部食べ終わった後、やっとの思いで俺は口を開いた。
「悪ぃ、つい無言になっちまって」
「………?」
夢野が不思議そうな顔で俺を見つめていた。
「さっきも言った通りさ……俺、親がいなくて爺さん婆さんに育てられててさ」
こんなタコさんウインナーみたいなの人生で一回も食ったことなくて、と俺はなるべく冷静さを保ちながら話した。
「……なんか泣きそうになっちまったから無言で食ってた。でも全部うまかった」
俺がそう言うと夢野は驚いたように動きを止め、そっか、と俯きながら呟いた。
「………そんな風に言って貰えるなんて嬉しい」
少しの間、気まずい沈黙が二人の間に流れた。
「あ、そうだ」
じゃあ今度は佐藤君のおかずも食べさせてよ、と夢野が思い出したように提案する。
おいおい、これ、昨晩の残り物だぞ。
こんなきらびやかな弁当のおかずを食わせて貰った後に差し出せるような代物では到底なかった。
俺は首をブンブンと横に振った。
「もやしだし残り物だし、人様に食わせるなんてそんな───── 」
俺が言いかけたところで、夢野は俺の弁当箱に箸を伸ばす。
「えへへ、隙ありっ!」
夢野はニコニコとしながら俺のもやし炒めを頬張っている。
おいおい、思ったよりめっちゃ距離が縮まってね?夢野ってこんなキャラだったのか?
夢野は自分の弁当箱の中のおかずを一種ずつ、ひょいひょいと俺の弁当箱の中に入れてくれた。
「えっ!こんなに貰っちゃ悪い気がするんだが?」
いいからいいいから、と恐縮する俺を尻目に夢野は小さく笑う。
タコさんのウインナーにミートボール、レタスにプチトマト。ベーコンで巻かれたアスパラ。色違いのカラフルな小さなおにぎり。
「……弟のリクエストでこんなラインナップなの」
ちょっと肉が多めだよね、と夢野は少し恥ずかしそうに俯いた。
「いや、こんな豪華な弁当さ、人生で一回も食った事ねぇからビックリした」
お前の弟は幸せモンだなあ、と俺は何気なく呟いた。
お世辞とかじゃなくてガチで本心でそう思った。
俺が小学生の頃は遠足や運動会の時には婆さんが弁当を作ってくれてたんだが─────
一生懸命作ってくれてるんだけどさ、やっぱラインナップが婆さんなんだよな。
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同級生の母親が作る華やかな弁当がすごく羨ましかったな。
婆さんが死んでからは爺さんが作ってくれたけど、やっぱセンスは同じなんだ。
タコさんウインナーなんて人生で一回も食ったことなかった。
俺は緊張しながら夢野のおかずを口に入れる。
パリッとした食感と肉の味が口の中に広がる。
─────初めてのタコさんウインナーは他所の家の味がした。
「…………」
黙って黙々と食う俺の顔を夢野が不安そうに覗き込む。
「………佐藤君?」
俺はタコさんウインナー、ミートボール、一口サイズのおにぎり、アスパラベーコンにレタスにプチトマトを無言で次々食べていった。
全部食べ終わった後、やっとの思いで俺は口を開いた。
「悪ぃ、つい無言になっちまって」
「………?」
夢野が不思議そうな顔で俺を見つめていた。
「さっきも言った通りさ……俺、親がいなくて爺さん婆さんに育てられててさ」
こんなタコさんウインナーみたいなの人生で一回も食ったことなくて、と俺はなるべく冷静さを保ちながら話した。
「……なんか泣きそうになっちまったから無言で食ってた。でも全部うまかった」
俺がそう言うと夢野は驚いたように動きを止め、そっか、と俯きながら呟いた。
「………そんな風に言って貰えるなんて嬉しい」
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「あ、そうだ」
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おいおい、これ、昨晩の残り物だぞ。
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俺が言いかけたところで、夢野は俺の弁当箱に箸を伸ばす。
「えへへ、隙ありっ!」
夢野はニコニコとしながら俺のもやし炒めを頬張っている。
おいおい、思ったよりめっちゃ距離が縮まってね?夢野ってこんなキャラだったのか?
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