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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 実績解除
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俺の姿を見た夢野はハッとしたように視線を逸らし、くるりと向きを変えた。
「え、ちょい待てよ」
俺は咄嗟に夢野に声を掛けてしまっていた。
夢野はビクビクとした様子で階段の上の俺を見上げている。
夢野くるみ。
ビルから飛び降りて自殺を図った同じクラスの女子。
苦労して何とか時間を戻したのはいいものの、このまま放置しておくとまた同じ事を繰り返すだろう。
その為にはその“理由と原因“を取り除く必要があるよな。
同じクラスというだけで全く接点のない夢野くるみに接近するにはどうすればいいかと思っていた所だったが……
これは所謂『鴨がネギを背負って来た』という状況なんじゃねぇのか?
怯えたような視線で俺を見つめる夢野をビビらせないように────俺は極力愛想良く話しかけてみることにした。
「……えっと、お前もここで弁当食おうと思ったのか……?」
予想外の事だったのか、夢野はビクビクとしたようにコクンと小さく頷く。
「……教室で食わねぇのか?」
いつも水森とかと一緒なんじゃねぇの、と訊ねる俺に対し、夢野は困ったようにオドオドとしていた。
「……その」
唯ちゃん午後から病院に行くために早退しちゃって、とか細くて小さな声で夢野は呟く。
お、ちゃんと返事が返って来た。
内心ホッとした俺は次の言葉をどうすべきか考える。
俺が話しかけてもビビったみてぇに避けてく女子とかザラだからな。
返事が返って来て会話が成立しただけでも十分ありがたい。
「……教室には居づらいって事か?」
夢野は黙ってコクンと頷いた。
「実は俺もなんだ。だからいっつもここで弁当食ってんの」
俺はポケモンの弁当箱とカーズの水筒を持ち上げて見せた。
自虐的ではあるが、夢野の警戒心を解くには有効じゃないかと踏んだわけだ。
俺の弁当箱と水筒を見た夢野は意外そうな表情を浮かべた。
ま、そうだよな。
学校一の不良とか思われてるポジションの男子が使ってるのが「ポケモンとカーズ」だもんな。そりゃ意外だろうさ。
「こんなん使ってるの、クラスの奴らに知られたくねぇっつうかよ……」
ふふ、と夢野が小さく笑ったのを俺は見逃さなかった。
よし、多分イケる。
そう踏んだ俺は思い切って夢野を誘ってみる。
「なあ、よかったら一緒にここで昼メシ食わね?」
お前も他に行くとこないんだろ?と俺は極力、軽いテンションを心掛けた。
「……教室って一人だと居場所ないもんなあ?」
俯いていた夢野だったが、俺の言葉にハッとしたように顔を上げた。
暫く間が空いた後、再び蚊の鳴くような小さな声で夢野は呟いた。
「その……ご迷惑で無ければ……」
こうして俺は人生で初、「女子と昼メシを食べる」というミッションの実績を解除出来たのだった。
「え、ちょい待てよ」
俺は咄嗟に夢野に声を掛けてしまっていた。
夢野はビクビクとした様子で階段の上の俺を見上げている。
夢野くるみ。
ビルから飛び降りて自殺を図った同じクラスの女子。
苦労して何とか時間を戻したのはいいものの、このまま放置しておくとまた同じ事を繰り返すだろう。
その為にはその“理由と原因“を取り除く必要があるよな。
同じクラスというだけで全く接点のない夢野くるみに接近するにはどうすればいいかと思っていた所だったが……
これは所謂『鴨がネギを背負って来た』という状況なんじゃねぇのか?
怯えたような視線で俺を見つめる夢野をビビらせないように────俺は極力愛想良く話しかけてみることにした。
「……えっと、お前もここで弁当食おうと思ったのか……?」
予想外の事だったのか、夢野はビクビクとしたようにコクンと小さく頷く。
「……教室で食わねぇのか?」
いつも水森とかと一緒なんじゃねぇの、と訊ねる俺に対し、夢野は困ったようにオドオドとしていた。
「……その」
唯ちゃん午後から病院に行くために早退しちゃって、とか細くて小さな声で夢野は呟く。
お、ちゃんと返事が返って来た。
内心ホッとした俺は次の言葉をどうすべきか考える。
俺が話しかけてもビビったみてぇに避けてく女子とかザラだからな。
返事が返って来て会話が成立しただけでも十分ありがたい。
「……教室には居づらいって事か?」
夢野は黙ってコクンと頷いた。
「実は俺もなんだ。だからいっつもここで弁当食ってんの」
俺はポケモンの弁当箱とカーズの水筒を持ち上げて見せた。
自虐的ではあるが、夢野の警戒心を解くには有効じゃないかと踏んだわけだ。
俺の弁当箱と水筒を見た夢野は意外そうな表情を浮かべた。
ま、そうだよな。
学校一の不良とか思われてるポジションの男子が使ってるのが「ポケモンとカーズ」だもんな。そりゃ意外だろうさ。
「こんなん使ってるの、クラスの奴らに知られたくねぇっつうかよ……」
ふふ、と夢野が小さく笑ったのを俺は見逃さなかった。
よし、多分イケる。
そう踏んだ俺は思い切って夢野を誘ってみる。
「なあ、よかったら一緒にここで昼メシ食わね?」
お前も他に行くとこないんだろ?と俺は極力、軽いテンションを心掛けた。
「……教室って一人だと居場所ないもんなあ?」
俯いていた夢野だったが、俺の言葉にハッとしたように顔を上げた。
暫く間が空いた後、再び蚊の鳴くような小さな声で夢野は呟いた。
「その……ご迷惑で無ければ……」
こうして俺は人生で初、「女子と昼メシを食べる」というミッションの実績を解除出来たのだった。
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