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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 不完全燃焼
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授業中、俺はぼんやりと窓の外を眺めながらも不安と情けなさで押し潰されそうになっていた。
恥ずかしいとかそんなレベルじゃなかった。
とりあえず時間だけは戻る事が出来たから失敗とまではいかないけどさ。
なんだろう、黒歴史を思い出して枕に顔を埋めてジタバタする感じ。
黒歴史ってレベルじゃねぇよな。
俺は手元の真っ白なノートに視線を落とした。
シャーペンで意味もなくグルグルと円を描く。
ハリケーンや竜巻のような渦が真っ白なノートに出現する。
意図しなくてもぼんやりと『例の文庫本』の内容を思い出してしまう。
童貞。
確かに自分の意思で捨てて来たんだよな。
今までと違うのってなんだったんだろう?
どうして今回だけこんな不完全燃焼みたいな終わり方だったんだろう?
今までは“上出来”とまでは行かなくても、まあまあ及第点な流れだった印象だった。
それがどうだ?
今回は赤点ギリギリというか、辛うじて時間だけは戻れたけど“きちんとしたセックス”だったとは思えなかった。
『時間を戻る事が出来ないと人が死ぬ』っていう条件だったから余計に上手くいかなかったんだろうか?
でも。
そもそも“きちんとしたセックス”ってどんなのだよ?
そんなのわからないし知らない。
じゃあどうだったら合格って思えるんだよ?
俺が知らないだけで明確な基準やルールが定められている?
誰がジャッジするんだろう?
俺自身?
いや、この場合相手だよな……
花園リセ。
俺は彼女の事がますますわからなくなった。
どうして急にあんなことになったのに俺を責めなかったんだろう?
そもそも、どうして拒否しなかった?
あんな高貴なご令嬢が……お隣に回覧板を回すくらいの敷居の低さで俺みたいなガキとセックスするなんて絶対駄目だろ。
しかも事後……終わった後に。
グズグズ泣いてる俺の頭をずっと撫でてくれてたんだっけ。
俺は情けなさと恥ずかしさで死にそうになった。
思い出さなきゃいいのに思い出してしまう。
気付けばノートの上の竜巻は勢いを増し、真っ黒なモンスターのような姿に変化を遂げていた。
なんだこれ。
まるで今の俺自身のようだった。
ふと視線を感じて後ろを振り返る。
斜め後ろの席の夢野くるみが俺のノートをじっと見ていた。
振り返った俺と視線が合うと、夢野は何事もなかったように視線を手元の教科書に戻した。
なんだこれ、めっちゃ恥ずかしい。
なんか俺、めっちゃ病んでるアピールしてる厨二病の奴みたいじゃね?
俺は慌ててノートを閉じた。
恥ずかしいとかそんなレベルじゃなかった。
とりあえず時間だけは戻る事が出来たから失敗とまではいかないけどさ。
なんだろう、黒歴史を思い出して枕に顔を埋めてジタバタする感じ。
黒歴史ってレベルじゃねぇよな。
俺は手元の真っ白なノートに視線を落とした。
シャーペンで意味もなくグルグルと円を描く。
ハリケーンや竜巻のような渦が真っ白なノートに出現する。
意図しなくてもぼんやりと『例の文庫本』の内容を思い出してしまう。
童貞。
確かに自分の意思で捨てて来たんだよな。
今までと違うのってなんだったんだろう?
どうして今回だけこんな不完全燃焼みたいな終わり方だったんだろう?
今までは“上出来”とまでは行かなくても、まあまあ及第点な流れだった印象だった。
それがどうだ?
今回は赤点ギリギリというか、辛うじて時間だけは戻れたけど“きちんとしたセックス”だったとは思えなかった。
『時間を戻る事が出来ないと人が死ぬ』っていう条件だったから余計に上手くいかなかったんだろうか?
でも。
そもそも“きちんとしたセックス”ってどんなのだよ?
そんなのわからないし知らない。
じゃあどうだったら合格って思えるんだよ?
俺が知らないだけで明確な基準やルールが定められている?
誰がジャッジするんだろう?
俺自身?
いや、この場合相手だよな……
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俺は彼女の事がますますわからなくなった。
どうして急にあんなことになったのに俺を責めなかったんだろう?
そもそも、どうして拒否しなかった?
あんな高貴なご令嬢が……お隣に回覧板を回すくらいの敷居の低さで俺みたいなガキとセックスするなんて絶対駄目だろ。
しかも事後……終わった後に。
グズグズ泣いてる俺の頭をずっと撫でてくれてたんだっけ。
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思い出さなきゃいいのに思い出してしまう。
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なんだこれ。
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ふと視線を感じて後ろを振り返る。
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振り返った俺と視線が合うと、夢野は何事もなかったように視線を手元の教科書に戻した。
なんだこれ、めっちゃ恥ずかしい。
なんか俺、めっちゃ病んでるアピールしてる厨二病の奴みたいじゃね?
俺は慌ててノートを閉じた。
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