244 / 1,060
ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 神託と白い錠剤
しおりを挟む
小泉はいつものジャージに着替え、身支度を整えていた。
二人で一緒に登校って訳にはいかないので時間をずらして俺が先に神社を出る。
朝の早い時間の参道はシンと静まり返っていた。
全てを覆う清廉な静寂。
この世界に俺だけしか居ないかのように錯覚してしまう。
俺しか居ない空間。
どこからか小さな鈴の音が響く。
……?
誰か居るのか?
鈴の音は周囲にこだまし、あちらこちらに反射して不思議な調和を醸し出す。
鈴……たくさんの鈴?
カバンに大量のキーホルダーでも付けた奴が歩いてるのか?
振り向き、周囲を見渡すが誰も見当たらない。
どこから音が響いてくる…?
怪訝に思うが音の発生源は判らない。
まあいいか、そう思って歩き始めた矢先だった。
目の前に人物のシルエットが立ち塞がる。
「……!?」
誰だ……?
頭に鉄製の箱を被った人間がそこには居た。
箱人間。ハコニンゲン。
以前に見た、あのハコニンゲンだった。
男か女か、ということも何もわからない。
ハコニンゲンが少し頭を揺らすたびに、『シャン……』という鈴の音が周囲に響く。
箱の内側に鈴がビッシリ貼り付いている?
そんな響きだった。
ハコニンゲンは黙ったまま、俺を見つめている。
いや、どこに目があるかなんて知らない。
でも、目の前のこの人物が俺をジッと見つめているのは伝わって来た。
『シャン……』という音を立て、ハコニンゲンは俺の方に近付いてくる。
「なんだ…?」
ハコニンゲンは黙ったまま、頭のてっぺんの蓋を開けた。
ゆっくりと何かを取り出し、俺に手渡してくる。
俺は何故かそれを受け取ってしまう。
てか、前回もなんか渡されたよな…?
俺は改めて自分の手のひらを見た。
そこに載せられていたのは未開封の小さなパッケージだった。
「フリスク……?」
てか、さっき目が覚めた時にもフリスク持ってなかったっけ?
「俺にくれるのか?」
ハコニンゲンは小さく頷く。
『シャン…』という音がまた周囲に響く。
コイツ、なんでいつも俺に何かをくれるんだろう?
俺のことを知ってるのか?
「なあ、アンタ一体……」
俺が顔を上げるとそこには誰も居なかった。
どういう事だ…?
めっちゃ高速で移動してる?
それとも幻なのか?
俺は前にも同じ奴と会わなかったか?
いや、会ったよな?
意味がわからないが、とりあえずフリスクを食うことにした。
少し甘酸っぱい、ベリーミント味だった。
二人で一緒に登校って訳にはいかないので時間をずらして俺が先に神社を出る。
朝の早い時間の参道はシンと静まり返っていた。
全てを覆う清廉な静寂。
この世界に俺だけしか居ないかのように錯覚してしまう。
俺しか居ない空間。
どこからか小さな鈴の音が響く。
……?
誰か居るのか?
鈴の音は周囲にこだまし、あちらこちらに反射して不思議な調和を醸し出す。
鈴……たくさんの鈴?
カバンに大量のキーホルダーでも付けた奴が歩いてるのか?
振り向き、周囲を見渡すが誰も見当たらない。
どこから音が響いてくる…?
怪訝に思うが音の発生源は判らない。
まあいいか、そう思って歩き始めた矢先だった。
目の前に人物のシルエットが立ち塞がる。
「……!?」
誰だ……?
頭に鉄製の箱を被った人間がそこには居た。
箱人間。ハコニンゲン。
以前に見た、あのハコニンゲンだった。
男か女か、ということも何もわからない。
ハコニンゲンが少し頭を揺らすたびに、『シャン……』という鈴の音が周囲に響く。
箱の内側に鈴がビッシリ貼り付いている?
そんな響きだった。
ハコニンゲンは黙ったまま、俺を見つめている。
いや、どこに目があるかなんて知らない。
でも、目の前のこの人物が俺をジッと見つめているのは伝わって来た。
『シャン……』という音を立て、ハコニンゲンは俺の方に近付いてくる。
「なんだ…?」
ハコニンゲンは黙ったまま、頭のてっぺんの蓋を開けた。
ゆっくりと何かを取り出し、俺に手渡してくる。
俺は何故かそれを受け取ってしまう。
てか、前回もなんか渡されたよな…?
俺は改めて自分の手のひらを見た。
そこに載せられていたのは未開封の小さなパッケージだった。
「フリスク……?」
てか、さっき目が覚めた時にもフリスク持ってなかったっけ?
「俺にくれるのか?」
ハコニンゲンは小さく頷く。
『シャン…』という音がまた周囲に響く。
コイツ、なんでいつも俺に何かをくれるんだろう?
俺のことを知ってるのか?
「なあ、アンタ一体……」
俺が顔を上げるとそこには誰も居なかった。
どういう事だ…?
めっちゃ高速で移動してる?
それとも幻なのか?
俺は前にも同じ奴と会わなかったか?
いや、会ったよな?
意味がわからないが、とりあえずフリスクを食うことにした。
少し甘酸っぱい、ベリーミント味だった。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
もし学園のアイドルが俺のメイドになったら
みずがめ
恋愛
もしも、憧れの女子が絶対服従のメイドになったら……。そんなの普通の男子ならやることは決まっているよな?
これは不幸な陰キャが、学園一の美少女をメイドという名の性奴隷として扱い、欲望の限りを尽くしまくるお話である。
※【挿絵あり】にはいただいたイラストを載せています。
「小説家になろう」ノクターンノベルズにも掲載しています。表紙はあっきコタロウさんに描いていただきました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる