[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

SPD

文字の大きさ
上 下
204 / 1,060
ep.4.

ep4. 「暴かれた世界」 半裸の密室 その②

しおりを挟む
「まあそうだよな。出来ねぇよな。何もかも」

オタク男のお陰で脱出できただけで儲けものだというのに、どうしてだか俺は嫌な気分になっていた。

俺のことは信じられなかったんだろ?

大事なことはなにも教えてくれなかったじゃねぇか。

「俺みてぇなのと一緒に居るとセンセェもロクな目に遭わねぇじゃん?」

もう無理に俺に構うことなんかねぇだろ?今日だって……と言いかけた時だった。

俺の言葉を遮って小泉が声を荒げた。

「卑屈になるのはよせ、佐藤」

そういう事は口に出すもんじゃない、と小泉はいつになく真剣なトーンでミラー越しに俺を見た。

「なにがだよ?」

「自分を過大評価しまいとする心掛けは立派だがな。謙遜も過ぎれば卑屈だし、それも通り越せばただの傲慢でしかない」

傲慢。

傲慢だってのか、俺が?

小泉の発言の意味が解らず、俺はしばらく黙った。

よく覚えておけ、と前置きしてから小泉はこう言った。

「卑屈さも傲慢も、限度を超えたものは周囲への暴力と変わらない」

は?

なにがだよ?

意味がわからない。

「自分自身が純粋無垢な善人、謙遜出来ている利口な人間だと思い込んでる分余計にタチが悪いからな。この手合いは」

だからお前はそうなるんじゃない、と小泉は念押しするように付け加える。

「まあ確かに私も言葉が足りなかったし、お前に対して説明してなかった部分もある」

その点は済まなかった、と小泉はまばたきしながら呟く。

ミラー越しに小泉の顔は見えるが表情までは読み取れない。

「言ってなかったと思うが九石さざらしさんはスエカ婆ちゃんのお孫さんで、私の所属するオカルト研究サークルの先輩でもある」

え?

「スエカ婆ちゃんのお孫さんって……センセェは孫じゃないみてぇな言い方じゃね?」

ん?と小泉は首を傾げる仕草を見せた。

「それも言ってなかったか?スエカ婆ちゃんは別に私の祖母という訳ではない」

は?

「自分の婆ちゃんでないのに家に上がり込んでたんか?」

結構、自宅みたいな感覚でくつろいでたじゃん、センセェも。

「まあ、血縁関係は無いんだが子供の頃から孫同然に可愛がって貰ってたからな」

なんだなんだ、意味がわからない。

で、あのオタク男がスエカ婆ちゃんの孫?

サークルの先輩?

「サークル?」

サークルってのがピンと来ない俺は小泉に聞き返す。

「まあ、オカルト研究といっても都市伝説とか廃墟訪問とか雑多なジャンルを扱っていてな」

趣味のクラブ活動や同好会みたいなものだと思ってくれていい、と小泉は説明する。

なるほど。

今回の神社の件はオカルト的な側面もあるし、廃墟スポット的な意味合いもあったってことか?

「でもさ、じゃああのオタク男も俺の呪いの事とか知ってんの?」

正直、童貞を捨てたら時間が戻るとかあんまり他人に知られたく無いよな…

うーん、と小泉は考え込むような様子を見せる。

「スエカ婆ちゃんがどこまで話してるかは判らんが……少なくとも“お前が忌み子だ”ってことは知ってるな」

肝心な内容まではこっちから話してはないからなんとも、と小泉は微妙な表情を浮かべた。

ふーん。

「じゃあ別にセンセェの彼氏とかじゃねぇってこと?」

当たり前だろう、と小泉は間髪入れずに否定する。




「私の推しも彼氏も二次元にしかいないからな!」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

榛名の園

ひかり企画
青春
荒れた14歳から17歳位までの、女子少年院経験記など、あたしの自伝小説を書いて見ました。

処理中です...