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ep.4.
ep4. 「暴かれた世界」 セックスしたら殺される部屋 その③
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洞窟のような通路を抜けて俺たちが出て来たのは最初の地点だった。
青龍神社の本殿の横のミニマム神社。
その後方、草むらに覆われた箇所に出口、マンホール状の蓋があった。
「は!?ここに繋がってたんかよ!?」
斧で床板を破壊したのはなんだったんだ。
それにしても、あの時もう少し調べてたら簡単にここに辿り着いてたんじゃないのか?
どういう構造になってるのかイマイチ掴めねぇが、俺はなんだか拍子抜けしてしまった。
脱力感がハンパなかった。
オタク男のものと思われる車が停まっているのが目に入った。
大きなリアウイングが付いた青いスポーツカー。
あちこちにアニメキャラのステッカーが貼ってある。
後部座席にはゲーセンのプライズだろうか?ぬいぐるみ類がたくさん積んであるのが見えた。
とりあえず脱出できたはいいが、俺たちはずぶ濡れの状態だった。
小泉は自分の車の中で何かを探している。
「おい、今から着替えるからこっち来んなよ」
小泉の声が車の陰から聞こえる。
言われなくても誰が覗くかよ。アホか。
しかし濡れた服って重いし気持ち悪いのな。
学ランを脱ぎ、どうしたものかと考えているとオタク男がこちらに近づいて来た。
「……佐藤君、キミも大変だったね」
まぁ、大したことないんで、と適当に返事する。
助けて貰っておいてなんだけどよ、オタクきめぇんだよ。こっちくんな。
オタク男は俺にビニール袋に入ったままのバスタオルを差し出して来た。
「ゲーセンのプライズなんだけど、よかったら使って」
二次元の美少女キャラクターが描かれた新品のバスタオル。
キャラクター名はわからない。
「え?でもこれ大事なものなんじゃ…」
オタクにとって萌えキャラだの美少女だのって嫁なんじゃねぇの?後生大事に保存したいものなんじゃね?
「いいんだ、気にしないで。沢山持ってるから」
それに、これから車に乗って帰るでしょう、とオタク男は続けた。
「ホラ、ビショ濡れで車に乗ったら鏡花ちゃんまた怒るでしょ?」
オタク男は小泉に聞こえないように小声でそっと呟く。
ああ、と俺も頷いた。
この九石というオタク男も小泉の性格をよく知ってんだな。
まあ、小泉から二次元イケメンキャラがプリントされたタオルを渡されるか、オタク男から二次元美少女がプリントされたタオルを渡されるかの違いでしかないな、とも思った。
どうせ二次元なら美少女の方がまだマシなように思えた俺は、ありがたくそれを受け取った。
着替えを終えた小泉がジャージ姿で目のまえに現れた。
「あ、九石さん、もう一枚あります?」
小泉は図々しくもタオルをもう一枚要求している。
「おい佐藤、これから車で帰るんだからな。後部座席が濡れるだろうが。全部脱げ」
「は!?」
全部脱いでバスタオルでも身体に巻き付けておけ、と小泉はさも当然のように俺に指示する。
俺とオタク男は思わず顔を見合わせた。
「あ、佐藤君。何枚でもあるからこっちのも使ってよ」
オタク男はさらにもう一枚のタオルを出してくる。もちろん未開封の物だった。
「え、でもいいんですか?2枚も」
俺は若干躊躇した。オタクにとっての激レアアイテムなんじゃねぇの?
「くじの景品だからさ、同じのたくさんあるんだ。遠慮せずに使ってよ」
コイツ、嫌な顔一つしないのな。
もしかして結構いい奴なんだろうか。
それとも小泉の前だからいいカッコしようとしてる?
戸惑いながらも俺は2枚目のタオルを受け取る。
「とっとと脱げ。こんな場所からは早急にズラかりたいからな」
小泉は腰に手を当てたままでこちらを睨んでいる。
あれ、小泉って全身が水に浸かってたよな。
スポーツブラもパンツも濡れてたんじゃね?
ジャージは車に積んでたとしても、ガサツな小泉の事だ。下着の替えまではあるとは思えない。
もしかしてコイツ、ジャージの下はノーブラでノーパンなんじゃね?ウケる。
青龍神社の本殿の横のミニマム神社。
その後方、草むらに覆われた箇所に出口、マンホール状の蓋があった。
「は!?ここに繋がってたんかよ!?」
斧で床板を破壊したのはなんだったんだ。
それにしても、あの時もう少し調べてたら簡単にここに辿り着いてたんじゃないのか?
どういう構造になってるのかイマイチ掴めねぇが、俺はなんだか拍子抜けしてしまった。
脱力感がハンパなかった。
オタク男のものと思われる車が停まっているのが目に入った。
大きなリアウイングが付いた青いスポーツカー。
あちこちにアニメキャラのステッカーが貼ってある。
後部座席にはゲーセンのプライズだろうか?ぬいぐるみ類がたくさん積んであるのが見えた。
とりあえず脱出できたはいいが、俺たちはずぶ濡れの状態だった。
小泉は自分の車の中で何かを探している。
「おい、今から着替えるからこっち来んなよ」
小泉の声が車の陰から聞こえる。
言われなくても誰が覗くかよ。アホか。
しかし濡れた服って重いし気持ち悪いのな。
学ランを脱ぎ、どうしたものかと考えているとオタク男がこちらに近づいて来た。
「……佐藤君、キミも大変だったね」
まぁ、大したことないんで、と適当に返事する。
助けて貰っておいてなんだけどよ、オタクきめぇんだよ。こっちくんな。
オタク男は俺にビニール袋に入ったままのバスタオルを差し出して来た。
「ゲーセンのプライズなんだけど、よかったら使って」
二次元の美少女キャラクターが描かれた新品のバスタオル。
キャラクター名はわからない。
「え?でもこれ大事なものなんじゃ…」
オタクにとって萌えキャラだの美少女だのって嫁なんじゃねぇの?後生大事に保存したいものなんじゃね?
「いいんだ、気にしないで。沢山持ってるから」
それに、これから車に乗って帰るでしょう、とオタク男は続けた。
「ホラ、ビショ濡れで車に乗ったら鏡花ちゃんまた怒るでしょ?」
オタク男は小泉に聞こえないように小声でそっと呟く。
ああ、と俺も頷いた。
この九石というオタク男も小泉の性格をよく知ってんだな。
まあ、小泉から二次元イケメンキャラがプリントされたタオルを渡されるか、オタク男から二次元美少女がプリントされたタオルを渡されるかの違いでしかないな、とも思った。
どうせ二次元なら美少女の方がまだマシなように思えた俺は、ありがたくそれを受け取った。
着替えを終えた小泉がジャージ姿で目のまえに現れた。
「あ、九石さん、もう一枚あります?」
小泉は図々しくもタオルをもう一枚要求している。
「おい佐藤、これから車で帰るんだからな。後部座席が濡れるだろうが。全部脱げ」
「は!?」
全部脱いでバスタオルでも身体に巻き付けておけ、と小泉はさも当然のように俺に指示する。
俺とオタク男は思わず顔を見合わせた。
「あ、佐藤君。何枚でもあるからこっちのも使ってよ」
オタク男はさらにもう一枚のタオルを出してくる。もちろん未開封の物だった。
「え、でもいいんですか?2枚も」
俺は若干躊躇した。オタクにとっての激レアアイテムなんじゃねぇの?
「くじの景品だからさ、同じのたくさんあるんだ。遠慮せずに使ってよ」
コイツ、嫌な顔一つしないのな。
もしかして結構いい奴なんだろうか。
それとも小泉の前だからいいカッコしようとしてる?
戸惑いながらも俺は2枚目のタオルを受け取る。
「とっとと脱げ。こんな場所からは早急にズラかりたいからな」
小泉は腰に手を当てたままでこちらを睨んでいる。
あれ、小泉って全身が水に浸かってたよな。
スポーツブラもパンツも濡れてたんじゃね?
ジャージは車に積んでたとしても、ガサツな小泉の事だ。下着の替えまではあるとは思えない。
もしかしてコイツ、ジャージの下はノーブラでノーパンなんじゃね?ウケる。
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