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ep.4.
ep4. 「暴かれた世界」 巫女と身体を重ねる
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「は?」
俺は思わず小泉の顔を見る。
わりとマジな顔だった。
確かに、遠くから水が流れる音が聞こえる。
さっきのような湧き水ってレベルじゃない。
何か、何処かにある水門か何かを開けたって感じの勢いのある水流の音のようにも聞こえた。
「まあ、座敷牢なんてモノがある時点で普通じゃないよな」
小泉が感心したように頷く。
いや、感心してる場合じゃなくね?
これ、下手したらヤバいんじゃねぇの?
俺と小泉は周囲を見渡した。
さっき落としたライターは小泉が拾って回収していたようだった。
再び着火し、周囲を改めて確認する。
土壁のような質素な部屋に古い畳が敷かれている四畳半ほどの空間。
目の前には鉄格子があり、当然ながら鍵は掛かっている。
天井部には何やら正方形の蓋のような箇所があった。
俺たちはあの部分から落とされたのだろう。
「こっから出られるんじゃね?」
俺は小泉に提案する。
「そうだな。じゃあ佐藤、ちょっと踏み台になってくれ」
「は?」
「天井が高くて手が届かん。お前が踏み台になるのがスジってもんだろう?」
まあ確かに、小泉を踏み台にする訳には行かなそうだった。
消去法もクソもねぇ。俺が踏み台にならないといけないのは明白だった。
俺は組体操のピラミッド下段のような体勢を取らされる。
小泉がその上に乗る。
というより、文字通り踏み台だった。
なんか滅茶苦茶に屈辱的だったが今はそんな事を言っている余裕は無かった。
「どうなんだよセンセェ?」
俺の上に乗った小泉の反応がないので不安になる。
「いや……これじゃちっとも手が届かん」
いかんな、と言いつつ小泉は宙を掴むように手を振っている。
「いや、届かねぇなら降りろよ?!」
小泉は勿体ぶったように俺から降りるとどうしたものか、と首を傾げた。
いやいやいや……
「これって多分アレだろ。もう肩車的な感じしか無いんじゃね?」
やむを得ず俺が提案する。
「お前もそう思うか」
小泉は納得したように頷く。
俺がしゃがみ、その肩に小泉が乗る。
「センセェ、意外と重……」
俺が最後まで言い終わらないうちに小泉のゲンコツが両方のこめかみにめり込んでいく。
「巫女の袴は意外に布地が多くてボリュームあってまあまあ重いんだ!」
いや、着物とかの重量じゃねぇだろ。本体だろうがよ。
ぎゃあぎゃあ喚く小泉を乗せ、俺はヨロヨロと立ち上がる。
小泉は天井の蓋部分に手を伸ばす。
「どうなんだよ?」
重いので早く降りて欲しい俺は返事を急かす。
ダメだな、と小泉は首を振った。
「鍵がかかっているか、上に重量物でも置かれてるのかもしれない」
ビクともしない、と小泉は焦ったように呟く。
俺は小泉を降ろすと再び周囲を見渡した。
鉄格子には南京錠が掛けられており、開けることは到底出来そうもなかった。
「センセェさ、ヘアピンとか安全ピンとか持ってねぇの?」
ピッキング的な事が出来ないかと小泉に訊ねる。
「いや、今日に限って持ってないな」
小泉が悔しそうに爪を噛む。
いつもヲタク全開で痛バックとやらにバッジを鬼のように付けてるくせに、肝心なこういう時に持ってないのか。
俺の方もそれらしい持ち物は何も持ってなかった。
「さっきの斧、投げなきゃよかったな……」
小泉がボソリと言う。
全くその通りだった。
水音と共に目の前の通路に濁流が流れてくる。
「ヤベっ!」
俺は思わず小さく叫ぶ。
「なあ、センセェ。ここってマジで早く出ねぇとガチで死ぬんじゃねぇの?」
鉄格子も南京錠もビクともしねぇし、天井の蓋も開きそうにもなかった。
このまま二人で死ぬのを待つだけなのか?
いや。
このまま死ぬよりはマシだが、出来れば使いたくない奥の手なら一つだけ心当たりがあった。
俺は意を決して口を開いた。
「なあセンセェ、助かる手段が一つあるんだけど」
なんだ?と小泉が怪訝そうな表情を浮かべる。
「今から俺がセンセェとヤッたらここから出られるんじゃね?」
俺は思わず小泉の顔を見る。
わりとマジな顔だった。
確かに、遠くから水が流れる音が聞こえる。
さっきのような湧き水ってレベルじゃない。
何か、何処かにある水門か何かを開けたって感じの勢いのある水流の音のようにも聞こえた。
「まあ、座敷牢なんてモノがある時点で普通じゃないよな」
小泉が感心したように頷く。
いや、感心してる場合じゃなくね?
これ、下手したらヤバいんじゃねぇの?
俺と小泉は周囲を見渡した。
さっき落としたライターは小泉が拾って回収していたようだった。
再び着火し、周囲を改めて確認する。
土壁のような質素な部屋に古い畳が敷かれている四畳半ほどの空間。
目の前には鉄格子があり、当然ながら鍵は掛かっている。
天井部には何やら正方形の蓋のような箇所があった。
俺たちはあの部分から落とされたのだろう。
「こっから出られるんじゃね?」
俺は小泉に提案する。
「そうだな。じゃあ佐藤、ちょっと踏み台になってくれ」
「は?」
「天井が高くて手が届かん。お前が踏み台になるのがスジってもんだろう?」
まあ確かに、小泉を踏み台にする訳には行かなそうだった。
消去法もクソもねぇ。俺が踏み台にならないといけないのは明白だった。
俺は組体操のピラミッド下段のような体勢を取らされる。
小泉がその上に乗る。
というより、文字通り踏み台だった。
なんか滅茶苦茶に屈辱的だったが今はそんな事を言っている余裕は無かった。
「どうなんだよセンセェ?」
俺の上に乗った小泉の反応がないので不安になる。
「いや……これじゃちっとも手が届かん」
いかんな、と言いつつ小泉は宙を掴むように手を振っている。
「いや、届かねぇなら降りろよ?!」
小泉は勿体ぶったように俺から降りるとどうしたものか、と首を傾げた。
いやいやいや……
「これって多分アレだろ。もう肩車的な感じしか無いんじゃね?」
やむを得ず俺が提案する。
「お前もそう思うか」
小泉は納得したように頷く。
俺がしゃがみ、その肩に小泉が乗る。
「センセェ、意外と重……」
俺が最後まで言い終わらないうちに小泉のゲンコツが両方のこめかみにめり込んでいく。
「巫女の袴は意外に布地が多くてボリュームあってまあまあ重いんだ!」
いや、着物とかの重量じゃねぇだろ。本体だろうがよ。
ぎゃあぎゃあ喚く小泉を乗せ、俺はヨロヨロと立ち上がる。
小泉は天井の蓋部分に手を伸ばす。
「どうなんだよ?」
重いので早く降りて欲しい俺は返事を急かす。
ダメだな、と小泉は首を振った。
「鍵がかかっているか、上に重量物でも置かれてるのかもしれない」
ビクともしない、と小泉は焦ったように呟く。
俺は小泉を降ろすと再び周囲を見渡した。
鉄格子には南京錠が掛けられており、開けることは到底出来そうもなかった。
「センセェさ、ヘアピンとか安全ピンとか持ってねぇの?」
ピッキング的な事が出来ないかと小泉に訊ねる。
「いや、今日に限って持ってないな」
小泉が悔しそうに爪を噛む。
いつもヲタク全開で痛バックとやらにバッジを鬼のように付けてるくせに、肝心なこういう時に持ってないのか。
俺の方もそれらしい持ち物は何も持ってなかった。
「さっきの斧、投げなきゃよかったな……」
小泉がボソリと言う。
全くその通りだった。
水音と共に目の前の通路に濁流が流れてくる。
「ヤベっ!」
俺は思わず小さく叫ぶ。
「なあ、センセェ。ここってマジで早く出ねぇとガチで死ぬんじゃねぇの?」
鉄格子も南京錠もビクともしねぇし、天井の蓋も開きそうにもなかった。
このまま二人で死ぬのを待つだけなのか?
いや。
このまま死ぬよりはマシだが、出来れば使いたくない奥の手なら一つだけ心当たりがあった。
俺は意を決して口を開いた。
「なあセンセェ、助かる手段が一つあるんだけど」
なんだ?と小泉が怪訝そうな表情を浮かべる。
「今から俺がセンセェとヤッたらここから出られるんじゃね?」
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