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ep.4.
ep4. 「暴かれた世界」 缶詰とカラフルシュガー
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結局、俺と小泉はほとんど情報を得られないまま婆さん宅を後にした。
「きょうちゃん、アンタも気ぃつけんしゃあよ。あんたまで飛ばされちゃあどうにもならんけぇ」
帰り際に婆さんが小泉に声を掛けた。
「私に限ってそういうことは絶対ないから大丈夫よ、ばあちゃん」
小泉は婆さんを安心させるように断言した。
どういう意味かはよくわからなかったが、俺は大満足だった。
婆さんは紙袋いっぱいに俺に土産を持たせてくれた。
缶詰に乾物系、駄菓子類に仏壇に供えてあった法事用の砂糖やらの食料を大量に入手できたのでマジでテンションが上がった。
しかしあれだな、田舎の年寄りのいる家庭って“仏壇”がホーム画面みたいな部分あるよな。
何をするにもまず仏壇だ。
客が来たら仏壇に線香を上げてくしお供え物も置いてく。
客が持ってきた手土産も一旦仏壇に供えてから後で食べたりする。
客が帰る時は仏壇横に山積みになったお中元やらお歳暮やらの贈答品を持たせたりする。
実質プレゼント交換だろ、これ。
俺は実質、爺さん婆さんに育てられたからこういうのが生活の一部に組み込まれちまってるんだけどな。
だからなんかよそんちであっても婆さん宅はなんか落ち着く。
まあなんにせよ、飯も食えたし食料が入手出来たので俺は全く無問題だった。
帰り道、小泉が呆れながら俺を見ている。
「お前な……多少は遠慮ってものがないのか」
「田舎の爺さん婆さんってのはよ、とにかくこういう事をしたがる生き物なんだよ。遠慮せずに甘えるのも孝行ってもんだ」
知った風に偉そうな台詞を言ってみたものの、これは俺の本心だった。
爺さん婆さん、あるいは両親。
人間はいつ居なくなるかわからない。
甘えられるうちに甘えておくのもいいと思うんだよな。
爺さん婆さんが死んでしまった後ではもうどうすることもできない。
俺はふと母親の事を思い出した。
俺の母親はどこに行き、どこで暮らしていると言うのだろう。
まさかこの旧地図にある神社で生活しているとでもいうのだろうか。
あの婆さんも結局、何も知らなかったようだしな。
俺の思考を読み取ったかのように小泉がしんみりとした口調で呟いた。
「まあ、調べていくうちにいずれお前の母親のことも必ずわかるはずだ」
お前が忌み子であるという事を知っているはずだからな、となぜか小泉は断言する。
どうしてそう言い切れるのだろう。
まだ俺の知らない何かがあるのだろうか。
ともかく、と俺は小泉に言った。
「あの神社に行ってみないといけないんだろ?」
俺は明日の放課後にでもあの神社に行くつもりだった。
アシはないが電車でもなんでも使えばいいだろう。
授業終わったらダッシュで駅に行けば日没までにはギリ到着しそうでもある。
まあ待て、と小泉が首を振って静止する。
「私も同行する」
「きょうちゃん、アンタも気ぃつけんしゃあよ。あんたまで飛ばされちゃあどうにもならんけぇ」
帰り際に婆さんが小泉に声を掛けた。
「私に限ってそういうことは絶対ないから大丈夫よ、ばあちゃん」
小泉は婆さんを安心させるように断言した。
どういう意味かはよくわからなかったが、俺は大満足だった。
婆さんは紙袋いっぱいに俺に土産を持たせてくれた。
缶詰に乾物系、駄菓子類に仏壇に供えてあった法事用の砂糖やらの食料を大量に入手できたのでマジでテンションが上がった。
しかしあれだな、田舎の年寄りのいる家庭って“仏壇”がホーム画面みたいな部分あるよな。
何をするにもまず仏壇だ。
客が来たら仏壇に線香を上げてくしお供え物も置いてく。
客が持ってきた手土産も一旦仏壇に供えてから後で食べたりする。
客が帰る時は仏壇横に山積みになったお中元やらお歳暮やらの贈答品を持たせたりする。
実質プレゼント交換だろ、これ。
俺は実質、爺さん婆さんに育てられたからこういうのが生活の一部に組み込まれちまってるんだけどな。
だからなんかよそんちであっても婆さん宅はなんか落ち着く。
まあなんにせよ、飯も食えたし食料が入手出来たので俺は全く無問題だった。
帰り道、小泉が呆れながら俺を見ている。
「お前な……多少は遠慮ってものがないのか」
「田舎の爺さん婆さんってのはよ、とにかくこういう事をしたがる生き物なんだよ。遠慮せずに甘えるのも孝行ってもんだ」
知った風に偉そうな台詞を言ってみたものの、これは俺の本心だった。
爺さん婆さん、あるいは両親。
人間はいつ居なくなるかわからない。
甘えられるうちに甘えておくのもいいと思うんだよな。
爺さん婆さんが死んでしまった後ではもうどうすることもできない。
俺はふと母親の事を思い出した。
俺の母親はどこに行き、どこで暮らしていると言うのだろう。
まさかこの旧地図にある神社で生活しているとでもいうのだろうか。
あの婆さんも結局、何も知らなかったようだしな。
俺の思考を読み取ったかのように小泉がしんみりとした口調で呟いた。
「まあ、調べていくうちにいずれお前の母親のことも必ずわかるはずだ」
お前が忌み子であるという事を知っているはずだからな、となぜか小泉は断言する。
どうしてそう言い切れるのだろう。
まだ俺の知らない何かがあるのだろうか。
ともかく、と俺は小泉に言った。
「あの神社に行ってみないといけないんだろ?」
俺は明日の放課後にでもあの神社に行くつもりだった。
アシはないが電車でもなんでも使えばいいだろう。
授業終わったらダッシュで駅に行けば日没までにはギリ到着しそうでもある。
まあ待て、と小泉が首を振って静止する。
「私も同行する」
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