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ep.3.

ep3 . 「嘘つき黒ギャルと初めての男女交際」 俺抜きで廻る世界

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デジタルの表示が目に映る。

乾いた笑いが漏れる。

誰だ?今笑ったのは?

俺だ。

俺は“戻って来た”のだ。

メッセージが一件来ている。

小泉からだった。

『目が覚めたら神社に来い』

ただそれだけの連絡だったが妙に安心する。

俺はゆっくりと起き、制服に着替えると小泉が巫女を務める神社に向かった。

小泉が臨時で間借りしているという境内エリア内にある離れのドアを叩く。

小泉の返事が聞こえる。

いつも夜更かししてゲーム三昧のはずの小泉は既に起きていた。

ご苦労なことだ。

俺は笑いを堪えるのに必死だった。

なぜだか急に全部が馬鹿馬鹿しく思えて来た。

『ちょっと待て』という声と共に巫女の着物姿の小泉が出てきた。

こんな時間に巫女装束でスタンバイか。

毎回巻き込まれてお気の毒にな。

離れから社務所に通された俺はもうどうでも良くなっていた。

もう全部終わった事だ。

何をしてたんだ小泉は?

またいつもの覗きまがいの調査か?

何をどう確認してもらっても構わねぇよ。

小泉に促されるまま俺は座卓の前に座る。

俺の前に正座した小泉は以前に持っていた和綴じの帳面と古びた文庫本を取り出す。

俺は座卓の上に置かれた帳面と今までとは別の文庫本をなんとなく見つめた。

ボロボロになった古びた文庫本の表紙には『夜間非行』というタイトルが付けられている。

誰がやってるのか知らんけど毎回毎回ご丁寧な呪いだな。

意を決したように深呼吸した小泉は真っ直ぐに言い放った。


「佐藤。お前は童貞を捨てて戻ってきたようだな」


ああ、と俺は頷いた。

自分・・で決めた事だからな」

「 自分・・で、か」

小泉は一瞬、複雑そうな表情を浮かべた後に俺に尋ねた。

「……今回は泣いたり取り乱したりしないんだな?」

全てを終えた俺は寧ろこの状況に安堵していた。

「この日に『戻って来れた』っていうこの結果だけで十分だ」

文庫本だ?記録だ?俺は興味ねぇからセンセェだけで勝手に確認でも何でもしてくれよ、と俺は大袈裟に肩をすくめてみせた。






「悪者は俺だけでいい。世界は俺抜きで回ってく。そうだろう?センセェ」



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