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ep.3.
ep3 . 「嘘つき黒ギャルと初めての男女交際」 清濁を飲ませる
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「こんなん逃げるの無理ゲーだろうが。俺だって無理だぜ?」
大雨の日。ワンボックスカー。山の中。大人の男は二人。こちらは一人。
断れなかった、嫌と言えなかったと言ってもこれはどう考えても卑怯な犯罪だろう。
そういうシチュを敢えて作り出してるんだからな。
それは……と諸星キクコは言葉を詰まらせる。
諸星キクコはただでさえ痛い思い、怖い思いをしてショックを受けている。
追い討ちを掛けるような事は出来ればあまり言いたくはなかった。
でも、これだけは言わなきゃいけないと思った。
「お前は自分の意思で選んでこうしたって思ってるかもしれねぇ」
けどそうじゃねぇだろ、と俺は強調した。
「これはれっきとした強姦でお前は被害者じゃねぇか」
身体の痛みと心の痛み、後悔。
”自分が選んでそうしたんだ“ と思う事でこれ以上の傷を負うのを必死でガードしているのかもしれない。
それなのに、身も心もズタズタな諸星キクコに『お前は強姦されたんだろう』なんて断言するなんて。
俺にはそんな権利もなければそんな立場にもない。
それでも言わずにはいられなかった。
「俺は卑怯なのが大嫌いなんだ」
俺は自分でも驚くくらいブチ切れていた。
諸星キクコにではない。
そうだ。俺は女に泣かれるのと卑怯な奴が大嫌いなんだよ。
大人の立場を利用して2対1で逃げられない状況にした上で?
あたかも合意があったかのように振る舞って強姦?
大人の女だと訴えられかねないから中学生を狙ったのか?
黒ギャルだから流れで押し通せば言いくるめられるだろうと思ったか?
俺はベンチから立ち上がると諸星キクコに言った。
「そろそろ帰るわ」
涙目の諸星キクコは不安げに俺の顔を見上げた。
「……なんか、ゴメンね。アンタのこと利用しようとして」
へぇ?利用?初耳だな、どういう事だよ、と俺は諸星キクコに問いただした。
「……アタシ、馬鹿だからさ」
諸星キクコはまた俯いた。
「こんなアタシはレイジと付き合う資格なんか無いんだって思ってさ。ワケも言わずに勝手に別れようって言い出したのに」
その言葉は震えてまた涙声になる。
「……レイジって優しいでしょ。何も聞かずに『わかった』って言うの。アタシ、自分から別れようって言っておいてすごく後悔して……」
日はすっかり暮れかけていた。
「追いかけて来てほしくて、だから、アンタを彼氏にしようと思ったの。アンタってこの辺じゃ有名なヤンキーだし、良くも悪くも目立つでしょ」
……モブ男子と付き合うより目立つかなって、と諸星キクコは済まなさそうに呟いた。
だいたいの話の流れは把握できた。ん?俺ってそんな悪目立ちしてたのか?そっちも初耳なんだが。
自分から黙って身を引こうとしたのはいいけど、理由も聞かれずあっさり了承されてしまったから御月に追いかけて来てほしかったって事か。
じゃあ、ますますこの話は御月にすべき案件じゃねぇのか。
諸星キクコがこの話を御月に打ち明けたとして、別れを選ぶような男だろうか。
俺は首を振った。
アイツはそんな事、絶対にしねぇ。
そういう奴じゃないんだ。アイツは。
俺は御月の顔を思い浮かべた。
じゃあ、アイツならどうするだろうか。
少し考えた後、俺は諸星キクコに確認した。
「なぁ、俺たちってまだ付き合ってるよな?」
……うん、まあそうだろうけど、と諸星キクコは小さく答えた。
俺の腹は既に決まっていた。
「じゃあさ、悪ィんだけどもうちょっとだけ俺に付き合ってくんね?」
大雨の日。ワンボックスカー。山の中。大人の男は二人。こちらは一人。
断れなかった、嫌と言えなかったと言ってもこれはどう考えても卑怯な犯罪だろう。
そういうシチュを敢えて作り出してるんだからな。
それは……と諸星キクコは言葉を詰まらせる。
諸星キクコはただでさえ痛い思い、怖い思いをしてショックを受けている。
追い討ちを掛けるような事は出来ればあまり言いたくはなかった。
でも、これだけは言わなきゃいけないと思った。
「お前は自分の意思で選んでこうしたって思ってるかもしれねぇ」
けどそうじゃねぇだろ、と俺は強調した。
「これはれっきとした強姦でお前は被害者じゃねぇか」
身体の痛みと心の痛み、後悔。
”自分が選んでそうしたんだ“ と思う事でこれ以上の傷を負うのを必死でガードしているのかもしれない。
それなのに、身も心もズタズタな諸星キクコに『お前は強姦されたんだろう』なんて断言するなんて。
俺にはそんな権利もなければそんな立場にもない。
それでも言わずにはいられなかった。
「俺は卑怯なのが大嫌いなんだ」
俺は自分でも驚くくらいブチ切れていた。
諸星キクコにではない。
そうだ。俺は女に泣かれるのと卑怯な奴が大嫌いなんだよ。
大人の立場を利用して2対1で逃げられない状況にした上で?
あたかも合意があったかのように振る舞って強姦?
大人の女だと訴えられかねないから中学生を狙ったのか?
黒ギャルだから流れで押し通せば言いくるめられるだろうと思ったか?
俺はベンチから立ち上がると諸星キクコに言った。
「そろそろ帰るわ」
涙目の諸星キクコは不安げに俺の顔を見上げた。
「……なんか、ゴメンね。アンタのこと利用しようとして」
へぇ?利用?初耳だな、どういう事だよ、と俺は諸星キクコに問いただした。
「……アタシ、馬鹿だからさ」
諸星キクコはまた俯いた。
「こんなアタシはレイジと付き合う資格なんか無いんだって思ってさ。ワケも言わずに勝手に別れようって言い出したのに」
その言葉は震えてまた涙声になる。
「……レイジって優しいでしょ。何も聞かずに『わかった』って言うの。アタシ、自分から別れようって言っておいてすごく後悔して……」
日はすっかり暮れかけていた。
「追いかけて来てほしくて、だから、アンタを彼氏にしようと思ったの。アンタってこの辺じゃ有名なヤンキーだし、良くも悪くも目立つでしょ」
……モブ男子と付き合うより目立つかなって、と諸星キクコは済まなさそうに呟いた。
だいたいの話の流れは把握できた。ん?俺ってそんな悪目立ちしてたのか?そっちも初耳なんだが。
自分から黙って身を引こうとしたのはいいけど、理由も聞かれずあっさり了承されてしまったから御月に追いかけて来てほしかったって事か。
じゃあ、ますますこの話は御月にすべき案件じゃねぇのか。
諸星キクコがこの話を御月に打ち明けたとして、別れを選ぶような男だろうか。
俺は首を振った。
アイツはそんな事、絶対にしねぇ。
そういう奴じゃないんだ。アイツは。
俺は御月の顔を思い浮かべた。
じゃあ、アイツならどうするだろうか。
少し考えた後、俺は諸星キクコに確認した。
「なぁ、俺たちってまだ付き合ってるよな?」
……うん、まあそうだろうけど、と諸星キクコは小さく答えた。
俺の腹は既に決まっていた。
「じゃあさ、悪ィんだけどもうちょっとだけ俺に付き合ってくんね?」
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