[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep.3.

ep3 . 「嘘つき黒ギャルと初めての男女交際」 今度はこっちから黒ギャルを攻める

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放課後の公園で諸星キクコにエンカウントしたのはその翌々日の事だった。

よお、探したんだぜ?と俺の方から向こうに声を掛けた。

「は?何よ…?」

諸星キクコは相変わらず不機嫌そうな視線を俺に向ける。

「いいからこっち来いよ」

俺は諸星キクコの手を引っ張った。

俺の彼女なんだろ?と確認するように睨みつける。

ちょっと何なのよ急に!?と警戒している様子のコイツの手を引いてベンチに座るよう促す。

俺ら付き合ってるんだよな?と念押しすると諸星キクコは観念したように黙って座った。

なんとなく俺の意図を察したようだった。

オメーとは今までちゃんと向き合ってなかったよなぁ?と俺も諸星キクコの隣に座った。

「お茶でも飲んで……話でもしようや?」

前回好き勝手言われたので今回は自販機で無糖の紅茶を買っておいた。

俺は諸星キクコにそれを渡す。これで文句ねぇだろ?

給料が昨日入ったので自分用にメロンクリームソーダも一緒に買っておいた。

この黒ギャルが何を言おうと俺は自分のやりたいようにやってやろうと思った。

個人の感情なんて他者にどうこう出来るものじゃねぇんだからな。

ソーダを一口飲んだ俺は諸星キクコにこう切り出す。

「オメーが俺の彼女だって言うならよ、俺の言うことはなんでも聞くんだよなぁ?」

「は?内容によるでしょ?勝手に決めないでくれる?」

諸星キクコは不快感を隠すこともせず眉間に皺を寄せる。

「まぁいいけどよ。こっちから勝手に喋らせてもらうぜ?」

秋の入口、10月の初めの風が心地よく公園内を横切る。

雲一つない空は清々しい青空を提供し秋の日の午後を演出していた。

30分ほどだろうか。俺たちはそのままベンチに座っていた。

諸星キクコは微動だにしなかった。

「……で、そういう事なんだが分かったか?」

俺は諸星キクコに確認する。

は?とぼんやりしたようなキレの悪い返事が返ってきた。

おいおい、いつもの威勢のいいテンションはどうしたんだよ?と俺は鼻で笑ってやった。

「俺のハナシ、ちゃんと聞いてたよなぁ?」

それは……と諸星キクコは小さな声で言葉を詰まらせる。

「おいおいおいおい、お前のカレシが真横でずっと喋ってたんだぜ?」

なんで聞いてねぇんだよ?と俺は追撃を加えることも忘れなかった。

「……なんの話だったっけ?」

諸星キクコは俯いて答える。

「俺が好きな映画のハナシしてたんだけどよ?ちゃんと聞いてたよなぁ?」

「えっと……」

居心地悪そうな黒ギャルは小さく呟いた。

「えっと…ジブリ系、だったよわよね…?」

俺は黙った。

確定だった。

「なあ、お前さ」

俺は諸星キクコの肩を掴んだ。

「俺のこと好きじゃねぇだろ?」

なんで付き合うとか言い出した?と俺は諸星キクコを睨み付けた。

「は?何なのよ急に!?」

「俺はこの30分ばかしずっと『トレインスポッティング』のハナシしてたんだぜ?」

全っ然聞いてねぇって事はどんだけ俺に興味ねぇんだよお前、と俺は確信しながら言った。

「は?ヲタクなの?キモ」

トレインスポッティングの“トレイン”部分にだけ反応した諸星キクコは心底嫌そうな表情を浮かべた。

「せっっかく俺があらすじとか延々と語ったのによ、1ミリも聞いてねぇって寧ろ逆にスゲェわ」

というか、好きな映画のことだったら二時間でも三時間でも語れる自信はあった。

肝心の諸星キクコは聞く気は全くなさそうだが。

オマケに安牌で当たり判定の広い『ジブリ系』とかいう答え方しやがる。

その辺りのズルさも微妙にムカついた。

俺だってラピュタとかは好きなんだよ。ジブリを冒涜しやがって。

「興味もねぇし、1ミリもハナシを聞く気もねぇ対象の俺とどうして付き合おうって思ったんだよ?」

諸星キクコは黙っていた。

「オメェが話す気なくても話してもらうつもりだけどなぁ!?」

俺は黒ギャルの肩に掛けた手に力を込めた。

俺はブチ切れる寸前だった。

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