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ep.3.
ep3 . 「嘘つき黒ギャルと初めての男女交際」 23時、性行為について話し合う
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フラれたって…嘘だろ、と思わず俺は御月の顔を見た。
御月は黙って俯いている。
ヤバい、ガチな上に吹っ切れてもねぇじゃねーか。
「どうしたんだよ…なんかあったのか?」
嫌じゃなけりゃ話してくれよ、と俺は御月に促す。
「まぁ、言いたくなけりゃ無理にとは言わねぇけどよ……」
無理に聞き出すのは気が引ける。
でも誰でもいいから話を聞いてほしい時ってあるだろ?
もし御月が吐き出したい事があるのなら聞いてやりたいと心底思った。
それほどまでに御月は追い詰められたような表情をしていた。
「……多分だけど……おれが悪かったんだと思う……」
御月は少し冷えて少し薄くなったグレープジュースを飲みながら小さく呟いた。
「悪いって…例えば無理矢理ヤろうとしたとか……?」
御月は俯いたまま静かに首を振った。
「……多分逆だったんだ…」
「それって?」
「……ヤらなかったから……」
え?どういうことだよ?と俺は再び御月の顔を見た。
ヤらなかったからってどういうシチュだよ。
「……彼女とは一年の三学期から付き合ってたんだけど……」
その間も何回も『して』って言われてたけど出来なかったから、と御月はジュースを一気に飲んだ。
「向こうからも“して”ってリクエストあったのにヤらなかったんか?」
なんでだよ、と聞きながら俺はおかわりをグラスに注ぎ、氷も上から追加した。
「……出来ない」
御月は静かに呟いた。
どうして、と俺が尋ねる前に御月が先に口を開く。
「……本当に大事だから……だから、出来なかった」
一瞬、時間が止まった気がした。
[大事]
[大切だから出来ない]
俺の記憶の中の何かが暴れ出す。
理由は解らないが、御月の言っていることはストンと俺の中に入って来たのが感じられた。
俺の中にもそういう感情の記憶があった?
いや、わからない。
思い出せない。
だけど。
御月の感情は俺の中に自然に流れ込んできた。
「……おれの家は水子供養専門の寺だろう?」
小さい時から供養の様子はずっと見ていたし知っている、と御月はぎゅっと唇を噛んだ。
「……うちに来る人たちがどんな気持ちで供養してるか……考えただけでいつも辛くなる……」
俺は黙って御月の話を聞いていた。
「彼女とはずっと一緒だって……このまま結婚するって信じて疑ってなかった」
だからこそ大事にしたいし、ゆっくり付き合って行けたらって思ってたんだ、と御月はまたジュースを一気に飲んだ。
理由は解らないが何故か俺も泣きそうになった。
もらい泣きってやつか?
わからない。
だけど気付いたら俺は御月の手をガッシリ掴んでいた。
「解るぜ…!そういう時ってあるよな…!」
花園リセの一件。
本当に尊敬していて大切に思っていた花園リセに対して俺は酷い事をしてしまった。
ヤッた側の俺が傷付いているなんてマジで図々しい事だろうとは思う。
しかし俺は自らやらかしてしまった側にも関わらず、勝手に傷付いて引きずっていた。
俺と御月のケースは全く違うとは理解している。
けれど何か共通する痛みのようなものを俺は御月から感じ取っていた。
[好きだからこそヤれない]
相手を大事にしたいし、いたずらに傷付けたくない、という気持ちは痛いほど理解できた。
「なあ御月、酒は飲めるか?」
少しなら、と言う御月のコップに俺は日本酒を少し注いだ。
氷を入れ、上から更にジュースを注ぐ。
「ちょっとだけ飲もうぜ」
忘れようぜお互い、と俺は御月の肩を叩いた。
しかし思ったより多く酒を注いでしまい、俺と御月は予想外に酔ってしまっていた。
御月は黙って俯いている。
ヤバい、ガチな上に吹っ切れてもねぇじゃねーか。
「どうしたんだよ…なんかあったのか?」
嫌じゃなけりゃ話してくれよ、と俺は御月に促す。
「まぁ、言いたくなけりゃ無理にとは言わねぇけどよ……」
無理に聞き出すのは気が引ける。
でも誰でもいいから話を聞いてほしい時ってあるだろ?
もし御月が吐き出したい事があるのなら聞いてやりたいと心底思った。
それほどまでに御月は追い詰められたような表情をしていた。
「……多分だけど……おれが悪かったんだと思う……」
御月は少し冷えて少し薄くなったグレープジュースを飲みながら小さく呟いた。
「悪いって…例えば無理矢理ヤろうとしたとか……?」
御月は俯いたまま静かに首を振った。
「……多分逆だったんだ…」
「それって?」
「……ヤらなかったから……」
え?どういうことだよ?と俺は再び御月の顔を見た。
ヤらなかったからってどういうシチュだよ。
「……彼女とは一年の三学期から付き合ってたんだけど……」
その間も何回も『して』って言われてたけど出来なかったから、と御月はジュースを一気に飲んだ。
「向こうからも“して”ってリクエストあったのにヤらなかったんか?」
なんでだよ、と聞きながら俺はおかわりをグラスに注ぎ、氷も上から追加した。
「……出来ない」
御月は静かに呟いた。
どうして、と俺が尋ねる前に御月が先に口を開く。
「……本当に大事だから……だから、出来なかった」
一瞬、時間が止まった気がした。
[大事]
[大切だから出来ない]
俺の記憶の中の何かが暴れ出す。
理由は解らないが、御月の言っていることはストンと俺の中に入って来たのが感じられた。
俺の中にもそういう感情の記憶があった?
いや、わからない。
思い出せない。
だけど。
御月の感情は俺の中に自然に流れ込んできた。
「……おれの家は水子供養専門の寺だろう?」
小さい時から供養の様子はずっと見ていたし知っている、と御月はぎゅっと唇を噛んだ。
「……うちに来る人たちがどんな気持ちで供養してるか……考えただけでいつも辛くなる……」
俺は黙って御月の話を聞いていた。
「彼女とはずっと一緒だって……このまま結婚するって信じて疑ってなかった」
だからこそ大事にしたいし、ゆっくり付き合って行けたらって思ってたんだ、と御月はまたジュースを一気に飲んだ。
理由は解らないが何故か俺も泣きそうになった。
もらい泣きってやつか?
わからない。
だけど気付いたら俺は御月の手をガッシリ掴んでいた。
「解るぜ…!そういう時ってあるよな…!」
花園リセの一件。
本当に尊敬していて大切に思っていた花園リセに対して俺は酷い事をしてしまった。
ヤッた側の俺が傷付いているなんてマジで図々しい事だろうとは思う。
しかし俺は自らやらかしてしまった側にも関わらず、勝手に傷付いて引きずっていた。
俺と御月のケースは全く違うとは理解している。
けれど何か共通する痛みのようなものを俺は御月から感じ取っていた。
[好きだからこそヤれない]
相手を大事にしたいし、いたずらに傷付けたくない、という気持ちは痛いほど理解できた。
「なあ御月、酒は飲めるか?」
少しなら、と言う御月のコップに俺は日本酒を少し注いだ。
氷を入れ、上から更にジュースを注ぐ。
「ちょっとだけ飲もうぜ」
忘れようぜお互い、と俺は御月の肩を叩いた。
しかし思ったより多く酒を注いでしまい、俺と御月は予想外に酔ってしまっていた。
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