上 下
112 / 1,060
ep2 .

ep2 . 「訳有り令嬢と秘密の花園」 穢された聖母

しおりを挟む
小泉は黙ったまま俺を静かに見つめていた。

なにも否定も肯定もしてくれなかった。

どうして?

なんで何も言ってくれないんだ?

俺は目の前の文庫本をチラリと見た。

これを読んだのか、小泉は。

俺が童貞を捨てている。

しかも相手は花園リセだ。

それは何を意味するのか自分でもよく解っていた。

あの優雅で聖母のような彼女が俺を相手になんかする筈がない。

だとしたら。

考えたくもなかった。

おぞましい、という言葉がこれほど相応しい場面もないだろう。

あの御令嬢を、この手で……

信じられる訳がなかった。

俺の体温が少しずつ下がっていくのが体感できた。

意を決した俺はその古びた文庫本を手に取る。

俺の手は小刻みに震えていた。

動かしてないんだ。

勝手に手が震えて止まらなかった。

薄目でパラパラとめくって飛ばし読みしてみる。

嫌でも目に飛び込んで来る文字列。

俺の意思とは関係なく進行していく内容。

だが。

これ以上はもう見ることが出来ず、俺は座卓の上に本を静かに置いた。

俺は目を伏せた。

少しではあるが見てしまった。

物語終盤。

作中の主人公は確かに完遂・・していた。

未遂・・じゃないんだ。完遂・・なんだ。

その事実は俺の心を滅多刺しにしてくる。

嘘だろ?

俺がそんな事をやったという証拠でもあるのか?

無いだろ?

嘘に決まってる。

こんな酷い事を花園リセに、よりによって俺が?

手だけではなく膝まで震えてきた。

「センセェ、俺、絶対にこんな事やってねぇんだ」

俺は縋るように小泉に吐き出す。

「俺は誓ってやってない。本当なんだ」

信じてくれよ、と言いかけたが言葉が出ない。

どうして何も言ってくれないんだ小泉?

どうして?

小泉は黙ったまま立ち上がると奥の部屋へ消えた。

よくお供えものが乗っている木製の置物(三宝と言うらしい)を手にして戻って来るなり、座卓の上に置いた。

木の棒の先にヒラヒラした半紙を付けた物(御幣と言うらしい)を手にした小泉は俺の頭上と背中で何やらバサバサと妙な動きをしている。

なんだ?

お経のような言葉を唱えながら(祝詞と言うらしい)俺の身体の上を掃除するように棒を振っている。

頭がキーンとする。

耳鳴りか?

わからない、だが得体の知れない恐ろしい何かが行われていることは理解できた。

頭が割れるように痛くなった。

棒をひとしきり振った後、小泉は座卓の上に置かれたお供え物?を俺の前に差し出した。

小皿に乗った塩、酒、餅が置かれている。

俺は塩を舐めさせられ、酒を少量飲まされた後に餅を食うよう指示された。

砂糖醤油や海苔はないのか、と聞くと正月じゃ無いんだぞと何故か怒られた。

食いずらいがなんとか無理矢理ヤケクソ気味に飲み込み、後で水を貰って飲んだ。




水を飲み終わって一息付いた瞬間、大きな静電気が目の前で起こったような音と痛みが走った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

愛娘(JS5)とのエッチな習慣に俺の我慢は限界

レディX
恋愛
娘の美奈は(JS5)本当に可愛い。そしてファザコンだと思う。 毎朝毎晩のトイレに一緒に入り、 お風呂の後には乾燥肌の娘の体に保湿クリームを塗ってあげる。特にお尻とお股には念入りに。ここ最近はバックからお尻の肉を鷲掴みにしてお尻の穴もオマンコの穴もオシッコ穴も丸見えにして閉じたり開いたり。 そうしてたらお股からクチュクチュ水音がするようになってきた。 お風呂上がりのいい匂いと共にさっきしたばかりのオシッコの匂い、そこに別の濃厚な匂いが漂うようになってきている。 でも俺は娘にイタズラしまくってるくせに最後の一線だけは超えない事を自分に誓っていた。 でも大丈夫かなぁ。頑張れ、俺の理性。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜アソコ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとエッチなショートショートつめあわせ♡

俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。

ねんごろ
恋愛
 主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。  その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……  毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。 ※他サイトで連載していた作品です

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

お尻たたき収容所レポート

鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。 「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。 ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

処理中です...