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ep1.
ep1.「呪いの宣告」 女とヤリ放題の呪いとスキル?
しおりを挟むどうやら俺は既に童貞を捨てていたという事が判明した。
急にそんな事言われても。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「短刀直入に言おう。お前は呪われている」
副担任の教師、小泉に美術準備室に呼び出された俺は耳を疑った。意味がわからない。
そもそも放課後に呼び出しがあったのも何かのお説教だと思っていた。
新手の嫌がらせだろうか。
悪いことをする子どもに『お化けが出るぞ』『バチが当たるぞ』と言って脅して宥めすかせる手法だろうか。
だとしたら程度が低すぎる。そもそも俺はそこまで子どもじゃあない。
もう14だしそんなお化けだの怪談だのにビビるような年齢でもない。
「用事はそれだけか?帰っていいか?」
うんざりして帰りかけた俺に小泉が追い討ちをかけるように宣告する。
「お前は忌み子だ。ちゃんと記録でも調べて裏取りもした。間違ってない」
小泉は古びた書物のような物を手に真っ直ぐに俺を見ている。
今年の春に短大を卒業したばかり、まだ二十歳そこそこの女教師である小泉は俺にとって苦手な存在だった。
いつも俺に対して睨みつけるような険しい視線を向けてくる。
忌み子だの呪いだの言われてもピンと来ないし何の興味も湧かなかった。
「じゃあ先生の神社でお祓いでも除霊でもやっといてくれよ。出来るんだろ?」
小泉が家業の手伝いとかで毎週日曜日は神社で巫女の手伝いをしているのは知っていた。
(公務員が副業してもいいのかどうか知らないが、家業の手伝いはセーフらしい)
「うちの神社では除霊はやっとらんぞ」
まあ聞け、と小泉はため息をついた。
「話は長くなるからな。まあ座れ。これでも飲め」
小泉は小型冷蔵庫から冷えたスポーツドリンクを取り出して俺の目の前に置いた。
美術準備室は本来なら倉庫のような役割の部屋のはずだが、小泉は冷蔵庫やら私物やらを勝手に持ち込んで自由に私物化していた。
快適にカスタマイズされたこの一室は完璧に小泉のマイルームとなっていた。
アニメのフィギュアやグッズが飾られた部屋を眺めながら俺はスポーツドリンクに口を付けた。
「佐藤、お前は夏休みに童貞捨ててるな?」
俺は盛大に口に含んだスポーツドリンクを吹き出した。
「は!???」
スポーツドリンクは目の前に居た小泉の顔に派手に掛かってしまった。
「目に入ったろうが。気をつけろ」
小泉が俺を睨みつけながらタオルで顔を拭く。
俺は全力で首を横に振った。
「いやいやいやいや……やってない!やってない!」
小泉が俺を制止する。
「だから聞け。呪いだって言ってるだろう」
小泉は手に持っている書物のような物をパラパラとめくった。
時代劇とかゲームにも出てきそうな和綴じの古びた書物だった。
「童貞を捨てる度に強制的に時間が戻されてしまう。それがお前の呪いだ」
意味がわからなかった。
そんな話は聞いたことがない。小泉は何を言ってるのだろう。
「俺が一回童貞捨てて時間を戻って来たって言いたいわけか?」
小泉は黙って頷いた。
「正確には一回どころじゃないかもな」
意味がわからない。俺が何度も時間を行き来してるとでも?
「じゃあ何か?俺は知らない間に非童貞になってるって?」
「そうじゃない。何せ事後から数日間の時間を戻ってるんだからな。結局童貞のままだろう」
だが、と小泉は続けた。
「童貞を捨てる度に相手の記憶が消えて時間を戻せるというのは呪いという名のスキルかもしれんな」
「……はあ、スキルねぇ」
なぜ小泉がこんな奇妙な話を俺に聞かせるのか。
にわかには信じがたい話ではある。しかし、なんとなくだが心当たりはあった。
俺は三日前の事をぼんやりと思い出していた。
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