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ep0. 5 「真夏と昼の夢」 ( 蜂蜜とオーバーキル)

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遠慮がちに重なっていた唇と唇は本能に従ってお互いに強く求め合うようにその距離を更に縮める。
背筋にゾクゾクとした微弱電流が走る。
少年はマコトのその細い腰を抱き寄せて更に強く力を込める。
唇から唇へ溶けそうな未知の感覚が流れ込んでくる。
抱き合って口づけを交わす。
ただそれだけなのに。
今まで経験したことのない快感にその身体を支配されていく。
その唇はさらに激しくお互いを求め合って離れない。
少年は右手でマコトの左頬に触れ、その左手でマコトの後頭部を愛おしそうに抱きとめた。
駅前や公園でカップルたちがイチャイチャとしているのをしょっちゅう見かけては苦々しく思っていた。他所でやりやがれぐらいにはうんざりしていた。
しかし、今なら理解できる。
こんなに気持ちいい事だったんだ。
世の中のカップルはこんな事を人前でやってたのか?
もうこれだけでイッてしまいそうになるのに。
幼さの残る唇から体液が洪水のように雪崩れ込む。
唾液。
理科の実験でやったっけ?試験管にデンプン溶液とヨウ素を入れて?何を調べたんだろう。ベネジクト液って何だったっけ?結果は?何て解答欄に書いた?ああ駄目だ、一学期の範囲も二学期の予習部分も全部ぶっ飛んじゃった。だって学校で唾液のこんな使い方教えてくれなかったじゃない?アミラーゼは消化酵素?そんなことどうでもいいや。めちゃくちゃ気持ちいい。もう全教科分の休み明けテストの範囲忘れてもいい。
リトマス試験紙よりも赤く頬を染めたマコトは恍惚とした表情を浮かべた。ああ、僕って酸性なの?マコトのパーカーの下のその白い肌は上気し赤みを増していく。
少年はマコトの首筋に強く唇と指を這わせてその痕跡を残していく。マコトは肩を小さく震わせて声が漏れるのを我慢していた。我慢してないで声出せよ。お前の声が聴けるの今日が最後なンだからよ。少年が耳元で囁く。
途中で思い出したように少年がマコトの下腹部を弄り始めた。ミニスカートの下にある小さな布切れを掴むとそのまま大腿部まで引き摺り下ろす。マコトが小さな悲鳴を上げる。やっ!ダメ!とマコトが抵抗する。少年は一気に足首までそれを下ろすと素早く剥ぎ取った。水色か、と呟いた少年は布切れをテーブルの上に放り投げた。
小さな布切れは汗と水分を吸収して半分以上その役割を放棄していた。
帰路の事も考慮して序盤で汚れる前にアンダーウェアは剥ぎ取っておけという佑ニーサンのアドバイスだった。
あれだけオーバーキル状態にまで追い込んでくれた割には直前で電話で謎のアドバイスをくれたのだった。
少年はパーカーのジッパーに手を掛けると一気に下まで下ろした。マコトの白く華奢な身体のラインが露わになる。上気した肌を少年がそっと撫でるとマコトはその身体をピクリと反応させる。控えめな胸には水色の布切れが纏わり付いている。フロントホックか、と呟いた少年は胸の中央のホックを手に掛ける。パチンという小さな音が部屋に響き桜色の隆起が暴かれる。ダメ…!と小さく呟いたマコトはその袖で身体を必死に隠そうと抵抗する。
嘘。可愛いし。絶対可愛い。と少年は耳元で囁きながらその腰から大腿部へのラインをパーカーの上からそっと撫でる。マコトは小さな声を漏らしビクンとその身体を反応させた。少年はマコトの姿を眺めた。黒いパーカーを羽織り白い肌を隠そうとしているがその肩から胸にはには小さな布切れが纏わり付いているだけで無防備そのものだった。ミニスカートの下の素肌を隠そうと身を捩り恥じらう姿は官能的でずっと眺めていたい衝動にも駆られた。
ああ、でも全部脱がせようか。少年はマコトのソックスを剥ぎ取りスカートにも手を掛けた。ちょ……取らないでよ、とマコトがその裾を押さえ抵抗してみせる。
でも汚したら駄目だろ?帰り道に人の目もあるンだし、と少年は有無を言わさずスカートを剥いで地面に投げた。見ちゃダメ!とマコトは身を捩ってパーカーの袖で露わになった下腹部を隠そうと必死になっている。
マコト、と少年はその名前を呼びながらパーカー越しにその身体の胸の先端から腰のラインを触れてなぞっていく。マコトの身体が一瞬ビクッと跳ねる。
ガックン、と切なそうな表情のマコトは震えながらその防御を徐々に緩める。
少年はその腰から臀部、太腿から膝、脛、足首そして爪先をゆっくりと確認するように唇と指を這わせた。初めて発見した自分自身の中の征服欲に似た感情に少年は戸惑いながらもその思考を麻痺させていた。先刻まで確かに少年自身の中にあった凛とした真っ直ぐな矜持や信念は濁流のような場の流れに飲み込まれ跡形もなく決壊していた。
それはマコトも同じだった。身を捩り声を押し殺しその快感に耐えていたが堪らず音を上げる。
ああ、なんかもうダメ。頭おかしくなりそう。と上気した表情で訴える。
二人とも沸騰寸前の身体を抱えたままお互いの身体を強く求めあっていた。
マコトの腰が抱き寄せられ朦朧とした上体は起こされる。少年は身体を覆う黒いパーカーを肩から滑らせ腰まで落とした。最後にその小さく柔らかな胸の周囲に纏わりつく紐と布切れを剥ぎ取りテーブルに投げた。一糸纏わない姿になったマコトは僅かな月明かりとモバイルバッテリーの光源に照らされて小さく震えていた。少年がマコトの背中から腰に掌をそっと滑らせるとマコトは身体を小さく波打たせ堪らず声を洩らす。
身体、触られたらすっごいゾクゾクする。もう訳わかんない。
え?マコトお前、と言い掛けた少年の言葉を遮ってその細い身体はまた小さく反応した。
名前。
その名前を呼ばれるとゾクゾクとした微弱電流のような快感がマコトの背中を流れていく。抗い難い不思議な感覚にマコトは身を委ねていた。名前なんて毎日呼ばれてたのに。なんてことはないいつもの会話と変わらないのに。どうしてこんなに身体が反応するんだろう。何でこんなにゾクゾクするの?
ねえ、僕の名前をずっと呼んでてよ。頭がどうかなりそう。マコトは乱れた呼吸のまま懇願する。
マコト。少年がその名前を小さく耳元で囁く。同時にその指を温かな白い太腿の上部、脚の付け根にそっと滑らせた。瞬間、マコトが短く叫びその身体を仰け反らせる。……んっ、と小さな吐息が漏れる。
少年の指がその水分を帯びた小さな突起に触れていた。やっ、ダメそこ触っちゃ……と言い掛けたマコトは掌で自分の顔を覆った。

自分のエンジンが壊れてオイルが漏れているような感触がした。

誤作動なのか正常な使用の範囲内なのか。
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