逢魔ガ時怪異研究所 

 町はずれの何もない草原に建つ不思議な建造物。
 原初の姿を保った自然溢れる土地の中にセメント造りという。アンバランス極まりない。

 表門と思われるものを潜り、木と鉄で出来た玄関の扉の前に立つと表札があった。

 表札には「逢魔ガ時怪異研究所」と表記されている。所々に子供の落書きのようなものも書かれていた。

 ここはどんな場所だろうと、皆様も思われるだろう。さて、どう説明しようか...。

 ― ”誰にも信じてもらえないような物語”が歩み寄る場所、というのはどうだろうか?

 なんだか浪漫があってよいのではないだろうか。
 
 百聞は一見に如かず、さぁ、あがって?見たほうが早い。

 おっと、申し遅れました。私は火黒(かぐろ)、この研究所の所長です。
 といっても、私一人しかおりませんが....。

 あなたが“此処”に来た理由もわかっています。では、お聞かせください。

 — あなたが誰に相談しても信じてもらえない“物語”を.......。
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