「10年間、ずっと好き」 ~再会した美形同級生と恋人になるまでの話~

雨宮ロミ

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第2章:高校時代の俺達

第12話 ヨリとの日々 その2

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“下校の時刻になりました。生徒の皆さんは……”

 突飛な会話を挟みつつ、俺達はポスター製作を進めていると、放送が鳴り響いた。第二ホールの鍵を返し、下校する。ヨリはここから五分ほど歩いたところにある駅の電車で帰り、俺は徒歩で帰る。駅までの道中は一緒だから、二人で歩いていく。夏の夕方のじっとりとした空気を感じながら。背が高い分、ヨリの方が少し歩幅が大きい。けど、歩くスピードは結構ゆっくり。
 ポケットに入れていたスマートフォンが震える。LINIにメッセージが届いていた。

「ごめん、ちょっとLINI見てもいい?」
「うん」

立ち止まって開いた。妹から。「帰りにコンビニでプリン買ってきて」とロリータ服を着たウサギのスタンプが上目遣いでおねだりしているスタンプが送られてきた。仕方ないな。 
 俺はデフォルトでダウンロードされているOKスタンプを送る。そして、スマートフォンをポケットにしまおうとしたところで止まる。そういえばLINIをもらってなかったことを思い出す。いつも第二ホールに行ったらヨリがいたから「今どこにいる?」とか聞かなくてもいい。でも、もうすぐ夏休みに入る。夏休みも集まるとしたらあった方がいい、と思って。

「そうだ、LINI交換しとかない? 夏休みも集まるだろうし」

 入学式の後、友達に連絡先を聞く感覚と同じようにして軽くヨリに訊ねた。けれどもヨリは首を横に振る。

「持ってない」
「え?」
「携帯電話持ってない。電話が来るのが面倒だから」

親は「連絡取れないと大変だから持って」って言うんだけど……と付け加える。

「そうなんだ……」

 まあ、学生だし、携帯を持っていない、ということもあるだろう。

「父さんと母さんの電話番号か固定電話ならあげる。多分すぐ繋がるよ」
「いやそれはいいよ」

 固定電話の番号、ならまだしもヨリのご両親に連絡したらご両親がびっくりしてしまうだろう。やっぱり言うことが随分と突飛だ。

「そっか、じゃあ、LINI入れたら教えて」
「うーん、多分死ぬまで入れないと思う」
「そっか……」

 俺はスマートフォンをポケットにしまって再び歩き始めた。

「ねえ、りせ」
「何?」

 ヨリが歩きながら、俺の方に視線を向ける。そして、耳の方を指さした。

「ずっと思ってたんだけどさ、それ、痛くない?」
「ああ、ピアス? 別に付けてても痛くないよ」

 痛くない、ではないけれどピアスを開けたことは倉田にも指摘された。結構がっつり開けている。

「そっか」
「ヨリもピアス付けるようとしてるのか?」
「いや?」
 
 痛そうに見えるのだろうか。

「寂しくない?」
「……寂しくないよ?」

 また、突拍子もなく、もう一度、同じ質問をされた。今度は誤魔化すようヨリがいたから寂しくはなかった。この間、誤魔化した時のような寂しさは消えていた。

 そして、あっという間に終業式の日を迎えた。第二ホールに向かおうとする。

「ヨリ!?」

 俺は戸惑いながら口にする。廊下でヨリが蹲っていたから。
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