召喚師学園の落ちこぼれ、追放されたので隠していた力を解放して更に上の学園で無双する。今更戻れだって?ふざけるな。俺はここで最強に君臨するんだ

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四天王の存在、そして学園からの呼び出し

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「おい、大丈夫か」

 声を掛けてみるが、返事はない。たっく、それほど本気を出していないというのに……。
 それでもまあ、彼は確かに強かった。

 いきなり突進してきた時は俺もさすがに驚いたよ。



 俺は教室のドアを開ける。
 それと同時に俺に誰かが抱きついてきた。

「な、なんだ……?」

 下を見ていると、そこにはアンナがいた。
 豊満な胸が俺の体に当たっていて、少しドキドキしてしまう。

 白銀の髪をなびかせて、彼女は涙声で言った。

「し゛ん゛は゛い゛し゛た゛ん゛た゛よ゛!」
「おいおい。何言ってんのか分からねえぞ」
「からかわないで!」

 …………。

 ともかく、彼女はかなり心配していたようだ。でもそうか。いきなり一緒に来ていた幼なじみがガラの悪い男に連れさらわれたのだからな。俺の場合泣きはしないが、心底心配するだろうし。

「大丈夫だから。それより、ガイルを頼む」

 言いながら、俺は抱えていたガイルを渡した。
 彼女は困惑しながらもガイルの肩を取り、医務室へと運んでいった。

「ちょっと君!」

 白いスーツを身にまとった若い男が近づいてくる。制服ではないことから先生で間違いないだろう。

「どうしました? 遅刻ではないですよねって――」

 一応、遅刻ではないことを確かめようとした途端、彼は俺の手を握りしめた。
 怒っている様子は一切なく、なんなら表情はとても朗らかだった。

「よくやってくれたね! 彼は問題児で私にも手がつけられなかったんだ。これできっとガイルも反省するだろう! 本当にありがとう!」
「は、はい」

 半ば動揺しつつも、俺はペコリと頭を下げる。
 なんだ。やはり彼は問題児だったのか。

 この学園全員が頭おかしいってわけじゃなくて、彼だけがおかしかったのだな。うん。なんか安心した。
 でも教師よ。生徒が一人気絶してるんだぞ。もう少し心配しろよ。

「ささ、席に座って! アンナに関しては心配しなくていいからね!」
「分かりました」

 俺が席に座ると、教師が「さて」と言い朝のHRが始まる。
 途中、申し訳無さそうにアンナとガイルが入室してきたが、特にお咎めはなかったようだった。

「す、すまなかった。ついカッとなっちゃってな」
「いや、いいんだよ。いい運動になった」

 ガイルが必死で平謝りしてくるのを、俺も必死で制止する。
 情熱的な男と言う印象は間違いなかったらしく、謝るときも情熱的で全力だった。

「それにしてもレイス。どうしてこの学園にやってきたの?」

 アンナが不思議そうに訊いてきた。
 そうだった。彼女たちにはまだ話していなかったな。

「実は成績不振で追放されちゃってさ。だから反省して、これからは全力でやっていこうってなって随時生徒を募集しているこの学園にやってきたんだ。目標はもちろん学園最強! そうすれば絶対に退学にはならないだろう」

 我ながら頭の悪い結論だったが、もし学園一になることができれば退学になることはまずなくなるだろう。
 なんたって学園の顔になるのだから。とんでもないことをしない限り、まず安全だろう。

「おお! 面白そうだなそれ!」

 ガイルが顔をキラキラさせて乗ってきた。
 多分、そんな類の話しが好きなのだろう。顔が物語っている。

「となると、まずは学園の四天王を倒さなくちゃならないですね」
「四天王?」

 言うと、アンナは頷いて話しを続ける。

「この学園には地、水、風、火。四つの属性の最強格と呼ばれる人たちがいます。彼らがこの学園の四天王なの。そして生徒会でもある」
「つうことは、生徒会長もいるってわけだな」
「ええ、そう。生徒会長が所謂学園のトップ。彼を倒せば晴れてレイスくんはトップに君臨することができるはずです」

 逆座りをしながら、彼女は俺の机で指遊びをしている。
 顔をやけに近づけてくるから、甘い香りが俺のところまで届いてきている。

「まあ、レイスくんなら問題ないはずですっ! だってあんなに強いんだもの!」
「ああ! この俺様を倒したんだからな! 絶対に勝てるさ!」

 アンナとガイルたちが俺のことを激励してくれた。
 よし。頑張らないとな。

 彼らは俺が学園に入り、初めてできた友人たちである。
 期待を裏切るわけにはいかない。そして退学にはなりたくない。

 そんなことを考えている時だった。

「レイスさん。こちらに来てください」

 担任教師が教壇から手招きしている。
 俺は返事をし、教師に着いていく。

「あの……急にどうしたんですか」

 廊下。
 俺は半ば困惑しながら教師に訊いてみた。

「……あなたが先日まで通っていた学園の先生がいらっしゃってます。空き教室に待たせているので……どうか……」
「もちろん俺はこの学園に残ります。ですので安心してください」

 言うと、教師は安心したのか胸をなでおろした。

 まったく、とことん俺は面倒くさいことに巻き込まれやすい体質らしいな。
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