4 / 10
ガイルとの戦い、完全勝利
しおりを挟む
一日、俺は彼女の部屋でどぎまぎしつつも次の日を迎えることができた。
寝る前、彼女と同じベッドで寝ようとなった時は本気で死ぬかもしれないと思ったが意外にもぐっすり眠ることができた。
やはり俺は無神経なのかもしれない。
悲しいなぁ。
アンナが着替えると言うので、俺はトイレの個室に入り待機している。
ガサガサと服の擦れる音が外から聞こえてきた。
「…………」
一体彼女は俺にどういう気持ちで待機させているのだろうか。
「出てきていいよー」
「ほいよ」
やっとか。女の子の着替えは本当に長いのな。もうくたくただ。
出ると、そこにはなんとも可愛らしい美少女がいた。
まあ昨日会った時の服装なのだけれど、こう改めて見ると美しいものだった。
「さて、学園に向かいましょうか!」
◆
で、俺は彼女に促されるまま学校に来たわけだが……早速俺は絡まれていた。
「おいこらぁ! アレンを打ち破ったからって調子こいてんじゃねえぞ? 朝から我らのアンナ様と登校だぁ良いご身分じゃあないか?」
眉毛がひたすらに濃く、頭はツルピカ。キャラの濃い人物を挙げよと言われれば真っ先に上がりそうな奴ナンバーワンのような者が教室の入り口前に立ちはだかっている。
早速絡まれるなんて……本当にここは貴族様の学園なのか? 前回の学園ではそんなことなかったぞ。
貴族らしく陰湿な奴らのたまり場だったんだけどな。
「やめてくれ。俺は朝から戦いたくはないんだ」
「あんだとこら!?」
やってしまった。こうなると短気な奴は面倒くさくなる。
彼は名前を名乗ることなく、俺の肩を掴み、外へと連れて行く。
「え、ちょっと!」
「ごめん。先行ってて」
俺は引きずられながら、アンナに手を振った。
◆
まさかこんな短期間の間に二度もコロシアムに訪れることになるとは。
当たり前なのだけれど、そこにはアレンの姿はない。
ってか初日から遅刻確定かよ。
最悪じゃん。
「おいお前、俺のダチをぶっ倒した仇、今取ってやるからな! 〈召喚〉!」
言うと、地面に魔法陣が浮かび上がってくる。
赤色だ。多分彼は炎系の召喚獣を操るのだろう。
だが関係のないこと。俺はオールラウンダーだ。どんな魔獣だって召喚することができる。
の前にだ。
〈鑑定〉
―――――――――――――
氏名 ガイル・リダスタント
種族 人間
◆
物攻 1253
物防 987
魔攻 2341
魔防 2142
速度 534
運 34
―――――――――――――
うへぇ。やっぱこの学園のレベルは高いな。
と言うかガイル、だっけか。コイツの物攻やけに高いな。
召喚師にしては異端だな。
「ふぅ。〈召喚〉」
俺は嘆息しながら地面に手を添える。
相手が炎ならこっちは水だ。
「ウンディーネ。来い」
水色の魔法陣が俺の正面に浮かび上がる。
轟音と水しぶきと共に次第に人体が形成されていく。
足、胸、腕、頭。形成されていき、ついに姿を現す。
水色の髪に泡沫のように儚く澄んだ瞳。麗らかな服装に身を包んだ女の子が現れた。
『あらレイスくんっ! 今日は何のごよう?』
「奴をこてんぱんにしてくれ。殺すなよ」
『了解!』
俺に抱きついたままでいるウンディーネを引き剥がし、ガイルの方へ向かわせる。
ガイルはどうやらファイアドレイクを召喚したらしい。
筋骨隆々とした、彼らしい召喚獣だった。
「おい! ウンディーネって卑怯だぞ!」
「勝てばいいんだよ。勝てば」
そう。勝てばいい。勝負は結局のところ勝ち負けを決める戦いである。
負けてはならない。俺はこの学園で最強に君臨するのだから。
「ウンディーネ。やれ」
言うと、ウンディーネはにこっと微笑み、ファイアドレイクに掴みかかる。
同時にガイルが俺に向かって突進を決めてきた。
そうか。そう言えば召喚師同士の戦いは召喚獣が戦っている間に本人も戦わなければならないのであったな。
俺は彼の突進をかわし、足を引っ掛ける。
「ふぐっ!」
ガイルは地面に転がり込み、しかしすぐに立ち上がって俺に向かってパンチを打ち込んできた。
ふむ。その程度か。
パンチを受け流し、俺はみぞおちを狙って拳を打ち込む。
「あがっ……」
言いながら、彼は地面に倒れ込んだ。
俺は倒れ込むガイルを支え、ウンディーネに指示を送る。
「アクアブラストだ」
『あーい!』
ウンディーネは手のひらから水の塊を放出し、ファイアドレイクを溺れさせた。
しかし殺しはしない。ギリギリところでやめさせ、彼女をあるべき場所に還す。
「多分、時間はまだ大丈夫だな」
言いながら、俺はガイルを抱えて教室へと向かう。
まったく朝から疲れてしまった。
寝る前、彼女と同じベッドで寝ようとなった時は本気で死ぬかもしれないと思ったが意外にもぐっすり眠ることができた。
やはり俺は無神経なのかもしれない。
悲しいなぁ。
アンナが着替えると言うので、俺はトイレの個室に入り待機している。
ガサガサと服の擦れる音が外から聞こえてきた。
「…………」
一体彼女は俺にどういう気持ちで待機させているのだろうか。
「出てきていいよー」
「ほいよ」
やっとか。女の子の着替えは本当に長いのな。もうくたくただ。
出ると、そこにはなんとも可愛らしい美少女がいた。
まあ昨日会った時の服装なのだけれど、こう改めて見ると美しいものだった。
「さて、学園に向かいましょうか!」
◆
で、俺は彼女に促されるまま学校に来たわけだが……早速俺は絡まれていた。
「おいこらぁ! アレンを打ち破ったからって調子こいてんじゃねえぞ? 朝から我らのアンナ様と登校だぁ良いご身分じゃあないか?」
眉毛がひたすらに濃く、頭はツルピカ。キャラの濃い人物を挙げよと言われれば真っ先に上がりそうな奴ナンバーワンのような者が教室の入り口前に立ちはだかっている。
早速絡まれるなんて……本当にここは貴族様の学園なのか? 前回の学園ではそんなことなかったぞ。
貴族らしく陰湿な奴らのたまり場だったんだけどな。
「やめてくれ。俺は朝から戦いたくはないんだ」
「あんだとこら!?」
やってしまった。こうなると短気な奴は面倒くさくなる。
彼は名前を名乗ることなく、俺の肩を掴み、外へと連れて行く。
「え、ちょっと!」
「ごめん。先行ってて」
俺は引きずられながら、アンナに手を振った。
◆
まさかこんな短期間の間に二度もコロシアムに訪れることになるとは。
当たり前なのだけれど、そこにはアレンの姿はない。
ってか初日から遅刻確定かよ。
最悪じゃん。
「おいお前、俺のダチをぶっ倒した仇、今取ってやるからな! 〈召喚〉!」
言うと、地面に魔法陣が浮かび上がってくる。
赤色だ。多分彼は炎系の召喚獣を操るのだろう。
だが関係のないこと。俺はオールラウンダーだ。どんな魔獣だって召喚することができる。
の前にだ。
〈鑑定〉
―――――――――――――
氏名 ガイル・リダスタント
種族 人間
◆
物攻 1253
物防 987
魔攻 2341
魔防 2142
速度 534
運 34
―――――――――――――
うへぇ。やっぱこの学園のレベルは高いな。
と言うかガイル、だっけか。コイツの物攻やけに高いな。
召喚師にしては異端だな。
「ふぅ。〈召喚〉」
俺は嘆息しながら地面に手を添える。
相手が炎ならこっちは水だ。
「ウンディーネ。来い」
水色の魔法陣が俺の正面に浮かび上がる。
轟音と水しぶきと共に次第に人体が形成されていく。
足、胸、腕、頭。形成されていき、ついに姿を現す。
水色の髪に泡沫のように儚く澄んだ瞳。麗らかな服装に身を包んだ女の子が現れた。
『あらレイスくんっ! 今日は何のごよう?』
「奴をこてんぱんにしてくれ。殺すなよ」
『了解!』
俺に抱きついたままでいるウンディーネを引き剥がし、ガイルの方へ向かわせる。
ガイルはどうやらファイアドレイクを召喚したらしい。
筋骨隆々とした、彼らしい召喚獣だった。
「おい! ウンディーネって卑怯だぞ!」
「勝てばいいんだよ。勝てば」
そう。勝てばいい。勝負は結局のところ勝ち負けを決める戦いである。
負けてはならない。俺はこの学園で最強に君臨するのだから。
「ウンディーネ。やれ」
言うと、ウンディーネはにこっと微笑み、ファイアドレイクに掴みかかる。
同時にガイルが俺に向かって突進を決めてきた。
そうか。そう言えば召喚師同士の戦いは召喚獣が戦っている間に本人も戦わなければならないのであったな。
俺は彼の突進をかわし、足を引っ掛ける。
「ふぐっ!」
ガイルは地面に転がり込み、しかしすぐに立ち上がって俺に向かってパンチを打ち込んできた。
ふむ。その程度か。
パンチを受け流し、俺はみぞおちを狙って拳を打ち込む。
「あがっ……」
言いながら、彼は地面に倒れ込んだ。
俺は倒れ込むガイルを支え、ウンディーネに指示を送る。
「アクアブラストだ」
『あーい!』
ウンディーネは手のひらから水の塊を放出し、ファイアドレイクを溺れさせた。
しかし殺しはしない。ギリギリところでやめさせ、彼女をあるべき場所に還す。
「多分、時間はまだ大丈夫だな」
言いながら、俺はガイルを抱えて教室へと向かう。
まったく朝から疲れてしまった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

死の執行人〜無力な少年、最強の死の能力を手に入れ死神界で無双する〜
ともも
ファンタジー
舞台は日本。
だが、この世界には死にまつわる異能が存在する。
本来なら入る事もなかった死の世界に、
主人公死崎伯人は最強の異能を持って迷い込んでいく。
死は人に何をもたらすのか......。
死はきっといつもすぐそばにいる。
死×異能の新感覚ファンタジー!!!

側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します

(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる