召喚師学園の落ちこぼれ、追放されたので隠していた力を解放して更に上の学園で無双する。今更戻れだって?ふざけるな。俺はここで最強に君臨するんだ

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初陣

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「んあああ……もう朝か」

 自室のベッドから腰を上げ、制服に着替える。アルストレン召喚師学園の制服は生憎持ち合わせていないが、まあ問題ないだろう。

 朝食を摂りながら、昨日の晩に書いておいた書類を手に取り町へと駆け出す。
 城下町の中心街を城に向かってまっすぐ進む。そこに件のアルストレン召喚師学園がある。

「今日はお願いします」
「はい。どうも」

 俺は門番の男性に書類を提出し、中に入った。聞いていたとおり、この学園は広大な敷地を保有しているようだった。
 そりゃもちろん、城下町と言っても、草原に向かって土地が伸びているのだから当然と言えば当然なのだが。

 待っていると、担当顧問と今日の相手らしき人物がやってきた。

「今回は入学試験ということでお間違い無いでしょうか」
「間違いありません」
「それではこちらの、アレン・リダルと戦っていただきます。では、闘技場へとご案内いたしますので」

 アレンと名乗る少年に挨拶でもと思ったのだが、そっぽを向かれてしまった。やはり俺が平民上がりだってのは書類でバレているようだな。本当、辛いぜ。



 石造りの、まさしくコロシアムと言ったような場所に案内された。そして俺は今、アレンと言う少年と向き合っている。
 それにしてもだ。ここの学園の制服はやけに派手だな。

 フリルと言うか、そんなものが組み込まれているようだ。

 さて、今のうちにこそっと〈鑑定〉でもしとこうかね。

 ――――――――――
 氏名 アレン・リダル
 種族 人間
 ◆
 物攻 543
 物防 645
 魔攻 1034
 魔防 864
 速度 342
 運  22
 ――――――――――

 ふむ。まあ、その程度か。
 エリート集団と聞いてはいたが、所詮学生だ。あくまで十代の中のトップ層にしか過ぎん。

 俺も十代ではあるのだがな。

「おい。お前、前の学園では成績不振で追放されちまったらしいな。なのにこの学園を目指すだなんて、お前バカか?」

 言いながら、彼は自身の召喚獣を召喚する。地面に魔法陣が浮かび上がり、そこから光が発せられたかと思うと、いつの間にかモンスターはそこにいた。

 上半身は美しい女性、下半身は魚の尾。姿からしてA級モンスターのセイレーンで間違いないな。

 ……間違いなく舐められているな。そもそもセイレーンの攻撃能力は極めて低い。あまつさえここは陸上だ。速度もかなり落ちるというのに彼女を召喚するとなると、舐めプされているのは間違いないことだ。

「バカなのはお前だろ。油断しすぎじゃないのか? どうしてセイレーンなんか」
「お前にはコイツで充分だからだよ!」

 仕方がない。俺も召喚するとするか。

「〈召喚〉」

 言った途端、俺の周囲に暗雲のようなおどろおどろしい空気が立ち込める。紫色の魔法陣が地面に浮かび上がり、黒いオーラを放ちながら奴は現れた。

 強固な鎧に包まれた巨体。頭はどこに置いてきたのか、既に存在はしない。

「デュラハン……だと!?」
「さて、勝負と行こうか」

 相手が舐めプをしたのが運の尽きだ。
 舐めプをしなかったところで、俺に勝てていたかどうかは未知数であるがな。

「デュラハン。殺すなよ」
『ア゛ア゛』

 指を鳴らし、デュラハンに合図を送る。同時に俺の召喚獣はセイレーンめがけて駆けていった。
 ズシンズシンと巨体が足音を立てて走っていく姿はなかなかに壮観だ。

「不味い!」

 相手は焦ってセイレーンの前に立ちはだかる。しかし俺のデュラハンは動じなかった。
 大剣を振り上げ、アレンの背後にいるセイレーンめがけて振り下ろした。

『ぎぇぇぇぇぇぇ!!!!』

 悲鳴。

 肉は切り裂かれていないことから、みねうちだろう。俺が指示を送ったんだ。たとえ凶悪なモンスターだったとしても裏切るような真似はしないはずだ。

「…………」

 アレンは口をぽっかりと開けて呆けている。後ろに倒れているセイレーンに身を任せ、今にも気を失ってしまいそうになっていた。

「すみません。これって俺の勝ちですよね」

 審判台に座っていた担当顧問に声を掛けた。
 顧問は何も言わず、ただただ深く頷くのみであった。

「一応確認しておきますが、俺は今日からこの学園の生徒って認識で間違いないですか?」
「ああ。君のような有能な人材がこちらに回ってくるとは思っていなかったよ! よろしく頼む!」

 勢いよく駆け下りてきたかと思えば、顧問は俺の手を強く握って振り回した。
 かなり興奮してしまっているようだった。

 ……あれ?

 そんな顧問をよそに、俺は観客席の方にぽつんと座っている少女が目に入った。
 服装からしてこの学園の生徒で間違いないだろう。

「あの子……誰だろう?」



「あああ! あれはもしかしてレイスくん!!」

 白銀の耳に豊満な胸を持ったエルフの少女がそんなことを呟いた。
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