言語研究部(笑)

大里 悠

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『おにぎり』

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    今日の部活はいったい何をやるんだろうと考えながら部室に入るとそこにはまだ先生しか来ていなかった。

「先生、おはようございます」
「…………」
「先生?」
「今いいところだから少し待て」

    熱心に何かやっていると思ったら先生はゲームをしていたようだ。
    どんなゲームをやっているかは分からないけど、ものすごい早さで指を動かしていた。

「っし!ふぅ、あ、さっきはすまんな、おざなりな返事で」
「いえ、大丈夫ですよ。それより、部長達はどうしました?」

    部室にはそれぞれが荷物を置くスペースが作られていて、そこにははむ以外の荷物が置いてあった。
    しかし、誰の姿も見えないので僕は中にいたりゅう先生に聞いてみた。

「はとは教室に忘れ物を取りに行ったな。で、ひめとかめは図書室に借りていた資料の返却をしに行ったぞ。あぁ、はむは用事があるって言って帰った」
「あ、はい。分かりました」

    とりあえず、荷物だけ置いてある理由が分かったので、後は部長達が帰って来るまで暇をつぶすことになった。



──────



   僕が部室に来てからおよそ三十分ほどだった頃、はとが帰って来た。

「戻りました~、あ、ねこ先輩、こんにちは~」
「うん、こんにちは……はと、それは?」

    挨拶をされたので挨拶を返すためにはとを見ると、なぜか台車を牽いていて、さらに不思議なことにその台車には体育座りをして気絶しているかめ先輩がいた。

「それは~「さっき私が渡したおにぎりを食べたとたんに気絶したんだ」それで~その前を通りかかったわたしにここまで運ぶのを手伝って欲しいって言われて~」
「なんとなく理解しました」

    おそらく、資料の片付けを終えたかめ先輩に部長が自分で作ったおにぎりを渡されたのだろう。
    疲れていた先輩は疑うことも無く食べたら酷い味で、そのせいで気絶したという所かな。

「一応聞きますけど部長、そのおにぎりの中身は?」
「わさび醤油漬けレバーマヨネーズとサバとトマトだ」
「………はい?……すいません、なんか、聞くことの無さそうな組み合わせが聞こえたんですけど、もう一度言ってもらえますか?」
「だから、わさび醤油漬けレバーマヨネーズとサバとトマトだ」
「………味見はしましたか?」
「うっすらと川が見えたな!」
「それ渡っちゃアカンやつや!は!思わず突っ込んでしまった……」

    部長の作った物は、大抵変なものを入れるか、分量がおかしくなるせいで酷い味になることが多いけれど、今回はどちらなのだろうか。
    組み合わせとしては聞くことはなさそうだけど、別に変な味になることもなさそうな食材が使われているのに先輩が気絶するほどの味になる、ということは………

「部長、何か入れましたか?例えば、塩とか砂糖とかをたくさん入れたとか」
「何か、って言われてもなぁ……角砂糖と岩塩とユーグレナとかだな」
「ユーグレナ?ってなんですか?」

    ユーグレナ、どこかで聞いたことあるような気がするけどなんだったのかは全然分からない。
    というか、角砂糖と岩塩って……なんで固まってるの?

「ユーグレナとはな、微生物であるミドリムシの別名だ。ちなみに、とても栄養が豊富でエネルギーもたくさんとれるぞ!あと、ロケットの燃料としても使われるらしい」
「……まあ、食べられる物なら別にいいですか」
「…見た目が緑色になってたけどな」

    話している途中で、かめ先輩が起きたようで話しに参加していました。

「ひめ、頼むから食べれる物を作ってくれ」
「食べれるが?」
「味が問題なんだよ!」

 起きてからは部長と言い合いが始まり、終わる気配がしないです……

「ねこ」
「どうしました?先生」
「時間だから閉めたいんだが……」
「あぁ……鍵、渡しておきます」
「助かるよ。じゃ、早く帰れよ~」

 先生と、はとは先に帰り、僕も部長に鍵を渡して帰りました。


 次の日に部長から聞きましたけど、あの後一時間近く話していたそうです。
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