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悪魔の君12
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ライアン様から迸る魔力がセドリック……否、悪魔の君を覆う。
「嘘だろう…………まさか!!」
悪魔の君は信じられない者を見る様な目でライアン様を見た。
「こんな事……普通の人間が考える事じゃない」
そう言いながら悪魔の君はライアン様の所へと一歩また一歩と近付いて行く。
「普通じゃない……常軌を逸しているとしか言いようがない」
静かな歩調は確実に前へと進む。
「貴方にライアンはやらないわよ」
キャサリンはそう言ってキリリと悪魔の君を睨んだ。
「女。人の子にしては度量がある」
そう言いながら下卑た笑いを漏らす。
「セドリック!!」
そんな両者の間に私は滑り込む様に立ちはだかった。
一瞬にしてセドリックの顔が虫けらでも見る様な目になる。
そんな顔……私は知らない。
セドリックは私にそんな顔は絶対に見せない。
ジッと見つめる先に何時ものセドリックの色は見当たらない。
でも……信じているから。
貴方が戻る場所は私の所なんだって……そう祈りを込めセドリックへと一歩踏み出す。
「貴方になんか私のセディはやらない」そう言って更に足を進める。
知らずセドリックから貰った指輪に右手を添えていた。
「私……こんなにも貴方の事が好きだったんだ」
何時もセドリックから逃げようとしていた。
私の押しキャラは兄のイヴァンなんだと……でも、本当は違った。
知らず涙が溢れ落ちる。
『愛している』
そう思って祈るようにセドリックを見た。
そんな私を見ていた彼の瞳が一瞬陰り、突如セドリックが崩れる。
「セドリック!!」
『危ない』そう思い受け止めようと力を入れる。
ドンと重い音を立て私の胸の中に落ちて来たセドリックを、勿論抱き止める事は出来ずそのまま二人で床まで倒れ込む。
単に『重い』
「でも、……やっと触れる事が出来た」
高鳴る鼓動が正直に私の気持ちを代弁している。
「こんな時に気付くなんて……」
そう言ってセドリックの髪に顔を埋める。
「こんな時だから気付いたのかな……」
回した手に力が入る。
「好き……もう貴方しかいらない……」
そう呟きセドリックを包む。
「だから……責任とってよ……セディ……」
冷えきったセドリックの身体にすがり付く。
今度は私が貴方を離さない。
そう切に願いながら。
変化はそう間を置かずに訪れた……
セドリックを覆っていたライアン様の魔力がパッと消え失せたと思うや、セドリックの輪郭がぼやけて来る……
ノイズのようなそれはまるでゲシュタルト崩壊のように……
「嘘だろう…………まさか!!」
悪魔の君は信じられない者を見る様な目でライアン様を見た。
「こんな事……普通の人間が考える事じゃない」
そう言いながら悪魔の君はライアン様の所へと一歩また一歩と近付いて行く。
「普通じゃない……常軌を逸しているとしか言いようがない」
静かな歩調は確実に前へと進む。
「貴方にライアンはやらないわよ」
キャサリンはそう言ってキリリと悪魔の君を睨んだ。
「女。人の子にしては度量がある」
そう言いながら下卑た笑いを漏らす。
「セドリック!!」
そんな両者の間に私は滑り込む様に立ちはだかった。
一瞬にしてセドリックの顔が虫けらでも見る様な目になる。
そんな顔……私は知らない。
セドリックは私にそんな顔は絶対に見せない。
ジッと見つめる先に何時ものセドリックの色は見当たらない。
でも……信じているから。
貴方が戻る場所は私の所なんだって……そう祈りを込めセドリックへと一歩踏み出す。
「貴方になんか私のセディはやらない」そう言って更に足を進める。
知らずセドリックから貰った指輪に右手を添えていた。
「私……こんなにも貴方の事が好きだったんだ」
何時もセドリックから逃げようとしていた。
私の押しキャラは兄のイヴァンなんだと……でも、本当は違った。
知らず涙が溢れ落ちる。
『愛している』
そう思って祈るようにセドリックを見た。
そんな私を見ていた彼の瞳が一瞬陰り、突如セドリックが崩れる。
「セドリック!!」
『危ない』そう思い受け止めようと力を入れる。
ドンと重い音を立て私の胸の中に落ちて来たセドリックを、勿論抱き止める事は出来ずそのまま二人で床まで倒れ込む。
単に『重い』
「でも、……やっと触れる事が出来た」
高鳴る鼓動が正直に私の気持ちを代弁している。
「こんな時に気付くなんて……」
そう言ってセドリックの髪に顔を埋める。
「こんな時だから気付いたのかな……」
回した手に力が入る。
「好き……もう貴方しかいらない……」
そう呟きセドリックを包む。
「だから……責任とってよ……セディ……」
冷えきったセドリックの身体にすがり付く。
今度は私が貴方を離さない。
そう切に願いながら。
変化はそう間を置かずに訪れた……
セドリックを覆っていたライアン様の魔力がパッと消え失せたと思うや、セドリックの輪郭がぼやけて来る……
ノイズのようなそれはまるでゲシュタルト崩壊のように……
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