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悪魔の君7
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その男は唯一人その場に座っていた。
周りの邪気を食し己の魔力を高める。
「さて、どうするかな」
何もない空間にはその男が座る椅子だけがあった。
「鍵となるアリアの愛し子を手に入れるには……」
そうして気を張り巡らす。
「ライアンか……あの者は良く分からぬな……我が同胞の血に連なる者にはかわりないのだが……」
先程から遠目を使おうとするが何故か弾かれる。
多分彼奴のせいだろう事は分かっているのだが、かと言ってそれを確かめる為にここを離れることは今はまだ出来ない。
「まだまだ馴染めないこの身体が恨めしいな」
そう言うと再び目を閉じた。
「今はまだ時ではない……」
そして、深く眠りについた。
☆☆☆☆☆☆☆
朝靄の中4人は鬱蒼とした森の中を歩いていた。
アンが先頭に立ち蛇行しながら道ない道を歩くように繁みを掻き分けて行く。
「ゲームではヒロインが先頭に立つと光の道が現れる内容だったけど、本当に光が見えるわ」
アンが感嘆の声を上げる。
勿論アンには見えているのだろうが、私達には何も見えない。
はぐれない様に手を繋ぎ歩いている状態だ。
アンの手を私が、私の手をキャサリンが、キャサリンの手をライアン様がという具合だ。
「アン嬢は元々深淵の森の管理人の一族の血が入っている。だから森の入り口へと繋がるの道が見えるんだ」
ライアン様が後ろから補足する。
「そうなんですね。自分の事なのに分かりませんでした。良くご存知なのですね」
アンが不思議そうにそう問う。
なにせ、ライアン様は妹のご相伴で見る気なしに見ていたアニメなのに、何故詳しいのか?
「これでも我が家は代々宰相をしているんだ。色々と資料もあるのだよ」
「流石ですわね」
アンが更に感心した様に言う。
そんなアンとは対照的にキャサリンが胡乱気な眼差しをライアン様に向ける。
何か変なんだよね……この二人。
ラブラブなのかと思ったらキャサリンはギクシャクしている様だし。
大体二人の婚姻事態キャサリンが望んだのだし、ライアン様の何が気に入らないのかしら?
そう思い二人を良く観察して見ると……
あれ?
妙に指が絡み合っていない?
あれって……手の繋ぎかたが恋人繋ぎになっていない?
何かゲームと違って、ライアン様って凄くグイグイキャサリンにアピールしてくる方なんだな……。
クーデレみたいなライアン様が良いとか言っていたキャサリンがちょっと可哀想かも……。
思わず生暖かい眼差しで見てしまいそうになるよ。
周りの邪気を食し己の魔力を高める。
「さて、どうするかな」
何もない空間にはその男が座る椅子だけがあった。
「鍵となるアリアの愛し子を手に入れるには……」
そうして気を張り巡らす。
「ライアンか……あの者は良く分からぬな……我が同胞の血に連なる者にはかわりないのだが……」
先程から遠目を使おうとするが何故か弾かれる。
多分彼奴のせいだろう事は分かっているのだが、かと言ってそれを確かめる為にここを離れることは今はまだ出来ない。
「まだまだ馴染めないこの身体が恨めしいな」
そう言うと再び目を閉じた。
「今はまだ時ではない……」
そして、深く眠りについた。
☆☆☆☆☆☆☆
朝靄の中4人は鬱蒼とした森の中を歩いていた。
アンが先頭に立ち蛇行しながら道ない道を歩くように繁みを掻き分けて行く。
「ゲームではヒロインが先頭に立つと光の道が現れる内容だったけど、本当に光が見えるわ」
アンが感嘆の声を上げる。
勿論アンには見えているのだろうが、私達には何も見えない。
はぐれない様に手を繋ぎ歩いている状態だ。
アンの手を私が、私の手をキャサリンが、キャサリンの手をライアン様がという具合だ。
「アン嬢は元々深淵の森の管理人の一族の血が入っている。だから森の入り口へと繋がるの道が見えるんだ」
ライアン様が後ろから補足する。
「そうなんですね。自分の事なのに分かりませんでした。良くご存知なのですね」
アンが不思議そうにそう問う。
なにせ、ライアン様は妹のご相伴で見る気なしに見ていたアニメなのに、何故詳しいのか?
「これでも我が家は代々宰相をしているんだ。色々と資料もあるのだよ」
「流石ですわね」
アンが更に感心した様に言う。
そんなアンとは対照的にキャサリンが胡乱気な眼差しをライアン様に向ける。
何か変なんだよね……この二人。
ラブラブなのかと思ったらキャサリンはギクシャクしている様だし。
大体二人の婚姻事態キャサリンが望んだのだし、ライアン様の何が気に入らないのかしら?
そう思い二人を良く観察して見ると……
あれ?
妙に指が絡み合っていない?
あれって……手の繋ぎかたが恋人繋ぎになっていない?
何かゲームと違って、ライアン様って凄くグイグイキャサリンにアピールしてくる方なんだな……。
クーデレみたいなライアン様が良いとか言っていたキャサリンがちょっと可哀想かも……。
思わず生暖かい眼差しで見てしまいそうになるよ。
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