愛バラ

麻生空

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悪魔の君5

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「概要を要約すると、セドリックの所へ行くのはアニメとゲーム双方の共通のストーリーになる。今回もそこは変わらないはずだ。基本的にパーティーは4人になっているので我々全員で向かう事にする。その後の事だが」
ライアン様がそう言うと私の指に填められた指輪を見つめる。

「左の薬指は心臓に近いと言われている。キャサリンがセドリックに説明する時に『愛が直接心臓に届く』と説明していたはず」
『何で知っているのよ』と言う顔でキャサリンはライアン様を見るもキャサリンは「そうですわね」と不貞腐れた様に同意する。
勿論そんな事を露程つゆほども知らない私は、キャサリンとライアン様のお互いに判り合えている姿が羨ましかった。

「今回の『愛の思い出』はその指輪で間違いないと思う。だから、エマはセドリックと対峙した時。その指輪に魔力を流しながらセドリックに心から呼び掛けるんだ。セドリックに君の『愛』が届く様に……君の思いを全て込めて」
思いっきり目を見開いてライアン様を見てしまった。
果たして私のこの気持ちは愛なのだろうか?
するとライアン様は困った様に苦笑すると
「後のフォローは私達がするから」
とニコリと笑む。

その後ライアン様が作戦を説明する。

つまり、取り敢えず四人でセドリックの所へ行く事。
深淵の森はアンが一緒に行けば道は開けるとの事。
流石ヒロインだ。
但し深淵の森へ入るのは朝靄あさもやがある時間帯が良いらしい。

何故かしら?
と思うもキャサリンもアンも特に気にしていない様子。

多分私の知らないストーリーがあり、それを三人は知っていると言う事だと思う。
何となく聞ける雰囲気ではなかったので「分かりました」と相槌を打ってだけおく。

そして、私がセドリックに指輪を通して語りかける。 
その時援護でアンがつく。
ライアン様はセドリックの中に居る悪魔の君と精神世界で交戦するとの事だが。
「あの……どうやって精神世界に入るのですか?」
私の疑問は普通だと思う。
キャサリンとアンもライアン様を見て次の言葉を待っているのだから。

「先程セドリックと悪魔の君の魔力を体内に取り込んだ。それでアクセス出来るはずだ」
いつの間にそんな事を……。
そう思いライアン様を見ているとキャサリンが「あれはそういう事でしたの」と納得している。
やはりこの二人は通じ合っている。

「取り敢えず出発は5時間後、それまで少し仮眠を取る様に、私はイヴァンと少し打ち合わせをして来るから君達は必ず休む様に。魔力と体力を出来る限りの回復しておいた方が良いからね」
ライアン様はそう言うと直ぐ様部屋を退出する。

あぁ。
ライアン様って頼りになるし、何処までもぶれない紳士さに少しキャサリンを羨ましく思う。

けど、だからってセドリックが嫌とかそう言うのではなく。
ちょっとだけせつなく思うのはしかたがないのだと思う。

残された私達はライアン様の言う通り仮眠を取るべくアンは自室へ、キャサリンは客間へと移動して行った。
そして私は再び目を閉じ深い眠りにと落ちて行った。

再びセドリックに会える事を祈りながら……。
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