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悪魔の君1
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セドリックが消えて直ぐにライアンが駆けつけた。
気を失ったエマを抱き寄せたたままのキャサリンと目が合うとライアンは全てを悟った。。
「チッ。やられたな」
粗野な動作でそう言うと両手を上げ、宙を漂っていたセドリックの魔力を回収する。
そして、その魔力を確認する様に見つめた後自身の中へと押し込んだ。
「ライアン……そんな事をして大丈夫なの?」
キャサリンが不安そうにそう問い掛けて来る。
「あぁ。大丈夫だよ。キャサリンにも以前説明したよね。私の家系は王家の傍流だと。普通の人より魔力への耐性は強いんだ」
「けど、今のセドリックはどう見ても悪魔の君が降臨してましたわよ。私が言いたいのは、そんな者の魔力を体内に入れて大丈夫なのか?と、言うことですわ」
キャサリンの強い口調にライアンの口許が一瞬綻ぶ。
「心配してくれるんだね。キャサリン」
「ばっ、馬鹿言わないで下さい」
一瞬で顔を赤くしたキャサリンが抗議の言葉を吐くとライアンが困った様に笑う。
「こんな時に心配されるのって嬉しいね」
次の言葉を出そうとキャサリンが口を開こうとするのをライアンが制止する。
一匹の紫紺色の蝶がライアンの肩の上に乗るとそのまま姿を消した。
そして、再び舌打ちをして虚空を見つめた。
「時期が早いし、セドリックの行動も原作と違う」
ガシガシと頭を掻き毟りながらライアンが悔しそうに言葉を吐き捨てた。
「取り敢えず場所を移す」
そう言いライアンはキャサリンの手を取る。
そして、当たり前のようにエマの部屋へと転移した。
☆☆☆☆☆☆☆
深夜、エマの部屋にはライアンとキャサリンとアンが揃い、深刻な面持ちで椅子に座っていた。
ベットから起きた私はそんな三人を見つめて先程のセドリックの事を考えている。
あれはセドリックではなかった。
何時もの愛情過多な眼差しも
過保護なまでの接触も
執着する様な言葉もなかった。
淡々とした口調。
私に何の興味もない様な眼差し。
全てが『あれはセドリックではない』と本能が訴えている。
ドSでも良い。
腹黒でも良い。
鬼畜でも良い。
セドリックが元に戻るのであれば、私は全てを受け入れる。
そう思い握り締めた自身の手を見る。
4人の間には沈黙しかなかった。
そんな沈黙を破る様に事後処理を終わらせたイヴァンが入室して来た。
「遅くなってすまない。話を聞かせてもらおうか」
そう言うとイヴァンは私とライアン様の間に椅子を移動させ着席した。
説明を……と言われても、このメンバーの前で正直に言えない。
だって、憧れの想い出の君の事をイヴァンとアンの前で話すなんて無理だよ。
途方に暮れた様な顔になった私にキャサリンが割って入ってくる。
「エマは今とても話せる状態ではないので、私からお話させて頂きます」
キャサリンの言葉にイヴァンとライアン様が頷く。
「ありがとうございます。まず、これから話す前提としてイヴァン様には私達の秘密を先に話さねばならないかと」
キャサリンがライアン様を見つめて次の言葉を待つ。
「そうだね。そこは私から話そう」
ライアン様はキャサリンへ向かい微笑みながらそう言うとイヴァンの方へと向き直る。
まさか、ゲームの事を正直に話すのかしら?
そう思いライアン様をガン見してしまった。
そして、四人の見守る中ライアン様は静かに言葉を紡ぎ出した。
「私達には共通の前世の記憶がある」と……
気を失ったエマを抱き寄せたたままのキャサリンと目が合うとライアンは全てを悟った。。
「チッ。やられたな」
粗野な動作でそう言うと両手を上げ、宙を漂っていたセドリックの魔力を回収する。
そして、その魔力を確認する様に見つめた後自身の中へと押し込んだ。
「ライアン……そんな事をして大丈夫なの?」
キャサリンが不安そうにそう問い掛けて来る。
「あぁ。大丈夫だよ。キャサリンにも以前説明したよね。私の家系は王家の傍流だと。普通の人より魔力への耐性は強いんだ」
「けど、今のセドリックはどう見ても悪魔の君が降臨してましたわよ。私が言いたいのは、そんな者の魔力を体内に入れて大丈夫なのか?と、言うことですわ」
キャサリンの強い口調にライアンの口許が一瞬綻ぶ。
「心配してくれるんだね。キャサリン」
「ばっ、馬鹿言わないで下さい」
一瞬で顔を赤くしたキャサリンが抗議の言葉を吐くとライアンが困った様に笑う。
「こんな時に心配されるのって嬉しいね」
次の言葉を出そうとキャサリンが口を開こうとするのをライアンが制止する。
一匹の紫紺色の蝶がライアンの肩の上に乗るとそのまま姿を消した。
そして、再び舌打ちをして虚空を見つめた。
「時期が早いし、セドリックの行動も原作と違う」
ガシガシと頭を掻き毟りながらライアンが悔しそうに言葉を吐き捨てた。
「取り敢えず場所を移す」
そう言いライアンはキャサリンの手を取る。
そして、当たり前のようにエマの部屋へと転移した。
☆☆☆☆☆☆☆
深夜、エマの部屋にはライアンとキャサリンとアンが揃い、深刻な面持ちで椅子に座っていた。
ベットから起きた私はそんな三人を見つめて先程のセドリックの事を考えている。
あれはセドリックではなかった。
何時もの愛情過多な眼差しも
過保護なまでの接触も
執着する様な言葉もなかった。
淡々とした口調。
私に何の興味もない様な眼差し。
全てが『あれはセドリックではない』と本能が訴えている。
ドSでも良い。
腹黒でも良い。
鬼畜でも良い。
セドリックが元に戻るのであれば、私は全てを受け入れる。
そう思い握り締めた自身の手を見る。
4人の間には沈黙しかなかった。
そんな沈黙を破る様に事後処理を終わらせたイヴァンが入室して来た。
「遅くなってすまない。話を聞かせてもらおうか」
そう言うとイヴァンは私とライアン様の間に椅子を移動させ着席した。
説明を……と言われても、このメンバーの前で正直に言えない。
だって、憧れの想い出の君の事をイヴァンとアンの前で話すなんて無理だよ。
途方に暮れた様な顔になった私にキャサリンが割って入ってくる。
「エマは今とても話せる状態ではないので、私からお話させて頂きます」
キャサリンの言葉にイヴァンとライアン様が頷く。
「ありがとうございます。まず、これから話す前提としてイヴァン様には私達の秘密を先に話さねばならないかと」
キャサリンがライアン様を見つめて次の言葉を待つ。
「そうだね。そこは私から話そう」
ライアン様はキャサリンへ向かい微笑みながらそう言うとイヴァンの方へと向き直る。
まさか、ゲームの事を正直に話すのかしら?
そう思いライアン様をガン見してしまった。
そして、四人の見守る中ライアン様は静かに言葉を紡ぎ出した。
「私達には共通の前世の記憶がある」と……
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