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アンとイヴァンの結婚1
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待ちに待ったこの日が来ました。
私が見れなかったヒロインと想い出の君との結婚式。
愛バラの王道エンディング。
つまりそれはグッドエンドですよ。
邸は朝から大にぎわい。
ーーーと言う名の戦争状態。
当の主役のアンは数名の侍女と部屋におこもり。
ーーーと言う名のエステ。
頭の先から足の指までピッカピカに磨き挙げられています。
もう一人の主役の兄イヴァンは両親と一緒に会場で細かな打ち合わせ。
私はその後ろで今日の段取りを聞いて頷くだけの者。
聞いていたが……何故か紙を持ち侍従や侍女達に指示を出しているのは両親ではなく兄のイヴァンだった。
所々で兄は私の方を見て「立ち位置は判るかい?」とか「父達の後に続けば大丈夫だから」とか優しくアドバイスをしてくれる。
自身が一番大変なのにめっちゃ有難い事ですお兄様。
やっぱり『想い出の君』なだけあって愛バラ一番の好物件。
思わず眺めてしまう。
本当に兄弟じゃなかったら狙っていたよ。
そんな具合で朝の早い時間から打ち合わせをしていたら、兄が何かに気付いて「ちっ」っと軽く舌打ちをした。
兄にしては珍しい粗野な態度。
何事?
と後ろを振り向くと、何故かそこにはセドリックが立っていた。
「えっ?」
こんな朝早くから何をしに来たのかしら?
疑問である。
両親を軽く制した兄がそのままセドリックの方へと移動する。
私はどうしようか?
一応婚約者なのだから挨拶くらいは必要だよね。
そう思い兄の後ろに続く。
そんな私達に
「やぁ。おはよう」
と軽く手を振るセドリック。
セドリックには殺伐とした雰囲気を出すこの戦場が見えていないのかしら?
と思った事は言うに難い。
「おはようございます。セドリック殿下。招待の時間には大分早いと思いますが」
兄が慇懃無礼に口上する。
「まさか。式には正式な礼装で出直すから安心して」
ニコリとそう言うと後ろに続く私を見る。
ヤバい目が合ってしまった。
思わず足が止まる。
「それを聞いて安心したとでも?」
尚も慇懃な兄の態度。
「では、何をしに来たのですか?」
尚も兄はセドリックに不躾に問い掛けた。
そんな兄の態度に全然怒る事もなくセドリックが話を進める。
「今日、この日の為に根回しに奔走した為に、ここ一月私の婚約者に会えなかった。式の最中に暴走しない様にエマに会っておこうと思ってね」
そう言い目を細めながら私の方を見るセドリックに嫌な予感しかしない。
イヴァンは「ふぅーっ」と息を吐くと困った様に私の方を見た。
「エマ。少しセドリック殿下とお茶をして来てくれ。二階の応接間は今回使わないからそこで……」
二階の応接間?
もしかしてたまに私達がお茶をするあの部屋の事かしら?
そう思うが……。
チラリとセドリックの方を見ると満面の笑み。
これは逃げられないな……と、諦め半分。
「分かりました」
と短く返事をする。
イヴァンは苦笑しながらセドリックに向き直り
「では、殿下。一時間だけお時間を作りますので積もる話をどうぞ」
と軽く礼をとる。
「ありがとうイヴァン」
セドリックは清々しく礼を言う。
「エマの準備もありますので、呉々も一時間で用件をお済ませ下さい。呉々も宜しくお願い致します殿下」
尚もしつこい位に釘を指す兄イヴァン。
「判っているよ。イヴァン」
とセドリックは爽やかに返すと私の横に立ち腰に手を添えて来る。
私が案内するより早くセドリックにエスコートされ、やむなくドナドナされる様に邸へと足を向けた。
今回は完全に兄に売られたな。
これから一時間、私はどうなるのでしょうか?
想像するのも怖いです。
私が見れなかったヒロインと想い出の君との結婚式。
愛バラの王道エンディング。
つまりそれはグッドエンドですよ。
邸は朝から大にぎわい。
ーーーと言う名の戦争状態。
当の主役のアンは数名の侍女と部屋におこもり。
ーーーと言う名のエステ。
頭の先から足の指までピッカピカに磨き挙げられています。
もう一人の主役の兄イヴァンは両親と一緒に会場で細かな打ち合わせ。
私はその後ろで今日の段取りを聞いて頷くだけの者。
聞いていたが……何故か紙を持ち侍従や侍女達に指示を出しているのは両親ではなく兄のイヴァンだった。
所々で兄は私の方を見て「立ち位置は判るかい?」とか「父達の後に続けば大丈夫だから」とか優しくアドバイスをしてくれる。
自身が一番大変なのにめっちゃ有難い事ですお兄様。
やっぱり『想い出の君』なだけあって愛バラ一番の好物件。
思わず眺めてしまう。
本当に兄弟じゃなかったら狙っていたよ。
そんな具合で朝の早い時間から打ち合わせをしていたら、兄が何かに気付いて「ちっ」っと軽く舌打ちをした。
兄にしては珍しい粗野な態度。
何事?
と後ろを振り向くと、何故かそこにはセドリックが立っていた。
「えっ?」
こんな朝早くから何をしに来たのかしら?
疑問である。
両親を軽く制した兄がそのままセドリックの方へと移動する。
私はどうしようか?
一応婚約者なのだから挨拶くらいは必要だよね。
そう思い兄の後ろに続く。
そんな私達に
「やぁ。おはよう」
と軽く手を振るセドリック。
セドリックには殺伐とした雰囲気を出すこの戦場が見えていないのかしら?
と思った事は言うに難い。
「おはようございます。セドリック殿下。招待の時間には大分早いと思いますが」
兄が慇懃無礼に口上する。
「まさか。式には正式な礼装で出直すから安心して」
ニコリとそう言うと後ろに続く私を見る。
ヤバい目が合ってしまった。
思わず足が止まる。
「それを聞いて安心したとでも?」
尚も慇懃な兄の態度。
「では、何をしに来たのですか?」
尚も兄はセドリックに不躾に問い掛けた。
そんな兄の態度に全然怒る事もなくセドリックが話を進める。
「今日、この日の為に根回しに奔走した為に、ここ一月私の婚約者に会えなかった。式の最中に暴走しない様にエマに会っておこうと思ってね」
そう言い目を細めながら私の方を見るセドリックに嫌な予感しかしない。
イヴァンは「ふぅーっ」と息を吐くと困った様に私の方を見た。
「エマ。少しセドリック殿下とお茶をして来てくれ。二階の応接間は今回使わないからそこで……」
二階の応接間?
もしかしてたまに私達がお茶をするあの部屋の事かしら?
そう思うが……。
チラリとセドリックの方を見ると満面の笑み。
これは逃げられないな……と、諦め半分。
「分かりました」
と短く返事をする。
イヴァンは苦笑しながらセドリックに向き直り
「では、殿下。一時間だけお時間を作りますので積もる話をどうぞ」
と軽く礼をとる。
「ありがとうイヴァン」
セドリックは清々しく礼を言う。
「エマの準備もありますので、呉々も一時間で用件をお済ませ下さい。呉々も宜しくお願い致します殿下」
尚もしつこい位に釘を指す兄イヴァン。
「判っているよ。イヴァン」
とセドリックは爽やかに返すと私の横に立ち腰に手を添えて来る。
私が案内するより早くセドリックにエスコートされ、やむなくドナドナされる様に邸へと足を向けた。
今回は完全に兄に売られたな。
これから一時間、私はどうなるのでしょうか?
想像するのも怖いです。
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