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アンとイヴァンの婚約7
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「もしや、ライアン様も転生者なのでしょうか?」
あまりにま突拍子もない現実に、アンの質問の意味が一瞬理解出来なかった。
ライアン様はクスリと笑って
「そうだね」
と楽しげに笑む。
まさか男性も乙女ゲームをしていたのだろうか?
それとも前世は女性とか?
そんな不遜な事を考えていると
「妹がはまっていてね。半強制的にアニメも一緒に見せられたよ。まぁ、かく言う私もアニメの最終回前に亡くなってしまったのだけどね」
と、苦笑いする。
言外に『興味はなかったんだよ』と言うニュアンスで。
「丁度アニメの放送時間が私の夕食の時間でね。リビングの大きなテレビで見たいからと妹が見ていたんだ。正直真面目に見ていた訳じゃないから最近までこの世界がその乙女ゲームの世界だなんて思いもしなかったよ」
そこまで言うとコクリとカップを傾けた。
「そうでしたか……」
そりゃあ、そうだよね。
男の人が乙女ゲームをやっている姿なんて正直想像出来ないし、ましてや乙女ゲームのアニメを見てハマってる姿も想像出来ないよ。
ほっと息をついてアンの方を見れば
「そうだったんですね」
と納得した様子。
なる程ね。
アンのレベルが低かった訳も、最初からイヴァンルートに乗っかった訳も、元を正せば転生者だったから判っていたと言う事なんだ。
そうして見ると全てがしっくりと来る。
何と無く納得いく回答にキャサリンを見やれば難しい顔をしながらライアン様を見ている。
やっぱり複雑だよね。
今話をした感じ、多分ライアン様はゲーム通りの性格ではないだろうし、何と無く似非紳士と言うか、ちょっと食えないタイプの人だと思うんだよ。
そこまで考えが行くとキャサリンは大丈夫なのだろうか?と心配になる。
それに、先程からどぎまぎして此方を見ないキャサリンに何時もの余裕が感じられなかった。
そんなキャサリンの手にライアン様が手を乗せる。
ビクンと身体を震わせたキャサリンがライアン様を見るなりカァーっと赤面する。
あれ?
これって……もしかしてキャサリンはライアン様に恋しているのではないのだろうか?
そう思うとなんだかちょっとホッとする。
だってキャサリンってば一番安全パイだからって、好きでもない人と婚姻を結ぼうとしていたんだよ。
まぁ、貴族は基本的に政略結婚なんだからそこに恋愛感情がえる訳じゃないとは言っても、キャサリンがライアン様に恋しているのであれば、それに越した事はないと思うんだよね。
まぁ、自分の事を棚に上げてこう言うのもなんだけど、愛されるよりも愛したい。
やっぱり恋愛する気持ちは大事だと思う。
だって、折角の乙女ゲームの世界なんだから、キュンキュンしたいじゃない?
決してセドリックにキュンキュンしない訳じゃないけど、恋愛しているって感じには思えないんだよね。
何せ、セドリックの愛が重いから……。
そう思い私は再度キャサリンとライアン様を見る。
丁度ライアン様がキャサリンの耳元で何かを囁いている所で、キャサリンの顔は一瞬でゆでダコの様に真っ赤になってしまった。
あーー。
お熱い事で……。
何か目の前でイチャイチャされると普通ならバツが悪い様な気がするものだけど、ここまでイチャつかれると変に頭が冷静になるから不思議である。
そんな二人の様子をアンと二人、コーヒーを飲みのみ眺めていた。
どうやら両思いの様で良かった。
本日はお日柄も宜しく……と言った言葉が頭をかすめていったのは言うに難い。
そんな事を考えている私の隣で
「まるでエマお嬢様とセドリック殿下を見ているようですわね」
なんて不届きな事をボソリと言うアンに
「全然違うから」
と力の限り否定をしていた。
あまりにま突拍子もない現実に、アンの質問の意味が一瞬理解出来なかった。
ライアン様はクスリと笑って
「そうだね」
と楽しげに笑む。
まさか男性も乙女ゲームをしていたのだろうか?
それとも前世は女性とか?
そんな不遜な事を考えていると
「妹がはまっていてね。半強制的にアニメも一緒に見せられたよ。まぁ、かく言う私もアニメの最終回前に亡くなってしまったのだけどね」
と、苦笑いする。
言外に『興味はなかったんだよ』と言うニュアンスで。
「丁度アニメの放送時間が私の夕食の時間でね。リビングの大きなテレビで見たいからと妹が見ていたんだ。正直真面目に見ていた訳じゃないから最近までこの世界がその乙女ゲームの世界だなんて思いもしなかったよ」
そこまで言うとコクリとカップを傾けた。
「そうでしたか……」
そりゃあ、そうだよね。
男の人が乙女ゲームをやっている姿なんて正直想像出来ないし、ましてや乙女ゲームのアニメを見てハマってる姿も想像出来ないよ。
ほっと息をついてアンの方を見れば
「そうだったんですね」
と納得した様子。
なる程ね。
アンのレベルが低かった訳も、最初からイヴァンルートに乗っかった訳も、元を正せば転生者だったから判っていたと言う事なんだ。
そうして見ると全てがしっくりと来る。
何と無く納得いく回答にキャサリンを見やれば難しい顔をしながらライアン様を見ている。
やっぱり複雑だよね。
今話をした感じ、多分ライアン様はゲーム通りの性格ではないだろうし、何と無く似非紳士と言うか、ちょっと食えないタイプの人だと思うんだよ。
そこまで考えが行くとキャサリンは大丈夫なのだろうか?と心配になる。
それに、先程からどぎまぎして此方を見ないキャサリンに何時もの余裕が感じられなかった。
そんなキャサリンの手にライアン様が手を乗せる。
ビクンと身体を震わせたキャサリンがライアン様を見るなりカァーっと赤面する。
あれ?
これって……もしかしてキャサリンはライアン様に恋しているのではないのだろうか?
そう思うとなんだかちょっとホッとする。
だってキャサリンってば一番安全パイだからって、好きでもない人と婚姻を結ぼうとしていたんだよ。
まぁ、貴族は基本的に政略結婚なんだからそこに恋愛感情がえる訳じゃないとは言っても、キャサリンがライアン様に恋しているのであれば、それに越した事はないと思うんだよね。
まぁ、自分の事を棚に上げてこう言うのもなんだけど、愛されるよりも愛したい。
やっぱり恋愛する気持ちは大事だと思う。
だって、折角の乙女ゲームの世界なんだから、キュンキュンしたいじゃない?
決してセドリックにキュンキュンしない訳じゃないけど、恋愛しているって感じには思えないんだよね。
何せ、セドリックの愛が重いから……。
そう思い私は再度キャサリンとライアン様を見る。
丁度ライアン様がキャサリンの耳元で何かを囁いている所で、キャサリンの顔は一瞬でゆでダコの様に真っ赤になってしまった。
あーー。
お熱い事で……。
何か目の前でイチャイチャされると普通ならバツが悪い様な気がするものだけど、ここまでイチャつかれると変に頭が冷静になるから不思議である。
そんな二人の様子をアンと二人、コーヒーを飲みのみ眺めていた。
どうやら両思いの様で良かった。
本日はお日柄も宜しく……と言った言葉が頭をかすめていったのは言うに難い。
そんな事を考えている私の隣で
「まるでエマお嬢様とセドリック殿下を見ているようですわね」
なんて不届きな事をボソリと言うアンに
「全然違うから」
と力の限り否定をしていた。
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