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もう一人の転生者キャサリン視点6
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翌日の夕刻、再びセドリックから通信で『アリア』に会えたと喜びの報告を受けるまで、私は呑気にライアンとの婚約を家族にどう切り出すべきか悠長に考えていたのだ。
「今日、私の妖精を見つけたんだ」
セドリックの嬉々とした声に
『セカンドシーズンのセドリックルートのフラグ立った』
と、思ったのは言うまでもない。
「その妖精って誰だと思う?」
何処か得意気に言うセドリックに
「エマ嬢ですわよね」
と即答してやる。
「そう、エマ嬢だ。キャサリン嬢が言っていた通りエマ嬢は必須だったね」
「いえ」
これでセドリックは初恋の君とイチャラブ街道まっしぐらだな。
と思うと『ほっ』とする。
私のバットエンドは回避出来ただろうと。
「彼女はアリアの妹なだけあって、彼女が大きくなったらこんなだろうという容姿その物だったよ」
嬉しそうに話すその内容。
「いもうと……」
ああ、そんな設定あったな……と何処か遠くに思う。
「まだ16歳だが、必ず私の物にしようと思うんだ」
ああ、そうそうそんな話があったな……。
確かゲームではちょこっとそこには触れるけど、結局セドリックはアリアがエマだって気付かないまま終わるんだった。
ああ、だから側妃なんて置いたのか。
ゲームの時には何と無く王族特有の一夫多婦の不文律で納得したのだけど。
このセドリックが本当の初恋の君だって分かっていたら、そんな者は決してし置かないだろう。
例え、形だけの側妃だったとしてもだ。
そう思うと、ここはアリアが実はエマだったと言った方が私にとっては良いのだろうか?と考えてしまう。
「正直毎日愛でたいって思う位可愛いんだよ」
そう思い私がセドリックに本当の事を話そうとした時、考え事をしている内に惚気話に突入していたセドリックに機会を逸してしまう。
「あの儚そうな容姿なのに、性格はエマのままって言うのがまた良い。アリアだったらもっと従順なんだろうけど、あの『イヤイヤ』する所がそそるんだよね」
……何か話が変な方向に話が行っている気がする。
大体セドリックのアリア像ってどうなっているのだろうか?
それに『いやいや』する所って……やっぱり鬼畜だよ。
そう結論付けてしまう。
「私が相手なのに拒むところがまた新鮮でいいな。今まで数多の令嬢方から好意の眼差しとアプローチがあっても、嫌がられるなんて事はなかったからね」
うっとりする様なセドリックの声音に『お前、怖~よ』って言ってやりたい。
そして『何自惚れているんだ』と罵りたい。
確かにファーストシーズン人気キャラランキング2位(もちろん一位はイヴァンだ)。
セカンドシーズンでは人気キャラランキング一位の座を掴んだだけあり、外見だけは超イケメン。
でもさ、性格が腹黒鬼畜でドSって既に外見と差し引いてもマイナスだよね。
ゲームのスチルで見る分には悶えものだったけど……
「拒む相手を自分の手中に落とすのって楽しいだろう?」
やっぱ怖~からこの王子。
「これからはゆっくりお互いの距離を縮めて行こうと思うんだ」
こりゃ、何を言ってもダメだろうな。
「ソウデスカ」
私は半眼になりながら受け答えする。
「だからキャサリン嬢。協力してくれるだろう」
語尾の強さに威圧感半端ない。
「分かっていますわ」
これは下手な刺激は自身の身を滅ぼしかねないと悟った私は、エマがアリアだなんてとても怖くて言えなかった。
多分、ただでさえ鬼畜モードが入っているセドリックが、更に暴走する所を想像して口を紡ぐ。
触らぬ神に祟りなし。
「じゃあ、これからも宜しく頼む。ライアンとの件は明日にでも君の兄や公爵にも話をしてみよう」
セドリックはそう言うと通信を切った。
兎に角、セドリックからのルート逸脱は必須なのだから。
それから私は全力疾走でライアンとの婚約の為に父とあの兄達を説得したのは言うに難い。
「今日、私の妖精を見つけたんだ」
セドリックの嬉々とした声に
『セカンドシーズンのセドリックルートのフラグ立った』
と、思ったのは言うまでもない。
「その妖精って誰だと思う?」
何処か得意気に言うセドリックに
「エマ嬢ですわよね」
と即答してやる。
「そう、エマ嬢だ。キャサリン嬢が言っていた通りエマ嬢は必須だったね」
「いえ」
これでセドリックは初恋の君とイチャラブ街道まっしぐらだな。
と思うと『ほっ』とする。
私のバットエンドは回避出来ただろうと。
「彼女はアリアの妹なだけあって、彼女が大きくなったらこんなだろうという容姿その物だったよ」
嬉しそうに話すその内容。
「いもうと……」
ああ、そんな設定あったな……と何処か遠くに思う。
「まだ16歳だが、必ず私の物にしようと思うんだ」
ああ、そうそうそんな話があったな……。
確かゲームではちょこっとそこには触れるけど、結局セドリックはアリアがエマだって気付かないまま終わるんだった。
ああ、だから側妃なんて置いたのか。
ゲームの時には何と無く王族特有の一夫多婦の不文律で納得したのだけど。
このセドリックが本当の初恋の君だって分かっていたら、そんな者は決してし置かないだろう。
例え、形だけの側妃だったとしてもだ。
そう思うと、ここはアリアが実はエマだったと言った方が私にとっては良いのだろうか?と考えてしまう。
「正直毎日愛でたいって思う位可愛いんだよ」
そう思い私がセドリックに本当の事を話そうとした時、考え事をしている内に惚気話に突入していたセドリックに機会を逸してしまう。
「あの儚そうな容姿なのに、性格はエマのままって言うのがまた良い。アリアだったらもっと従順なんだろうけど、あの『イヤイヤ』する所がそそるんだよね」
……何か話が変な方向に話が行っている気がする。
大体セドリックのアリア像ってどうなっているのだろうか?
それに『いやいや』する所って……やっぱり鬼畜だよ。
そう結論付けてしまう。
「私が相手なのに拒むところがまた新鮮でいいな。今まで数多の令嬢方から好意の眼差しとアプローチがあっても、嫌がられるなんて事はなかったからね」
うっとりする様なセドリックの声音に『お前、怖~よ』って言ってやりたい。
そして『何自惚れているんだ』と罵りたい。
確かにファーストシーズン人気キャラランキング2位(もちろん一位はイヴァンだ)。
セカンドシーズンでは人気キャラランキング一位の座を掴んだだけあり、外見だけは超イケメン。
でもさ、性格が腹黒鬼畜でドSって既に外見と差し引いてもマイナスだよね。
ゲームのスチルで見る分には悶えものだったけど……
「拒む相手を自分の手中に落とすのって楽しいだろう?」
やっぱ怖~からこの王子。
「これからはゆっくりお互いの距離を縮めて行こうと思うんだ」
こりゃ、何を言ってもダメだろうな。
「ソウデスカ」
私は半眼になりながら受け答えする。
「だからキャサリン嬢。協力してくれるだろう」
語尾の強さに威圧感半端ない。
「分かっていますわ」
これは下手な刺激は自身の身を滅ぼしかねないと悟った私は、エマがアリアだなんてとても怖くて言えなかった。
多分、ただでさえ鬼畜モードが入っているセドリックが、更に暴走する所を想像して口を紡ぐ。
触らぬ神に祟りなし。
「じゃあ、これからも宜しく頼む。ライアンとの件は明日にでも君の兄や公爵にも話をしてみよう」
セドリックはそう言うと通信を切った。
兎に角、セドリックからのルート逸脱は必須なのだから。
それから私は全力疾走でライアンとの婚約の為に父とあの兄達を説得したのは言うに難い。
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