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取り敢えずセドリック一択で7
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「前回はキャラ設定を重点的に内容を聞いたけれど、そもそもセカンドシーズンはどの様なストーリーなんですか?」
私は率直に尋ねる事にした。
「ストーリーですか?ファーストシーズンの続編で兎に角エロ重視って言うかエロしかない内容かな?正直、今の状態はファーストとセカンドどちらの要素も混じりあっていて、私でも今後の展開が予想出来ないのよ」
キャサリンは「本当に困った」と言うように一気に言い切る。
「参考までにエロ意外の本来の続編はどんな内容だったのか教えて欲しいのだけど」
尚も私はキャサリンにお願いすると、キャサリンは一つ大きな溜め息をつき何かを考える様に話し出す。
「アンと思い出の君との結婚式から話が始まる事は話たよね」
「うん」
「ストーリーってそんなにたいした事はないのよね。攻略対象は前回言った通りの設定だし、どのキャラも好感度を上げて各々のキャラとの濡れ場のスチルを幾度も経て話を進めて行くの。そう言えばセカンドはファーストであった『好感度』の他にも『執着度』がエンドに影響を与えているの。執着度は数値の他に色で状況判断するの。執着度の数字の色が緑なら良好、オレンジが普通、赤黒いと心が病んでいるのね。それによってグッドエンド・ノーマルエンド・バットエンドがあるんだけど、正直どのエンドもエロイの一点張り。複数エンドも同様で、ユーザーに媚びているとしか思えない位エロ満載なのよ」
「……」
何かさっきからキャサリンの口から『エロ』しか聞かない様な気がする。
「前回も言った様にエマにはセドリックをお薦めするわ。そして、他の攻略対象とのフラグが立たない内にグッドエンドを迎える展開にするべきね」
またしてもセドリックの一点押しのキャサリンに眉を寄せる。
丁度食事も終わったのでキャサリンが侍女を呼び、食器の片付けとお茶の準備を指示する。
数名の侍女がお茶の準備の為に下がって行き、後に残った一人の侍女がキャサリンに近づき何やら紙を見せた。
するとキャサリンは大きな溜め息をついて「少し野暮用が出来たから少しだけ席を外すわ。先にお茶にしていてね」と言い部屋を後にした。
公爵令嬢の野暮用とはいったい?
とは思うが早速侍女達によって並べられた美味しそうな紅茶とアップルパイの誘惑に負けた私は再び食事を堪能する。
流石三大公爵家で王太子婚約者筆頭を勝ち取るだけの力があるウエンダ公爵家の料理は絶品だった。
サクサクっとしたパイ生地に程よい食感のりんごが何とも言えない。
「凄く美味しい」
思わず笑みを浮かべながら食べる事に集中していた為に、後ろから近付く気配に気付かなかった。
「お褒め頂きありがとう。料理長も喜ぶと思うよ」
聞き覚えのある声に後ろを振り向けば、そこにはウエンダ公爵家の長子が立っていた。
「オーウェン・ウエンダ……」
顔が引きつるが仮面が隠してくれていた為にオーウェンは気付かず会話が進む。
「久し振りだねエマ嬢。先日はセドリック殿下との婚約おめでとう」
「ありがとうございます」
警戒した割には何の事ない社交辞令的な会話が始まりほっとした。
そんな私をオーウェンは目を細めて見ている。
「で。どうやって婚約者の座を射止めたのか聞きたいな」
「?」
いきなり本題ですか?
「この前まではセドリックから君を婚約者にするなんて微塵も感じられなかったからね」
当たり前である。
何せあの顔だったのだから。
「そうですね。私も突然殿下に申し込まれて驚いていた所ですわ」
営業スマイルで誤魔化す。
変なフラグはいらないからね。
「ふ~ん」
物言いた気な顔でオーウェンはエマを見下ろした。
「何か?」
怪訝さを含めてオーウェンを睨むが、あまり効果が見られない。
それどころか
「ねぇ。そう言えば何となく顔が小顔になった様な気がするんだけど、試しにその仮面取ってみない?」
と聞いてくる始末。
「だ……駄目です」
変なフラグはいらないとばかりに仮面に手を添える。
「何で?あの面食いのセドリックが選んだんだ。興味あるな~。なんせ、家のキャサリンでさえセドリックからしたらギリギリ及第点だと言うんだからね」
キャサリンが及第点?
か……辛口批評!!
「その仮面の下が気になるだろう?」
「気になりません。それに今までだって散々私の顔見ていますよね。今さら見る必要を感じませんわ」
本能的な危機を感じてしまい私は思わず仮面に手を添える。
「なら気にせず仮面を取りなよ。今まで散々見ている顔なんだから私も気にしないよ」
「私は気にしますよ。なんせこの仮面はセドリック殿下からの命令なので。約束を反故にした事がバレたらどんなお仕置きが待っているか分かったものではありません」
『あ~怖い怖い』とおどけて言って見るが、オーウェンは顎に手を当てながら思案している様子だ。
何を考える余地があるのか?
ここは『そうだね』と頷こうよ。
あんた一応セドリックの取り巻きでしょう?
そんな事を考えていると以心伝心でもしたのかオーウェンが「そうだね」と言ってきた。
私は思わずほっとしてしまう。
しかし、次に続く言葉が違った。
「君に対してセドリックがどんなお仕置きをするのか興味があるから仮面を外そうか」
「はい?」
今何と言いました?
もの凄く怖い事を言いましたよね。
「何を言っているんですの?それは明らかに殿下に対して不敬なのでは?」
冗談ではない。
自身の不義理ではない事でお仕置きされてなるものか。
「なに、仮面の一つや二つ。不敬にはならないよ」
「……」
私が言葉に詰まった一瞬でオーウェンは距離を詰めて来た。
反応の遅れた私はそれを回避しようと大きく仰け反りバランスを崩してしまう。
「危ない」
とオーウェンは私の手を引き思いっきり自身の方へと引く。
故に、これは不可抗力。
決して私は悪くない。
大きく踏み込んだ私の足がオーウェンの足を思いっきり踏んだのは。
「うっ……」
よりにもよって今日は踵のある靴。
「あっ。ごめん。オーウェン」
思わず素で謝ってしまう私にオーウェンは目を見開いた。
「もっ……」
「も?」
『も』何だ?
私は素っ頓狂な声を出す。
『も』って何だ?
「もっと踏んで下さい。エマ嬢」
「は?」
潤んだ瞳で見つめられると……。
って言うか。
仮面を着けたドレスの女性に踏まれて喜ぶ地位のある男性の図が頭を過り、身体が震えた。
主に精神的な意味で。
『オーウェンはSMプレイが好き』
キャサリンの言葉が脳裏に木霊した。
私は率直に尋ねる事にした。
「ストーリーですか?ファーストシーズンの続編で兎に角エロ重視って言うかエロしかない内容かな?正直、今の状態はファーストとセカンドどちらの要素も混じりあっていて、私でも今後の展開が予想出来ないのよ」
キャサリンは「本当に困った」と言うように一気に言い切る。
「参考までにエロ意外の本来の続編はどんな内容だったのか教えて欲しいのだけど」
尚も私はキャサリンにお願いすると、キャサリンは一つ大きな溜め息をつき何かを考える様に話し出す。
「アンと思い出の君との結婚式から話が始まる事は話たよね」
「うん」
「ストーリーってそんなにたいした事はないのよね。攻略対象は前回言った通りの設定だし、どのキャラも好感度を上げて各々のキャラとの濡れ場のスチルを幾度も経て話を進めて行くの。そう言えばセカンドはファーストであった『好感度』の他にも『執着度』がエンドに影響を与えているの。執着度は数値の他に色で状況判断するの。執着度の数字の色が緑なら良好、オレンジが普通、赤黒いと心が病んでいるのね。それによってグッドエンド・ノーマルエンド・バットエンドがあるんだけど、正直どのエンドもエロイの一点張り。複数エンドも同様で、ユーザーに媚びているとしか思えない位エロ満載なのよ」
「……」
何かさっきからキャサリンの口から『エロ』しか聞かない様な気がする。
「前回も言った様にエマにはセドリックをお薦めするわ。そして、他の攻略対象とのフラグが立たない内にグッドエンドを迎える展開にするべきね」
またしてもセドリックの一点押しのキャサリンに眉を寄せる。
丁度食事も終わったのでキャサリンが侍女を呼び、食器の片付けとお茶の準備を指示する。
数名の侍女がお茶の準備の為に下がって行き、後に残った一人の侍女がキャサリンに近づき何やら紙を見せた。
するとキャサリンは大きな溜め息をついて「少し野暮用が出来たから少しだけ席を外すわ。先にお茶にしていてね」と言い部屋を後にした。
公爵令嬢の野暮用とはいったい?
とは思うが早速侍女達によって並べられた美味しそうな紅茶とアップルパイの誘惑に負けた私は再び食事を堪能する。
流石三大公爵家で王太子婚約者筆頭を勝ち取るだけの力があるウエンダ公爵家の料理は絶品だった。
サクサクっとしたパイ生地に程よい食感のりんごが何とも言えない。
「凄く美味しい」
思わず笑みを浮かべながら食べる事に集中していた為に、後ろから近付く気配に気付かなかった。
「お褒め頂きありがとう。料理長も喜ぶと思うよ」
聞き覚えのある声に後ろを振り向けば、そこにはウエンダ公爵家の長子が立っていた。
「オーウェン・ウエンダ……」
顔が引きつるが仮面が隠してくれていた為にオーウェンは気付かず会話が進む。
「久し振りだねエマ嬢。先日はセドリック殿下との婚約おめでとう」
「ありがとうございます」
警戒した割には何の事ない社交辞令的な会話が始まりほっとした。
そんな私をオーウェンは目を細めて見ている。
「で。どうやって婚約者の座を射止めたのか聞きたいな」
「?」
いきなり本題ですか?
「この前まではセドリックから君を婚約者にするなんて微塵も感じられなかったからね」
当たり前である。
何せあの顔だったのだから。
「そうですね。私も突然殿下に申し込まれて驚いていた所ですわ」
営業スマイルで誤魔化す。
変なフラグはいらないからね。
「ふ~ん」
物言いた気な顔でオーウェンはエマを見下ろした。
「何か?」
怪訝さを含めてオーウェンを睨むが、あまり効果が見られない。
それどころか
「ねぇ。そう言えば何となく顔が小顔になった様な気がするんだけど、試しにその仮面取ってみない?」
と聞いてくる始末。
「だ……駄目です」
変なフラグはいらないとばかりに仮面に手を添える。
「何で?あの面食いのセドリックが選んだんだ。興味あるな~。なんせ、家のキャサリンでさえセドリックからしたらギリギリ及第点だと言うんだからね」
キャサリンが及第点?
か……辛口批評!!
「その仮面の下が気になるだろう?」
「気になりません。それに今までだって散々私の顔見ていますよね。今さら見る必要を感じませんわ」
本能的な危機を感じてしまい私は思わず仮面に手を添える。
「なら気にせず仮面を取りなよ。今まで散々見ている顔なんだから私も気にしないよ」
「私は気にしますよ。なんせこの仮面はセドリック殿下からの命令なので。約束を反故にした事がバレたらどんなお仕置きが待っているか分かったものではありません」
『あ~怖い怖い』とおどけて言って見るが、オーウェンは顎に手を当てながら思案している様子だ。
何を考える余地があるのか?
ここは『そうだね』と頷こうよ。
あんた一応セドリックの取り巻きでしょう?
そんな事を考えていると以心伝心でもしたのかオーウェンが「そうだね」と言ってきた。
私は思わずほっとしてしまう。
しかし、次に続く言葉が違った。
「君に対してセドリックがどんなお仕置きをするのか興味があるから仮面を外そうか」
「はい?」
今何と言いました?
もの凄く怖い事を言いましたよね。
「何を言っているんですの?それは明らかに殿下に対して不敬なのでは?」
冗談ではない。
自身の不義理ではない事でお仕置きされてなるものか。
「なに、仮面の一つや二つ。不敬にはならないよ」
「……」
私が言葉に詰まった一瞬でオーウェンは距離を詰めて来た。
反応の遅れた私はそれを回避しようと大きく仰け反りバランスを崩してしまう。
「危ない」
とオーウェンは私の手を引き思いっきり自身の方へと引く。
故に、これは不可抗力。
決して私は悪くない。
大きく踏み込んだ私の足がオーウェンの足を思いっきり踏んだのは。
「うっ……」
よりにもよって今日は踵のある靴。
「あっ。ごめん。オーウェン」
思わず素で謝ってしまう私にオーウェンは目を見開いた。
「もっ……」
「も?」
『も』何だ?
私は素っ頓狂な声を出す。
『も』って何だ?
「もっと踏んで下さい。エマ嬢」
「は?」
潤んだ瞳で見つめられると……。
って言うか。
仮面を着けたドレスの女性に踏まれて喜ぶ地位のある男性の図が頭を過り、身体が震えた。
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