24 / 76
取り敢えずセドリック一択で4
しおりを挟む
その後アンは
「あまりお役にたてない私ですが……」
と涙腺崩壊気味になり、あれからなかなか落ち着かないアンをイヴァンに頼んで私は一人自室にて思案していた。
アンの腰に手を回したイヴァンの後ろ姿がやけに艶かしい。
まぁ、お兄様からしたら『棚からぼた餅』『瓢箪から駒』私からしたら『怪我の功名』と言う、正に嬉しい誤算が生じたのですが、兎に角兄には上手くやって欲しいものです。
正直言えばゲームでの印象にあるイヴァンは奥手だと思う。
アンもアンで自分の気持ちを打ち明けていないようだし、このまま傷心のアンを慰めながら……のムードで既成事実の一つや二つ作らないとあの二人はなかなか前進しない様にさえ思う。
イヴァンにセドリックの十分の一程度でも恋愛に対する行動力があればと思うんだよね。
そうしたら今頃はラブラブな二人のスチル見まくりだっただろうに……。
と、少々脱線しましたが、話はちょっと戻りアンが『混ざり者』とアリアは言っていた件です。
アンは魔力持ちとだけの認識だった。
でも、と思う。
アリアを見て契約さえしていないアンがその言葉を聞けると言う事は魔力云々だけではないのでは?と。
何故そう思うのかと言うと、本来の設定では聖霊と言葉を交わすと言う観点がこの世界にはないと言う事。
つまり魔力があっても『見える』とは限らない。
私達が魔法と呼んでいる事象は『魔力と等価交換で聖霊が引き起こしているもの』とゲームの中で解説されていた事。
つまり、見えなくても対価さえ支払っていれば魔法が使えると言う事だ。
そもそも、この『愛バラ』の世界はイレギュラーな事が多い。
主に私が原因で……。
それに何で私が前世で貯めていたアイテムがあんなに減っているのだろうか?
良く考えてみよう。
確かエマお嬢様との友情エンドを迎える為に好感度アップのアイテムを使っていた。
アイテム1個消費すると好感度5上がる仕組みで上限は999、それらをエマとイヴァンに使っていたはず。
それにしても使用したのは400個位だ、もっと残っているはず。
あっ、そこの貴方。
好感度をゲームの最初からカンストさせているのはズルだと思っているでしょう?
分かる。
分かるけど
でも、そこは折角あるアイテム。
使わない手はないと言うもの。
仕事をしつつのレベル上げに使う時間が惜しかった私としては本当に致し方なかったとだけ弁明させて欲しい。
そして、もしあの時に戻れるならば『そんな事せずに地道にやろう』と言ってやりたい。
そうしたらこんな事にはなっていないのだから……トホホ……
それにしても解せないのは好感度アップアイテムが今現在500個位しか残っていないと言う点だ。
単純に100個近い数が減っている。
何故に?
アイテムって自分で使わないと減らないんだよね。
どうも釈然としない。
もう一人で考えていても埒が明かない。
ここはキャサリンに相談してみよう。
「我ながら良い案だわ」
そう思い至った私はキャサリンへ明日の朝伺う旨の手紙をしたため早馬を走らせた。
それに対してキャサリンからは昼から用事があるので朝早めに来て欲しい事と、必ず仮面着用と書かれて来た。
自宅では仮面を着けていない為に、言われるまでその存在を忘れていた。
兎に角、これ以上他の攻略対象との接点が出来て変なフラグが立たない様に用心に越したことはない。
問題があるとすれば、自前の仮面は先日セドリックに夜会の時に貰ったこの一枚だけだと言う点だろうか?
正直普段用にはだいぶ派手で悪目立ちしそうだと言うのが本音で、もうこの際仮面なんて要らないのでは?とも考えてしまう。
でも、よくよく考えてみるとあの唯一の転生仲間のキャサリンが住んでいる家にはSMプレイ好きの変態(長男)とマダムキラーでメンヘラのヤバい男(次男)がいるのだ。
「地味な仮面が欲しいな」
色鮮やかな仮面を見ながらポツリと言葉が溢れてしまった。
そして、その夜は仮面を枕元に置いたまま眠りに落ちていったのだった。
☆☆☆☆☆☆☆
夢の中にセドリックが現れそっと抱き締めてくれた。
何だろうこの安心感は……。
「エマ折角の所有印を消すなんて酷いな」
いつもの色気を含んだ声に擽ったさを感じて思わず鼻を胸に擦りつけた。
何故かとても安心出来る匂いに顔がニヤケてしまう。
「可愛い」
そう呟くセドリックの唇が首筋に触れる。
「今度は気付かれない様に」
うなじから這うように舌先が下へと動くとチリッと熱い痛みが走る。
何ともリアルな夢だなぁと思いながら私は再び眠りにと落ちていった。
「早く18におなり。私の愛しい人」
シーンと静まる寝室に、誰ともなしに囁かれる声には確かな情欲が滲んでいた。
「あまりお役にたてない私ですが……」
と涙腺崩壊気味になり、あれからなかなか落ち着かないアンをイヴァンに頼んで私は一人自室にて思案していた。
アンの腰に手を回したイヴァンの後ろ姿がやけに艶かしい。
まぁ、お兄様からしたら『棚からぼた餅』『瓢箪から駒』私からしたら『怪我の功名』と言う、正に嬉しい誤算が生じたのですが、兎に角兄には上手くやって欲しいものです。
正直言えばゲームでの印象にあるイヴァンは奥手だと思う。
アンもアンで自分の気持ちを打ち明けていないようだし、このまま傷心のアンを慰めながら……のムードで既成事実の一つや二つ作らないとあの二人はなかなか前進しない様にさえ思う。
イヴァンにセドリックの十分の一程度でも恋愛に対する行動力があればと思うんだよね。
そうしたら今頃はラブラブな二人のスチル見まくりだっただろうに……。
と、少々脱線しましたが、話はちょっと戻りアンが『混ざり者』とアリアは言っていた件です。
アンは魔力持ちとだけの認識だった。
でも、と思う。
アリアを見て契約さえしていないアンがその言葉を聞けると言う事は魔力云々だけではないのでは?と。
何故そう思うのかと言うと、本来の設定では聖霊と言葉を交わすと言う観点がこの世界にはないと言う事。
つまり魔力があっても『見える』とは限らない。
私達が魔法と呼んでいる事象は『魔力と等価交換で聖霊が引き起こしているもの』とゲームの中で解説されていた事。
つまり、見えなくても対価さえ支払っていれば魔法が使えると言う事だ。
そもそも、この『愛バラ』の世界はイレギュラーな事が多い。
主に私が原因で……。
それに何で私が前世で貯めていたアイテムがあんなに減っているのだろうか?
良く考えてみよう。
確かエマお嬢様との友情エンドを迎える為に好感度アップのアイテムを使っていた。
アイテム1個消費すると好感度5上がる仕組みで上限は999、それらをエマとイヴァンに使っていたはず。
それにしても使用したのは400個位だ、もっと残っているはず。
あっ、そこの貴方。
好感度をゲームの最初からカンストさせているのはズルだと思っているでしょう?
分かる。
分かるけど
でも、そこは折角あるアイテム。
使わない手はないと言うもの。
仕事をしつつのレベル上げに使う時間が惜しかった私としては本当に致し方なかったとだけ弁明させて欲しい。
そして、もしあの時に戻れるならば『そんな事せずに地道にやろう』と言ってやりたい。
そうしたらこんな事にはなっていないのだから……トホホ……
それにしても解せないのは好感度アップアイテムが今現在500個位しか残っていないと言う点だ。
単純に100個近い数が減っている。
何故に?
アイテムって自分で使わないと減らないんだよね。
どうも釈然としない。
もう一人で考えていても埒が明かない。
ここはキャサリンに相談してみよう。
「我ながら良い案だわ」
そう思い至った私はキャサリンへ明日の朝伺う旨の手紙をしたため早馬を走らせた。
それに対してキャサリンからは昼から用事があるので朝早めに来て欲しい事と、必ず仮面着用と書かれて来た。
自宅では仮面を着けていない為に、言われるまでその存在を忘れていた。
兎に角、これ以上他の攻略対象との接点が出来て変なフラグが立たない様に用心に越したことはない。
問題があるとすれば、自前の仮面は先日セドリックに夜会の時に貰ったこの一枚だけだと言う点だろうか?
正直普段用にはだいぶ派手で悪目立ちしそうだと言うのが本音で、もうこの際仮面なんて要らないのでは?とも考えてしまう。
でも、よくよく考えてみるとあの唯一の転生仲間のキャサリンが住んでいる家にはSMプレイ好きの変態(長男)とマダムキラーでメンヘラのヤバい男(次男)がいるのだ。
「地味な仮面が欲しいな」
色鮮やかな仮面を見ながらポツリと言葉が溢れてしまった。
そして、その夜は仮面を枕元に置いたまま眠りに落ちていったのだった。
☆☆☆☆☆☆☆
夢の中にセドリックが現れそっと抱き締めてくれた。
何だろうこの安心感は……。
「エマ折角の所有印を消すなんて酷いな」
いつもの色気を含んだ声に擽ったさを感じて思わず鼻を胸に擦りつけた。
何故かとても安心出来る匂いに顔がニヤケてしまう。
「可愛い」
そう呟くセドリックの唇が首筋に触れる。
「今度は気付かれない様に」
うなじから這うように舌先が下へと動くとチリッと熱い痛みが走る。
何ともリアルな夢だなぁと思いながら私は再び眠りにと落ちていった。
「早く18におなり。私の愛しい人」
シーンと静まる寝室に、誰ともなしに囁かれる声には確かな情欲が滲んでいた。
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説



冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
隣の家に住むイクメンの正体は龍神様でした~社無しの神とちびっ子神使候補たち
鳴澤うた
キャラ文芸
失恋にストーカー。
心身ともにボロボロになった姉崎菜緒は、とうとう道端で倒れるように寝てしまって……。
悪夢にうなされる菜緒を夢の中で救ってくれたのはなんとお隣のイクメン、藤村辰巳だった。
辰巳と辰巳が世話する子供たちとなんだかんだと交流を深めていくけれど、子供たちはどこか不可思議だ。
それもそのはず、人の姿をとっているけれど辰巳も子供たちも人じゃない。
社を持たない龍神様とこれから神使となるため勉強中の動物たちだったのだ!
食に対し、こだわりの強い辰巳に神使候補の子供たちや見守っている神様たちはご不満で、今の現状を打破しようと菜緒を仲間に入れようと画策していて……
神様と作る二十四節気ごはんを召し上がれ!

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる