20 / 76
遺憾ながら婚約発表致します5
しおりを挟む
「ところでエマは私と同じ19歳でしたわよね」
キャサリンの突然の話題転換に私は思わず同意してしまう。
「はい」
今日が誕生日で19になったのだが、そこはセドリックには内緒である。
「殿下は知っておられるのですか?」
キャサリンの核心を突く質問に
「多分16歳だと思っているはずです。初めてこの姿であった日に兄が16歳だからと殿下に言ってましたので」
そう。
セドリックは今日が私の誕生日だなんて知らないだろうから……。
多分知っていたら今日会った時に大変な事になっていたと思う。
「そうですか。まぁ妥当な対策ですわね」
フムフムとキャサリンは頷く。
「どういう事ですか?」
兄も意味深な言動だった。
16という事に何か意味があるのだろうか?
「先程も言ったけれど、殿下ってやたら法だとかモラルだとかに拘るから」
またもや意味深である。
「あれでですか?この顔で会った瞬間に外でキスする様な方が?」
大体モラルからは既に逸している様な気がする。
「えっ!!はい?会った瞬間に?」
キャサリンは瞠目する。
「はい」
何をそんなに驚いているのだろうか?
そんな風に考えているとキャサリンは更に眉根を寄せる。
「おかしいわね……殿下とは自宅訪問、公園散策、王宮でのお茶会を経て好感度がある程度行ってから触れるだけの軽いキスが最初のはずですが」
何かを探る様にキャサリンはぼそぼそとセカンドシーズンの内容を呟く。
「は?軽いキス?あれで?大体いきなり三回もキスしてくるし、ディープなやつも……」
思わず本当の事を言ってしまい思わず手で口を塞ぐ。
「は?ディープなやつって?」
思わず言った事にキャサリンが食い付く。
「決まっているじゃない濃厚なあれですよ」
もう言ってしまったのだからと私も腹を括(くく)る。
「は?会ったその時に?いきなり?」
キャサリンは更に目を見開く。
「それを両親にばらされたくなければ婚約しろって……ばらしても責任を取ると両親に言うって」
思い出しても納得出来ないとバリに私は言う。
「はっ……。鬼畜もここまで来ると凄いわ。エマに逃げ道一個もないなんて感服するわね」
一瞬にしてキャサリンはエマに同情の念を抱いてしまう。
「それに、それから毎日の様に来てセクハラ三昧だし」
あの1ヶ月の日々が……と私は憔悴してしまう。
「でも一線は越えてはいないでしょう?」
やはりキャサリンは核心を突いて来る。
「はい」
「そこは貴女がまだ18……つまり成人になっていないと思っているからよ。でも、少し展開が早いのが気になるわね」
更にキャサリンは思案する。
何かがおかしいと。
「そんな……私どうしたら……」
ファーストシーズンでさえコンプリしていないのだ。
もうどうして良いかなんて分からない。
「何かイレギュラーな事があったとしか思えないわ。大体ファーストシーズンの内容だったのが何故急にセカンドシーズンになったのかと言う事よ。本来ファーストシーズンではアンがあの時出会った想い出の君がイヴァンじゃないかってずっと思っていて、色々調べていた時に偶然聖霊女王との約束の言葉を見つけるの。それをイヴァンに教えてイヴァンが聖霊女王と印を交わすんだけど「あっ」」
突然キャサリンの言葉にエマの声が重なる。
「私だ…」
「何?」
「聖霊女王と印を交わしたの私だわ」
「えっ?」
「何となく昔の記憶と想い出の君のスチルが重なって思わず」
「だからなんじゃ……。それに昔確かに貴女は行っているわよ。と言うか私も同席していたし、ほら例の間違った儀式に」
「えっ?どういう事?」
「エマは忘れちゃったんだね。確か私達が7歳位の時で攻略対象のジョセフを抜いた全員があの時揃っていたんだから。あの時もエマの可愛さに攻略対象皆メロメロでね。その後あの呪いのせいで天使が居なくなったと大騒ぎになったんだから」
キャサリンはどこか遠い目をしながら話す。
そう言えばお兄様がそんな事を言っていたような……。
「兎に角、逆ハー回避の為には殿下と結婚するのが一番よ。既に皆に婚約発表してしまったのだから」
「……」
「後、複数エンドもあるから他の攻略対象とあまりお近づきにならない方が良いからね」
「複数エンド……解ったわ」
私は唇を噛み締めながら低く答えるしかなかった。
「まぁ何かあったら相談にのるからね!」
キャサリンはそう言うとウインクして来た。
それからは普通に前世の女子トークを繰り広げセドリックが迎えに来るまでそれは続いた。
キャサリンの突然の話題転換に私は思わず同意してしまう。
「はい」
今日が誕生日で19になったのだが、そこはセドリックには内緒である。
「殿下は知っておられるのですか?」
キャサリンの核心を突く質問に
「多分16歳だと思っているはずです。初めてこの姿であった日に兄が16歳だからと殿下に言ってましたので」
そう。
セドリックは今日が私の誕生日だなんて知らないだろうから……。
多分知っていたら今日会った時に大変な事になっていたと思う。
「そうですか。まぁ妥当な対策ですわね」
フムフムとキャサリンは頷く。
「どういう事ですか?」
兄も意味深な言動だった。
16という事に何か意味があるのだろうか?
「先程も言ったけれど、殿下ってやたら法だとかモラルだとかに拘るから」
またもや意味深である。
「あれでですか?この顔で会った瞬間に外でキスする様な方が?」
大体モラルからは既に逸している様な気がする。
「えっ!!はい?会った瞬間に?」
キャサリンは瞠目する。
「はい」
何をそんなに驚いているのだろうか?
そんな風に考えているとキャサリンは更に眉根を寄せる。
「おかしいわね……殿下とは自宅訪問、公園散策、王宮でのお茶会を経て好感度がある程度行ってから触れるだけの軽いキスが最初のはずですが」
何かを探る様にキャサリンはぼそぼそとセカンドシーズンの内容を呟く。
「は?軽いキス?あれで?大体いきなり三回もキスしてくるし、ディープなやつも……」
思わず本当の事を言ってしまい思わず手で口を塞ぐ。
「は?ディープなやつって?」
思わず言った事にキャサリンが食い付く。
「決まっているじゃない濃厚なあれですよ」
もう言ってしまったのだからと私も腹を括(くく)る。
「は?会ったその時に?いきなり?」
キャサリンは更に目を見開く。
「それを両親にばらされたくなければ婚約しろって……ばらしても責任を取ると両親に言うって」
思い出しても納得出来ないとバリに私は言う。
「はっ……。鬼畜もここまで来ると凄いわ。エマに逃げ道一個もないなんて感服するわね」
一瞬にしてキャサリンはエマに同情の念を抱いてしまう。
「それに、それから毎日の様に来てセクハラ三昧だし」
あの1ヶ月の日々が……と私は憔悴してしまう。
「でも一線は越えてはいないでしょう?」
やはりキャサリンは核心を突いて来る。
「はい」
「そこは貴女がまだ18……つまり成人になっていないと思っているからよ。でも、少し展開が早いのが気になるわね」
更にキャサリンは思案する。
何かがおかしいと。
「そんな……私どうしたら……」
ファーストシーズンでさえコンプリしていないのだ。
もうどうして良いかなんて分からない。
「何かイレギュラーな事があったとしか思えないわ。大体ファーストシーズンの内容だったのが何故急にセカンドシーズンになったのかと言う事よ。本来ファーストシーズンではアンがあの時出会った想い出の君がイヴァンじゃないかってずっと思っていて、色々調べていた時に偶然聖霊女王との約束の言葉を見つけるの。それをイヴァンに教えてイヴァンが聖霊女王と印を交わすんだけど「あっ」」
突然キャサリンの言葉にエマの声が重なる。
「私だ…」
「何?」
「聖霊女王と印を交わしたの私だわ」
「えっ?」
「何となく昔の記憶と想い出の君のスチルが重なって思わず」
「だからなんじゃ……。それに昔確かに貴女は行っているわよ。と言うか私も同席していたし、ほら例の間違った儀式に」
「えっ?どういう事?」
「エマは忘れちゃったんだね。確か私達が7歳位の時で攻略対象のジョセフを抜いた全員があの時揃っていたんだから。あの時もエマの可愛さに攻略対象皆メロメロでね。その後あの呪いのせいで天使が居なくなったと大騒ぎになったんだから」
キャサリンはどこか遠い目をしながら話す。
そう言えばお兄様がそんな事を言っていたような……。
「兎に角、逆ハー回避の為には殿下と結婚するのが一番よ。既に皆に婚約発表してしまったのだから」
「……」
「後、複数エンドもあるから他の攻略対象とあまりお近づきにならない方が良いからね」
「複数エンド……解ったわ」
私は唇を噛み締めながら低く答えるしかなかった。
「まぁ何かあったら相談にのるからね!」
キャサリンはそう言うとウインクして来た。
それからは普通に前世の女子トークを繰り広げセドリックが迎えに来るまでそれは続いた。
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
和泉杏咲
恋愛
1度諦めたはずのもの。もしそれを手にしたら、失う時の方が怖いのです。
神様……私は彼を望んでも良いのですか?
もうすぐ40歳。
身長155cm、体重は88キロ。
数字だけで見れば末広がりで縁起が良い数字。
仕事はそれなりレベル。
友人もそれなりにいます。
美味しいものはそれなりに毎日食べます。
つまり私は、それなりに、幸せを感じられる生活を過ごしていました。
これまでは。
だから、これ以上の幸せは望んではダメだと思っていました。
もう、王子様は来ないだろうと諦めていました。
恋愛に結婚、出産。
それは私にとってはテレビや、映画のようなフィクションのお話だと思っていました。
だけど、運命は私に「彼」をくれました。
「俺は、そのままのお前が好きだ」
神様。 私は本当に、彼の手を取っても良いのでしょうか?
もし一度手に取ってしまったら、私はもう二度と戻れなくなってしまうのではないでしょうか?
彼を知らない頃の私に。
それが、とても……とても怖いのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる