愛バラ

麻生空

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遺憾ながら婚約発表致します5

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「ところでエマは私と同じ19歳でしたわよね」
キャサリンの突然の話題転換に私は思わず同意してしまう。
「はい」
今日が誕生日で19になったのだが、そこはセドリックには内緒である。
「殿下は知っておられるのですか?」
キャサリンの核心を突く質問に
「多分16歳だと思っているはずです。初めてこの姿であった日に兄が16歳だからと殿下に言ってましたので」

そう。
セドリックは今日が私の誕生日だなんて知らないだろうから……。
多分知っていたら今日会った時に大変な事になっていたと思う。

「そうですか。まぁ妥当な対策ですわね」
フムフムとキャサリンは頷く。
「どういう事ですか?」
兄も意味深な言動だった。
16という事に何か意味があるのだろうか?
「先程も言ったけれど、殿下ってやたら法だとかモラルだとかにこだわるから」
またもや意味深である。
「あれでですか?この顔で会った瞬間に外でキスする様な方が?」
大体モラルからは既に逸している様な気がする。
「えっ!!はい?会った瞬間に?」
キャサリンは瞠目どうもくする。
「はい」
何をそんなに驚いているのだろうか?
そんな風に考えているとキャサリンは更に眉根を寄せる。
「おかしいわね……殿下とは自宅訪問、公園散策、王宮でのお茶会を経て好感度がある程度行ってから触れるだけの軽いキスが最初のはずですが」
何かを探る様にキャサリンはぼそぼそとセカンドシーズンの内容を呟く。
「は?軽いキス?あれで?大体いきなり三回もキスしてくるし、ディープなやつも……」
思わず本当の事を言ってしまい思わず手で口をふさぐ。
「は?ディープなやつって?」
思わず言った事にキャサリンが食い付く。
「決まっているじゃない濃厚なあれですよ」
もう言ってしまったのだからと私も腹を括(くく)る。
「は?会ったその時に?いきなり?」
キャサリンは更に目を見開く。
「それを両親にばらされたくなければ婚約しろって……ばらしても責任を取ると両親に言うって」
思い出しても納得出来ないとバリに私は言う。
「はっ……。鬼畜もここまで来ると凄いわ。エマに逃げ道一個もないなんて感服するわね」
一瞬にしてキャサリンはエマに同情の念を抱いてしまう。
「それに、それから毎日の様に来てセクハラ三昧だし」
あの1ヶ月の日々が……と私は憔悴してしまう。
「でも一線は越えてはいないでしょう?」
やはりキャサリンは核心を突いて来る。
「はい」
「そこは貴女がまだ18……つまり成人になっていないと思っているからよ。でも、少し展開が早いのが気になるわね」
更にキャサリンは思案する。
何かがおかしいと。
「そんな……私どうしたら……」
ファーストシーズンでさえコンプリしていないのだ。
もうどうして良いかなんて分からない。

「何かイレギュラーな事があったとしか思えないわ。大体ファーストシーズンの内容だったのが何故急にセカンドシーズンになったのかと言う事よ。本来ファーストシーズンではアンがあの時出会った想い出の君がイヴァンじゃないかってずっと思っていて、色々調べていた時に偶然聖霊女王との約束の言葉を見つけるの。それをイヴァンに教えてイヴァンが聖霊女王と印を交わすんだけど「あっ」」
突然キャサリンの言葉にエマの声が重なる。

「私だ…」
「何?」
「聖霊女王と印を交わしたの私だわ」
「えっ?」
「何となく昔の記憶と想い出の君のスチルが重なって思わず」

「だからなんじゃ……。それに昔確かに貴女は行っているわよ。と言うか私も同席していたし、ほら例の間違った儀式に」
「えっ?どういう事?」
「エマは忘れちゃったんだね。確か私達が7歳位の時で攻略対象のジョセフを抜いた全員があの時揃っていたんだから。あの時もエマの可愛さに攻略対象皆メロメロでね。その後あの呪いのせいで天使が居なくなったと大騒ぎになったんだから」
キャサリンはどこか遠い目をしながら話す。
そう言えばお兄様がそんな事を言っていたような……。
「兎に角、逆ハー回避の為には殿下と結婚するのが一番よ。既に皆に婚約発表してしまったのだから」
「……」
「後、複数エンドもあるから他の攻略対象とあまりお近づきにならない方が良いからね」
「複数エンド……解ったわ」
私は唇を噛み締めながら低く答えるしかなかった。
「まぁ何かあったら相談にのるからね!」
キャサリンはそう言うとウインクして来た。
それからは普通に前世の女子トークを繰り広げセドリックが迎えに来るまでそれは続いた。

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