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王太子ルート回避出来ません5
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とうとう夜会が明日と差し迫った今日。
セドリックからドレスとアクセサリーが我が家に届いた。
こんなにギリギリになった原因は、5日前に再度採寸に来た仕立て屋さんがサイズの大幅な変更を余儀無くされたからだ。
多分主に胸。
何せ毎日いらっしゃる。
誰がって、あのお人ですよ。
全ての元凶の……詰まる所の諸悪の根源。
我ら兄妹の大一級警戒対象でもあるあの御仁。
本当に暇なのか?と本気で思う程に来たのだ。
思わず溜め息が出てしまう。
添えられたカードには
『私の愛しのエマへ
愛を込めて
貴女の愛の下僕セドリック・アイマロンより』
……ベシッ
思わずメッセージカードを投げ捨ててしまう。
何……この『愛の下僕』って。
寒い。
寒いわ。
プルプル戦慄いていると兄イヴァンが部屋へと入って来た。
「エマ今日の昼食だけど、庭で使用人と皆でちょっとしたパーティーをするから少しおめかししてお出で」
イヴァンはそう言うとポンポンと頭を撫でる。
涼しげな目元に睫毛が影を落とし……
キャーッ!!
何この美味しいスチル。
思わず身悶えてしまう。
そんな私を兄のイヴァンは残念な物を見るような目で見る。
侍女に手伝ってもらい、いつもより気合いを入れたドレスにしてもらう。
って、何故か侍女達が気合いを入れ過ぎた為にどう見ても夜会にでも行く様な服装になってしまった。
「今日はさすがにセドリックは来ないと思うから思いっきり楽しもうか」
未だ兄と私の間ではセドリックは大一級警戒対象なのだ。
何せあの美女線のセドリックだ、何時何時再びアンに秋波を送るか分からない為に未だ婚約もしていない兄は気が気ではない。
何となくだが、アンはきっと想い出の君である(確定)イヴァンルートに入っていると思う。
が、あの美女線の王太子が路線変えしてアンとルートに入る恐れだってまだあるのだ。
俗に言うゲーム補正とか強制力とか……。
兎に角色々イレギュラーな事があるのだからまだ油断は出来ない。
何せ、私に至っては会う度にセクハラして来る自称婚約者(既に両家とも承認しているから正式に婚約者なのだが)に辟易としているのだから。
「さぁエマ。お出で」
イヴァンはそう言うとさっと手を差し出す。
私はドキドキしつつその手に自身の手を乗せた。
手を引かれながら自室から兄にエスコートしてもらう。
実の兄だが、あの想い出の君と思うだけで私のテンションは急上昇ものだ。
バクバクとなる心臓を必死に押さえて兄と階下へと繋がる階段を降りる。
『やゃ……こんな身悶えもののスチルが展開しているのに、この目に納められないなんて何て勿体ないのか……』
そして気付く。
私はヒロインになりたいのではなく単にスチルを堪能したいのだと。
あくまでも傍観者として!!
気付いてしまうと、思うのは何故今手を引かれているのがアンではないのか?という事だ。
そう私はリア充とは程遠かったのだ。
『見れない!見れない!』と悶々としながらイヴァンに連れられ着いたのはあの虹の薔薇園。
既に皆集まっており薔薇園の門を潜ったとたん。
「エマお嬢様。お誕生日おめでとうございます」
と一斉にお祝いの言葉を言われ目を瞬かせてしまう。
「誕生日?」
思わず問うていた。
「1日早いけどね」
とイヴァンが複雑な笑みを称える。
前世の記憶が戻った為に忘れていたが、確かに明日の夜会は私の誕生日だった。
そう思っていると両親が目の前までやって来る。
正直滅茶苦茶眩しすぎて直視出来ない程の美男美女だ。
照れた振りをして下を向いて気持ちを落ち着かせる。
「「エマ19歳おめでとう」」
と両親からお祝いの言葉を贈られる。
『ん?19?』
顔を上げ両親を見た私は
「17になったのではないのですか?」
と問いかけていた。
その言葉に両親はキョトンとし、その脇で兄が盛大に頭を抱えていた。
なんなんでしょうか?
その反応は。
セドリックからドレスとアクセサリーが我が家に届いた。
こんなにギリギリになった原因は、5日前に再度採寸に来た仕立て屋さんがサイズの大幅な変更を余儀無くされたからだ。
多分主に胸。
何せ毎日いらっしゃる。
誰がって、あのお人ですよ。
全ての元凶の……詰まる所の諸悪の根源。
我ら兄妹の大一級警戒対象でもあるあの御仁。
本当に暇なのか?と本気で思う程に来たのだ。
思わず溜め息が出てしまう。
添えられたカードには
『私の愛しのエマへ
愛を込めて
貴女の愛の下僕セドリック・アイマロンより』
……ベシッ
思わずメッセージカードを投げ捨ててしまう。
何……この『愛の下僕』って。
寒い。
寒いわ。
プルプル戦慄いていると兄イヴァンが部屋へと入って来た。
「エマ今日の昼食だけど、庭で使用人と皆でちょっとしたパーティーをするから少しおめかししてお出で」
イヴァンはそう言うとポンポンと頭を撫でる。
涼しげな目元に睫毛が影を落とし……
キャーッ!!
何この美味しいスチル。
思わず身悶えてしまう。
そんな私を兄のイヴァンは残念な物を見るような目で見る。
侍女に手伝ってもらい、いつもより気合いを入れたドレスにしてもらう。
って、何故か侍女達が気合いを入れ過ぎた為にどう見ても夜会にでも行く様な服装になってしまった。
「今日はさすがにセドリックは来ないと思うから思いっきり楽しもうか」
未だ兄と私の間ではセドリックは大一級警戒対象なのだ。
何せあの美女線のセドリックだ、何時何時再びアンに秋波を送るか分からない為に未だ婚約もしていない兄は気が気ではない。
何となくだが、アンはきっと想い出の君である(確定)イヴァンルートに入っていると思う。
が、あの美女線の王太子が路線変えしてアンとルートに入る恐れだってまだあるのだ。
俗に言うゲーム補正とか強制力とか……。
兎に角色々イレギュラーな事があるのだからまだ油断は出来ない。
何せ、私に至っては会う度にセクハラして来る自称婚約者(既に両家とも承認しているから正式に婚約者なのだが)に辟易としているのだから。
「さぁエマ。お出で」
イヴァンはそう言うとさっと手を差し出す。
私はドキドキしつつその手に自身の手を乗せた。
手を引かれながら自室から兄にエスコートしてもらう。
実の兄だが、あの想い出の君と思うだけで私のテンションは急上昇ものだ。
バクバクとなる心臓を必死に押さえて兄と階下へと繋がる階段を降りる。
『やゃ……こんな身悶えもののスチルが展開しているのに、この目に納められないなんて何て勿体ないのか……』
そして気付く。
私はヒロインになりたいのではなく単にスチルを堪能したいのだと。
あくまでも傍観者として!!
気付いてしまうと、思うのは何故今手を引かれているのがアンではないのか?という事だ。
そう私はリア充とは程遠かったのだ。
『見れない!見れない!』と悶々としながらイヴァンに連れられ着いたのはあの虹の薔薇園。
既に皆集まっており薔薇園の門を潜ったとたん。
「エマお嬢様。お誕生日おめでとうございます」
と一斉にお祝いの言葉を言われ目を瞬かせてしまう。
「誕生日?」
思わず問うていた。
「1日早いけどね」
とイヴァンが複雑な笑みを称える。
前世の記憶が戻った為に忘れていたが、確かに明日の夜会は私の誕生日だった。
そう思っていると両親が目の前までやって来る。
正直滅茶苦茶眩しすぎて直視出来ない程の美男美女だ。
照れた振りをして下を向いて気持ちを落ち着かせる。
「「エマ19歳おめでとう」」
と両親からお祝いの言葉を贈られる。
『ん?19?』
顔を上げ両親を見た私は
「17になったのではないのですか?」
と問いかけていた。
その言葉に両親はキョトンとし、その脇で兄が盛大に頭を抱えていた。
なんなんでしょうか?
その反応は。
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