愛バラ

麻生空

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王太子ルート回避出来ません1

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有無を言わさずセドリックが私の両親に挨拶をして快く婚約を承諾された。

セドリックの話した内容が頭の中に木霊する。



「お嬢さんと先程庭で出会った時、私の伴侶はこの人しかいないと直感しました」

『昨日も会っているよね』

「彼女なしでは私は生きていけません。必ず幸せにしてみせます」

『嘘くさいから』

「彼女以外の女性なんて考えられません。私を憐れな男にならない様に、私と彼女の婚約を認めて頂きたいのです」

『何処の誰だよあんた』

と冷めた目で迫真の演技をするセドリックを見てしまった。
だってセドリックこいつは腹黒で鬼畜男なんだから。
絶対殊勝な心掛けなんてないんだから。
そう思っていると私の両親は
「エマはどうなんだ?」
と穏やかに問うて来た。
『勿論イヤです』
と言えたら良いのに。
しかし、今の私にはその選択肢は無かった。
言ったが最後、さっきのあれやこれをつまびらかに両親にばらされてしまい、結果的には無理矢理婚約者にされてしまう。
私は唇を噛み締め
「認めて下さるのなら」
としか言えなかった。

その時、私は悪魔に魂を売る思いだったのは言うまでもない。
いや、もうこの際魔が差したと言っても良いのかもしれない。
もし、この時に戻る事が出来たら私は自分自身にこう言うだろう。
「知られるは一時の恥だと」

セドリックの申し出を断らなかった私はあっと言う間に親公認の婚約者になってしまった。


そして、何故かご機嫌のセドリックによって私の自室へと雪崩れ込んだのだ。

「最後までしないから良いよね」
と甘い声で囁かれる。
「何が良いものですか!退いて下さい」
ベッドの上でセドリックに跨がれた形でキリッと睨んでも何の意味もない事なんて百も承知だ。
既にマウントポジションを取られた時点で敗因だったのは云わずもがな。
「そんな反抗的な所もそそるよね」
舌舐めずりするセドリックに『そう言えばこの人って鬼畜だった』と思い出す。
「昨日言っていた胸の件だけど、私に任せてくれないかな?18歳の誕生日には豊満な胸を約束するよ」
その意味する所を瞬時に思い付いた私は断固として拒否をする。
18と言ったら成人する年だ、つまり私達が結婚する時と言う事!?
「いらない世話です。それに私は三年後にはそれなりの胸になっているのでお構い無く」
断言してやれば
「君の言う三年より一年以上早く豊満な胸が手に入るんだよ。それなりではなく確実に豊満な胸が」
「豊満な胸を強調しないで下さい。それにあまり大きい胸は肩が凝るから嫌です」
きっぱりとお断り致します。
「私は好きだけどね。豊満な胸」
クスリとセドリックは笑いを漏らす。
「こう胸の谷間で色々出来るんだよ。気持ち良いだろうね」
身振り手振りで何を言うか。
「それは貴方だけでしょう。私には何のメリットもありませんから」
「メリット?」
セドリックが不思議な顔をする。
「ああ。すみません。『得』ですね。私には得になる事がありません」
しまった。
と、言い直すと
「やはり君って面白いね」
とセドリックが笑む。
「何処がですか?」
瞬時に言い返すと、セドリックの手が私の頬を撫でた。
「世の中の女性は自身の肉体美に固執すると言うのに……それを要らないと言う」
すっと唇をなぞられゾクリとした。
「余計なお世話です」
「それに昨日までの君と今日の君では美しさが違う。普通の令嬢ならその美貌でおごるだろうに、それさえない」
嫌々、充分堪能しておりますわよ。
想い出の君の妹ポジションを。

そんな事を考えているとセドリックが前開きワンピースのくるみボタンを難なく外していた。

しまった!
着やすいけど脱がせやすい服だった~!

と思ったが最後、慎ましい双丘がセドリックの前に差し出されていた。
「やっぱり小さいね」
そう言うとチュッと頂きに口付けて来る。
私の頭には「小さい」「小さい」とセドリックの言葉が木霊する。
「でも綺麗なピンク色で乳輪の大きさも丁度良い」
両の指で頂きをちょんと摘ままれると
「ひゃん」
と変な声が出てしまう。
「感度も良いようなので何よりだ。調教しがいがあるね」
クスクスととんでもない事を言う。
「イヤ。殿下止めて」
涙目でそう言えば
「セドリックと言って」
と胸に吸い付く。
「ん……やん……殿下……止めて」
再度懇願すると
「名前で呼んだらね」
と今度は両の手で胸を揉みしだく。
正直凄く手慣れた手の動きに身悶えしてしまう。
何……この人滅茶苦茶手つきが良いんですが、本当に王子?
いや……こいつ色々な女性をナンパしていたよね。
めっちゃプレイボーイじゃないの?
って……ややや……乳首吸わないでよ。
胸の先端を交互に吸われて摘ままれてキュンキュンしちゃう。
ヤバい。
何か下半身がムズムズして来た。

暫しの葛藤の後、私は泣く泣く「セドリック様お願い止めて」と潤んだ目で言ったら、セドリックは蕩ける様な笑顔でキスを落とした。

「約束だからね。今日はこれくらいで止めておくね」

今日はって……もう勘弁して下さい。
マジに思う。
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