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アンジェラ視点39
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シグルス様が部屋を退出すると、直ぐにマリーを呼んだ。
「この中身をお兄様に」
先程の銀のコップをマリーに差し出しながら、コップの表面に施された模様を軽くスライドさせる。
すると、コップの底が開き中には先程の液体が現れた。
正直に言えば、お義母様であるユーリア様がこれを置いていった夜に、コップを弄っていてこの細工に気付いた。
何故あの大人しそうなユーリア様がこんなゴテゴテしたデザインの銀のコップを嫁にプレゼントするのか?
それに、渡した時の話振り。
最初は「毒に気を付けなさい」位に思っていたけど、このコップの細工に気付いたら、これは私にシグルス様の悪事を掴めと言っているように思えた。
何の毒かは判らないが、銀に反応しない物だろう。
そして、それは飲み物に違いないと推測された。
故に、私は水分の摂取にとことん気を付けていた。
でも、どうやら答えは簡単に出るようだ。
「ここまで馬鹿で盲目だなんて……」
それでも、この答えにたどり着くまでに沢山の幼い命が消えたのは確かだ。
だって、気付かないだろう。
政略結婚とは言え自分の旦那が自らお茶を淹れて一緒に飲んでくれているお茶が、自分と旦那の大切な幼い命を脅かす物だなんて。
「お義母様の気持ち。判りましたわ。私があの悪魔に引導を渡してやります」
元より、私とキース様の赤ちゃんに手をかけようとする時点で死罪に値する。
「お兄様とも相談しなくては」
黒いオーラを出しながら私は微笑んだ。
どんな理由があるにしろ、絶対やってはいけない事があると言う事を判らせてやらなければ。
そして、私はビンの容器にその液体を移すと直ぐ様マリーに手渡しした。
そしてこの夜、密かに我々は動き出したのである。
「この中身をお兄様に」
先程の銀のコップをマリーに差し出しながら、コップの表面に施された模様を軽くスライドさせる。
すると、コップの底が開き中には先程の液体が現れた。
正直に言えば、お義母様であるユーリア様がこれを置いていった夜に、コップを弄っていてこの細工に気付いた。
何故あの大人しそうなユーリア様がこんなゴテゴテしたデザインの銀のコップを嫁にプレゼントするのか?
それに、渡した時の話振り。
最初は「毒に気を付けなさい」位に思っていたけど、このコップの細工に気付いたら、これは私にシグルス様の悪事を掴めと言っているように思えた。
何の毒かは判らないが、銀に反応しない物だろう。
そして、それは飲み物に違いないと推測された。
故に、私は水分の摂取にとことん気を付けていた。
でも、どうやら答えは簡単に出るようだ。
「ここまで馬鹿で盲目だなんて……」
それでも、この答えにたどり着くまでに沢山の幼い命が消えたのは確かだ。
だって、気付かないだろう。
政略結婚とは言え自分の旦那が自らお茶を淹れて一緒に飲んでくれているお茶が、自分と旦那の大切な幼い命を脅かす物だなんて。
「お義母様の気持ち。判りましたわ。私があの悪魔に引導を渡してやります」
元より、私とキース様の赤ちゃんに手をかけようとする時点で死罪に値する。
「お兄様とも相談しなくては」
黒いオーラを出しながら私は微笑んだ。
どんな理由があるにしろ、絶対やってはいけない事があると言う事を判らせてやらなければ。
そして、私はビンの容器にその液体を移すと直ぐ様マリーに手渡しした。
そしてこの夜、密かに我々は動き出したのである。
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