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アンジェラ視点38

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領地経営。

何て楽しいのかしら。

今現在館の執務室でセバスチャンとラルクと三人で事務仕事をしていた。

「思ったより子供達の評判は良かったようね」

例の幼虫の話だ。

何せ、害虫被害で食べる物がない。

今年の税金を免除した所で蓄えがなければ飢えるだけ。

「はい。子供達が食べているのを見た大人達も仕事の合間に幼虫を見つけるとおかずにと取っているようです」

「そう。それは良かったわ。これで食料と害虫駆除の両方の折り合いがとれたわね」

シグルド前公爵閣下には他の貴族とのお付き合いをお願いして、政務は私達が取り仕切っていた。
私の持参金で今年は乗り切れる。
まぁ、多少お釣りが来るくらいだ。
私が管理している領地もセバスチャンとラルクが見てくれるそうなので、これで安心してお産が出来る。

「ひとまず落ち着きましたね。お疲れ様です」
セバスチャンはそう言うとハーブティーを差し出す。
妊婦には飲んで良い茶とそうでない茶があるらしい。
故にだ。
「今日くらいはキース様も家に戻られれば良いのですが……」
「そうね」
実はあの夜からキース様は私を抱く事はなかった。
別に妻が妊娠中に浮気とかではない。

たまに帰って来ても、クタクタに帰って来ては泥沼のように寝る。

まぁ、お兄様の戴冠式やら何やらでお忙しいのでしょうけど。

一年を掛けて衣装やら会場やら招待状やらと色々と手配があるし、それに付随して主要な所へ根回しや訪問と帰らない日もある程だ。

まぁ、王太子妃が懐妊した為に本来夫婦で訪問する所をキース様が同行しているらしい。

私のお腹も大分大きくなり、来月にはお産する為に里帰りも計画している。

それと言うのもお義姉様が自分がお産する前の予行練習したいとか、変な事を言い出したからだ。

肩の力をほぐしながら執務室を後にすると、義父であるシグルス様が話し掛けて来た。

「里帰り出産をするとか……何時頃王宮へ戻られるのかな?」

人当たりの良い笑顔で私に話し掛けて来るシグルス様。

「お兄様から準備が出来次第と伺っておりますので、正確には……」

何せ、キース様に一度ご挨拶したいのだがなかなか会えない。

正直会いたいな……と思う。
だって最近会っていないのですもの。

「そうか。……そうだ、先日南国の珍しいお茶が手に入ったのだ、これからどうだろう?」

珍しくシグルス様からのお茶のお誘い。

「まぁ、楽しみですわ。あ……でも、一旦お部屋に行っても良いでしょうか?荷物が……」

そう言って手に抱えた荷物を見るとシグルス様はニコリと笑って
「では、部屋までお茶を運ばせよう」
と、提案したのだった。
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