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王太子視点6

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キースは王女の使いの侍女から、王女が呼んでいると声がかかった所から話始めた。

「部屋に通されてお茶を出されたんだが……何故か凄く良い匂いがして一気に飲んでしまったんだ」

良い匂いか……。  

キースの事だからきっとアンジェラを警戒していて当たり前なのだろうが『夜会前にアンジェラとお茶を楽しんだ』との報告もあった。

それで警戒心も薄かったのだろう。

「多分10分位してからだと思う。激しい性衝動が俺の体を熱くしたんだ。その時になってあれは媚薬だったのだと気付かされた」

10分で激しい性衝動……該当する媚薬は……。

「そこで初めて俺は王女にめられたと悟ったんだ。このままではあの王女おんなの思う壺だと思ったんだ。だからあの部屋から逃げたんだ。……なかなか体が言う事を聞かなかったけどね」

確かに、誰かに嵌められたんだろうけど……この場合物理的にアンジェラをめるのはキースの方になるな……。

私はテーブルを二回指で打つ。

「それで?逃げてあの部屋へ入ったのか?」

偶然改装の為に空き部屋扱いになっていた部屋へ?

「途中でアンに会ったんだ。それで、俺の様子がおかしいのに気付いてあの部屋へ誘導してくれたんだ」

「アン?」

「そう、アンなんだ。去年まで俺の所へお茶を出しに来ていていれたメイドなんだけど」

……アンジェラか……。

「実はちょっと気になっていた娘だったんだけど、去年ある日を境に突然来なくなっただろう?だからきっと結婚したんだと思っていたんだ。アルフレッドも彼女に会った事あるだろう?」

「そうだな」

私が母上に教えたんだ。

キース以外の貴族は気付いているし、王女がメイドの真似事をしているなど醜聞が悪いから……と。

「俺は結婚して来なくなったと思って凄く悔やんだ。三年もチャンスがあったのに自分は何をしていたのか……と」

 三年も通われて気付かないお前がおかしいよ。

「それで、まだメイドをしているなら結婚をしていないと思い、俺の思いを彼女に……???」

一瞬でキースの様子が変わる。

「どうした?」

「俺……好きだって言ったかな……愛しているって……思い出せない」

頭を抱えるキース。

不味いな……話題を変えよう。

「ところでキース。アンはどんな女性だい?」

「おしとやかで、気が利いていて、誰かと違ってしゃしゃりでなくて男を立てる。そんな女性かな」

まぁ、散々雄は立ったようだけどな。
しかし、これはそうとうこじれているな……。

「それに、俺に初めてをくれたんだ。きっと俺達は両思いなんだよ」

多分そこまでは両思いだっただろうけど、キースを置いてきぼりにしてアンジェラが逃げた時点で違うように思う。

本来なら一緒に朝を迎えて既成事実を突き付けて結婚に漕ぎ着けただろうに、それをしなかった。

もしかしたら、あまりにもの絶倫っぷりに100年の恋も冷めたか?

思わず先程見た部屋の様子が頭に甦った。

あの悪臭からすると丸1日はヤりっぱなしだな。

今頃アンジェラは死んだように眠っているだろう。

馬鹿な妹だ。

キースが絶倫っぽい事はキースの閨の先生を努めた婦人から良く聞いている。

そう言う意味では俺達は違う意味で兄弟だな。

俗に言う穴兄弟ってヤツだ。

そして、そんな絶倫男に媚薬?

自殺行為だろう。


さて……既に処女でないならアンジェラを何処かの王族へ嫁がせるのは無理だな。

やはりここはキースに責任を取って貰うのが定石じょうせきか?
それで面倒な外交やら何やらを振ってやれば良い。

さて、どうやって二人をまとめるか……。

キースののろけのような話を聞きながら私は思考にふけこんだ。
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