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王太子視点4
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まだ城に居た?
『まだ』?
つまり、夜会からずっと私の自宅に居たと言う事か!?
まさかの盲点だった。
何処にも居なかったキース。
影の者達はウイナルド公爵家の持ち家全てと、友人達、行った事のある倶楽部を全て探していたらしい。
それが、今朝アンジェラの侍女が洗濯場にアンジェラの服を持って現れた事で事態は急変。
改装の為に空き部屋となっていたはずの部屋を掃除するようメイドに手配があったと言う。
「アンジェラ様は既に自室に戻られておりました。何時戻ったのかは分かりません」
トレヴァーはとても言いにくそうに報告する。
確かに、気付いたら部屋に居たなどと王太子の影が報告する内容にしては稚拙すぎる。
「それと、先程客間が一室未だに使用中だった事が判明致しました。昨日の時点では改装の為に空き室扱いだったのですが……」
これまた言いにくそうに報告する。
「お前達、減俸で済むとは思っていないよな」
冷ややかな目でトレヴァーを見た。
「申し訳ございません」
90度の角度で頭を下げるトレヴァー。
「キース様が今現在ご使用しているのは確認出来ています。アンジェラ様も昨夜まで所在不明でしたので、もしやお二人は一緒に過ごされたものと推測されます」
頭を下げたままトレヴァーが報告する。
「『推測されます』だと?」
ガンと足を机に落としトレヴァーを見た。
「お前達は選りすぐりのエリート集団だよな。それで、今回のような案件もまともに報告出来ずによくも私の影などと名乗れるものだ」
辛辣に圧力を掛けてやるとトレヴァーは更に萎縮する。
「申し訳ございません。今後は今よりも精進するよう努めてまいります」
更に頭を下げるトレヴァー。
もう足に顔が着くのではないかと思う程だ。
「もう下がって良い」
私は机から足を下ろすと立ち上がる。
取り敢えずキースに話を聞けば全て解るはずだ。
ドアを開けるとトーラスが入って来る。
「殿下。お茶をお願いして来ました」
一仕事したとばかりにトーラスが報告して来る。
本当にこいつは計算以外がてんで駄目だ。
「ありがとう。悪いがちょっと出て来る。お茶を飲んで休憩していてくれ」
私はそれだけ言い残して部屋を後にした。
『まだ』?
つまり、夜会からずっと私の自宅に居たと言う事か!?
まさかの盲点だった。
何処にも居なかったキース。
影の者達はウイナルド公爵家の持ち家全てと、友人達、行った事のある倶楽部を全て探していたらしい。
それが、今朝アンジェラの侍女が洗濯場にアンジェラの服を持って現れた事で事態は急変。
改装の為に空き部屋となっていたはずの部屋を掃除するようメイドに手配があったと言う。
「アンジェラ様は既に自室に戻られておりました。何時戻ったのかは分かりません」
トレヴァーはとても言いにくそうに報告する。
確かに、気付いたら部屋に居たなどと王太子の影が報告する内容にしては稚拙すぎる。
「それと、先程客間が一室未だに使用中だった事が判明致しました。昨日の時点では改装の為に空き室扱いだったのですが……」
これまた言いにくそうに報告する。
「お前達、減俸で済むとは思っていないよな」
冷ややかな目でトレヴァーを見た。
「申し訳ございません」
90度の角度で頭を下げるトレヴァー。
「キース様が今現在ご使用しているのは確認出来ています。アンジェラ様も昨夜まで所在不明でしたので、もしやお二人は一緒に過ごされたものと推測されます」
頭を下げたままトレヴァーが報告する。
「『推測されます』だと?」
ガンと足を机に落としトレヴァーを見た。
「お前達は選りすぐりのエリート集団だよな。それで、今回のような案件もまともに報告出来ずによくも私の影などと名乗れるものだ」
辛辣に圧力を掛けてやるとトレヴァーは更に萎縮する。
「申し訳ございません。今後は今よりも精進するよう努めてまいります」
更に頭を下げるトレヴァー。
もう足に顔が着くのではないかと思う程だ。
「もう下がって良い」
私は机から足を下ろすと立ち上がる。
取り敢えずキースに話を聞けば全て解るはずだ。
ドアを開けるとトーラスが入って来る。
「殿下。お茶をお願いして来ました」
一仕事したとばかりにトーラスが報告して来る。
本当にこいつは計算以外がてんで駄目だ。
「ありがとう。悪いがちょっと出て来る。お茶を飲んで休憩していてくれ」
私はそれだけ言い残して部屋を後にした。
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