王女から逃げる為に頑張った結果

麻生空

文字の大きさ
上 下
27 / 86

キース視点10

しおりを挟む
昨夜散々犯やりまくったのに、起き掛けに三回も抜いてしまった。

それと言うのも、昨夜の情事が断片的な記憶があっても全てを覚えていない事実が悔しかったからだ。

ベッドを良く見れば、初めての証である血も混じっておりアンが初めてだった事は揺るぎのない事実。

その辺りの記憶も断片的だが、確かにあった。

接合部から漏れだした白濁に混じる朱を見て興奮したのは覚えている。

だからか……彼女との一夜を思い出すように繋がったのだ。

可愛いアンはあんな王女おんなとは違い俺に従順で甘く啼く。

「あぁ……キース様。もう無理……」

涙目で俺にしがみつく姿がたまらない。

あの横柄でつんけんした王女では決して見られないだろう姿。

可愛いアン。

俺のアン。

俺は三度目の交わりを終えるとその涙を吸い取るように目元へと口付けた。


例えアンが平民でも、俺は彼女と添い遂げる。

それで、もし父の怒りを買って廃嫡になろうと、王家の怒りを買って仕事を辞めさせられようと構わない。

だから、俺の気持ちに応えて欲しい。

そっと抱き締めて今ある幸福を確かめる。

柔らかい肢体はそれでも女性特有の魅力を秘めている。

「アン。もし俺が無一文になったとしても俺を慕ってくれるかい?」

もし、自分に何の価値もなくなっても添い遂げてくれるのだろうか?

それとも、やはり公爵家の嫡男だから体を許したのだろうか?

「私は家柄ではなくキース様だからこそ体を許したのです。もし、嫌われているのならこの事は良い思い出として生きて行こうかと……」

切なくそう言うアンががあまりにも可愛いくていじらし過ぎて思わず口付けてしまった。

「俺も、君が手に入るなら地位も何もいらない。君との温かな家庭を築く為に頑張るよ。例え今の仕事を辞める事になっても」

「本当に?今のお仕事が好きだったのではなくて?」

アンが俺を見ながら真剣に聞いて来る。

「馬鹿だな。君より優先すべき仕事などない」

仕事など、文官以外もあるだろう。

「一つ所に居られなくても?」

確かにあの王女の事だ、執拗に俺達を貶めようとするかもしれないな。
足がつかないように住む場所も色々移さなくては。


「勿論だ。いっその事、国外に行くのもありかもしれない」

そうだ。
国外なら追っては来れないだろう。


そう思いニコリと微笑めば、アンが嬉しそうに俺に抱きついて来た。

勿論理性の糸は簡単に外れたが……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

元彼にハメ婚させられちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
元彼にハメ婚させられちゃいました

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

はずれのわたしで、ごめんなさい。

ふまさ
恋愛
 姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。  婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。  こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。  そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

(R18)灰かぶり姫の公爵夫人の華麗なる変身

青空一夏
恋愛
Hotランキング16位までいった作品です。 レイラは灰色の髪と目の痩せぎすな背ばかり高い少女だった。 13歳になった日に、レイモンド公爵から突然、プロポーズされた。 その理由は奇妙なものだった。 幼い頃に飼っていたシャム猫に似ているから‥‥ レイラは社交界でもばかにされ、不釣り合いだと噂された。 せめて、旦那様に人間としてみてほしい! レイラは隣国にある寄宿舎付きの貴族学校に留学し、洗練された淑女を目指すのだった。 ☆マーク性描写あり、苦手な方はとばしてくださいませ。

処理中です...