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アンジェラ視点12

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軽く啄む唇が不意に離れた。

何故?


じっと私を見て微笑むキース様。



は……初めてだわ。

私は今だかつてないほどの衝撃を受けてしまった。

だって、だって、だってよ。

キース様を好きになってから15年。

片思いと分かってから12年。(嫌われているかもと思ってから)

キース様の追っかけ(ストーカー)になってから10年。

キース様から微笑まれる事なんて、ただの一度もなかった。

キース様の笑顔なんて、私は物陰からひっそりとキース様を見つめていた時に、たまに友人らしき方達と笑い合う姿しか見たことがない。(ほぼストーカー)

それが今はどうだろう。

キース様は私を真っ直ぐに見て(これも初めて)私に微笑まれている。

あの、私には氷の表情しかお見せにならないキース様が。

思わず感極まってしまいましたわ。

でも、まって。

私、今日はまだお風呂に入っていない。

つまり、体臭が……。

ヤバいわ。

「キース様…………いけません。こんなこと…………」

取り敢えずお風呂に……。

困ったようにそう言うと、キース様が私に悲痛な顔で懇願して来たのだ。
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