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キース視点2
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家に戻ると執事のセバスチャンが恭しく俺を迎えてくれた。
年齢不詳のこの男は、俺の小さい頃から少しも代わり映えしない。
奥さんと子供が居るらしいが、詳しいバックヤードが全然見えない。
「お帰りなさいませ。坊っちゃま。陛下からはどのようなご用件で?」
表情を替える事なくそう聞いて来るセバスチャンに俺はあからさまに嫌な顔をした。
「3日後の夜会で王女のエスコートを頼まれた」
嫌悪感を含ませながらそう答えるとセバスチャンは「そうですか」とだけ言う。
「服とか色々な手配があるだろうから、まぁその辺はお前に任せる。後は宜しく頼むよ」
あんな王女の為に自分が自ら動く必要もないだろう。
「畏まりました」
セバスチャンはそう言うと2階へと消える俺をその場で見送った。
☆☆☆☆☆☆☆
キース様が二階へ消えると急ぎベルを鳴らした。
侍従の一人が駆け寄ると急ぎアクセサリーの手配を頼んだ。
「王女殿下にキース様の瞳と同じ色のアクセサリーを明日中に届けるように手配を。それと、キース様のカフスやアクセサリーに王女殿下の瞳と同じ色の宝石を」
私はそれだけ指示を出すと急ぎ衣装部屋へと向かう。
3日後と急な夜会に王女殿下のエスコート。
新しく服を仕立てている時間がない。
ここは旦那様の御古をリメイクして……そう思い一着の服を掴むと侍女を呼び手直しを頼んだ。
これは旦那様が結婚式の時に着た逸品。
今も見劣りする訳がない。
「陛下も、もう少し早くお声を掛けて下されば」
新しく準備していた衣装では王女殿下のエスコートには見劣りしてしまうだろう。
何せ、3日後の夜会とは王女殿下の20歳の誕生日なのだから。
「坊っちゃまはあれほど王女殿下を嫌いな素振りをしておいて、本当は好きだったのですね。つまりツンデレ?」
ぼそりと呟き空を仰いだ。
これで王女殿下の婚約者が誰か、衆人の知る所になる。
「こうしてはおれません。急ぎ馬車の手配をして、晩餐前に閣下にこの事をお知らせせねば」
私は深いため息を吐きながら今度は馬小屋へと足を向けた。
こうしてキースは自分の知らないところで、自ら外堀を埋めてしまっているのだった。
年齢不詳のこの男は、俺の小さい頃から少しも代わり映えしない。
奥さんと子供が居るらしいが、詳しいバックヤードが全然見えない。
「お帰りなさいませ。坊っちゃま。陛下からはどのようなご用件で?」
表情を替える事なくそう聞いて来るセバスチャンに俺はあからさまに嫌な顔をした。
「3日後の夜会で王女のエスコートを頼まれた」
嫌悪感を含ませながらそう答えるとセバスチャンは「そうですか」とだけ言う。
「服とか色々な手配があるだろうから、まぁその辺はお前に任せる。後は宜しく頼むよ」
あんな王女の為に自分が自ら動く必要もないだろう。
「畏まりました」
セバスチャンはそう言うと2階へと消える俺をその場で見送った。
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キース様が二階へ消えると急ぎベルを鳴らした。
侍従の一人が駆け寄ると急ぎアクセサリーの手配を頼んだ。
「王女殿下にキース様の瞳と同じ色のアクセサリーを明日中に届けるように手配を。それと、キース様のカフスやアクセサリーに王女殿下の瞳と同じ色の宝石を」
私はそれだけ指示を出すと急ぎ衣装部屋へと向かう。
3日後と急な夜会に王女殿下のエスコート。
新しく服を仕立てている時間がない。
ここは旦那様の御古をリメイクして……そう思い一着の服を掴むと侍女を呼び手直しを頼んだ。
これは旦那様が結婚式の時に着た逸品。
今も見劣りする訳がない。
「陛下も、もう少し早くお声を掛けて下されば」
新しく準備していた衣装では王女殿下のエスコートには見劣りしてしまうだろう。
何せ、3日後の夜会とは王女殿下の20歳の誕生日なのだから。
「坊っちゃまはあれほど王女殿下を嫌いな素振りをしておいて、本当は好きだったのですね。つまりツンデレ?」
ぼそりと呟き空を仰いだ。
これで王女殿下の婚約者が誰か、衆人の知る所になる。
「こうしてはおれません。急ぎ馬車の手配をして、晩餐前に閣下にこの事をお知らせせねば」
私は深いため息を吐きながら今度は馬小屋へと足を向けた。
こうしてキースは自分の知らないところで、自ら外堀を埋めてしまっているのだった。
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