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侍女メアリー視点4
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メリッサ嬢は着替えが終わると寝室へ赴き食事を開始する。
「何か他に入り用な物はございませんか?」
そう尋ねれば
「別にないわ」
と素っ気なく言う。
私は食前酒ように置かれたワインを取り出しメリッサ嬢のグラスにそれを注いだ。
「一人だけ飲むのも嫌だから貴女も付き合ってよ」
そう言ってこられたので、ここはメリッサ嬢の言う通りにグラスに紫の液体を注ぎ「頂きます」と言ってグラスを傾ける。
勿論中身はジュースなのだが、メリッサ嬢は気付いていない様子。
公爵家の為にもメリッサ嬢の気持ちを確認すべく、更にメリッサ嬢へ酒を注ぐ。
何せ私達夫婦の職場なのだ、下手したら職を失う事になる。
それも夫婦二人同時に。
故に私は返杯とばかりにメリッサ嬢のグラスへ何度もなみなみとお酒を注いだ。
瓶を2本程召し上がった頃にメリッサ嬢の口が軽くなる。
「ねぇ。貴女なんて名前なの?」
気分良くそう尋ねて来る。
「メアリーと申します」
「メアリー?私と似た名前なのね。ご結婚はされているの?」
何となく質問攻めである。
「はい。子供も二人程。旦那はこの屋敷の執事をしております」
「えぇ。あの執事さんが?驚いたわ」
メリッサ嬢は予想通り気さくな方で、侍女の私との会話を楽しまれている。
「どんななれ初めだったの?」
年頃の乙女に良くある恋話にも積極的で目を輝かせながら聞いて来る。
「どちらもまだ見習いの頃からの付き合いで、何となくといいますか……仕事の事とか色々相談したり励まし合っている内に好きになっておりました」
「うっわ~良いよねそう言うほのぼのした恋愛って。憧れるな~」
女の私でも一瞬ドキリとする。
はにかんでそう言うメリッサ嬢を見て思ったのだが……これは素で人たらしになれると。
下手すると素顔で外を歩けない。
って言うか、美人メイクをしたら男達が群がるだろう。
其ほど危険な気がする。
「でもメリッサ様も坊……ケヴィン様を好きでこのお茶会(お見合い)にいらしたのでしょう?」
そう尋ねるとメリッサ嬢は思いっきり眉間にシワを寄せる。
あれ?
何か不味い事を聞いたかしら?
「私、こんな身体つきでしょう?昔からセクハラが酷くってね。正直女にだらしない人は嫌いなの」
一刀両断である。
「あっ。でも顔が嫌いな訳じゃないのよ。あの毎回女性を取っ替え引っ替えしている所が嫌なの」
一応公爵家の侍女相手に取り繕って貰えるのは嬉しいが、私も同意見です。
特に今日の坊っちゃんの行いはどう贔屓目に見ても誉められたものではない。
「我が家は侯爵家だけど、名ばかりで結構貧乏なの。このお茶会にも援助が欲しくって来たようなもの。兄には援助して貰えるコネの為なら愛人の一人や二人って言われたけど、あの下半身ユルユルが一人や二人で満足する?」
「ごもっともです」
私もそう思う。
「顔が好みでも、そこだけは譲れないのよ」
顔は好みなんだ。
「やっぱり結婚するなら私の事を愛してくれる人じゃないと、胸だけが好きってのはなしだと思うんだよ」
胸ですか……結構デカイよね……。
「セックスの道具にしか見ない下卑た男達の目が頭を掠めて……もう股間を踏んでやりたい位なの。だからお見合いがある度にブスメイクに磨きをかけたわ」
それで、昨日とは印象がこれ程違うのか……納得である。
確かに、其ほどまでに男性を拒否しているのであれば、昨夜の状況はメリッサ嬢にとって散々だったな。
処女も失ってしまったし。
そう思う。
食事も終わり食器をカートに乗せると
「今日はごゆっくりお休み下さい」
と言付けて部屋を後にした。
そして、その足で今の話の内容をお伝えすべく、公爵夫妻の部屋へと足を向けたのだった。
「何か他に入り用な物はございませんか?」
そう尋ねれば
「別にないわ」
と素っ気なく言う。
私は食前酒ように置かれたワインを取り出しメリッサ嬢のグラスにそれを注いだ。
「一人だけ飲むのも嫌だから貴女も付き合ってよ」
そう言ってこられたので、ここはメリッサ嬢の言う通りにグラスに紫の液体を注ぎ「頂きます」と言ってグラスを傾ける。
勿論中身はジュースなのだが、メリッサ嬢は気付いていない様子。
公爵家の為にもメリッサ嬢の気持ちを確認すべく、更にメリッサ嬢へ酒を注ぐ。
何せ私達夫婦の職場なのだ、下手したら職を失う事になる。
それも夫婦二人同時に。
故に私は返杯とばかりにメリッサ嬢のグラスへ何度もなみなみとお酒を注いだ。
瓶を2本程召し上がった頃にメリッサ嬢の口が軽くなる。
「ねぇ。貴女なんて名前なの?」
気分良くそう尋ねて来る。
「メアリーと申します」
「メアリー?私と似た名前なのね。ご結婚はされているの?」
何となく質問攻めである。
「はい。子供も二人程。旦那はこの屋敷の執事をしております」
「えぇ。あの執事さんが?驚いたわ」
メリッサ嬢は予想通り気さくな方で、侍女の私との会話を楽しまれている。
「どんななれ初めだったの?」
年頃の乙女に良くある恋話にも積極的で目を輝かせながら聞いて来る。
「どちらもまだ見習いの頃からの付き合いで、何となくといいますか……仕事の事とか色々相談したり励まし合っている内に好きになっておりました」
「うっわ~良いよねそう言うほのぼのした恋愛って。憧れるな~」
女の私でも一瞬ドキリとする。
はにかんでそう言うメリッサ嬢を見て思ったのだが……これは素で人たらしになれると。
下手すると素顔で外を歩けない。
って言うか、美人メイクをしたら男達が群がるだろう。
其ほど危険な気がする。
「でもメリッサ様も坊……ケヴィン様を好きでこのお茶会(お見合い)にいらしたのでしょう?」
そう尋ねるとメリッサ嬢は思いっきり眉間にシワを寄せる。
あれ?
何か不味い事を聞いたかしら?
「私、こんな身体つきでしょう?昔からセクハラが酷くってね。正直女にだらしない人は嫌いなの」
一刀両断である。
「あっ。でも顔が嫌いな訳じゃないのよ。あの毎回女性を取っ替え引っ替えしている所が嫌なの」
一応公爵家の侍女相手に取り繕って貰えるのは嬉しいが、私も同意見です。
特に今日の坊っちゃんの行いはどう贔屓目に見ても誉められたものではない。
「我が家は侯爵家だけど、名ばかりで結構貧乏なの。このお茶会にも援助が欲しくって来たようなもの。兄には援助して貰えるコネの為なら愛人の一人や二人って言われたけど、あの下半身ユルユルが一人や二人で満足する?」
「ごもっともです」
私もそう思う。
「顔が好みでも、そこだけは譲れないのよ」
顔は好みなんだ。
「やっぱり結婚するなら私の事を愛してくれる人じゃないと、胸だけが好きってのはなしだと思うんだよ」
胸ですか……結構デカイよね……。
「セックスの道具にしか見ない下卑た男達の目が頭を掠めて……もう股間を踏んでやりたい位なの。だからお見合いがある度にブスメイクに磨きをかけたわ」
それで、昨日とは印象がこれ程違うのか……納得である。
確かに、其ほどまでに男性を拒否しているのであれば、昨夜の状況はメリッサ嬢にとって散々だったな。
処女も失ってしまったし。
そう思う。
食事も終わり食器をカートに乗せると
「今日はごゆっくりお休み下さい」
と言付けて部屋を後にした。
そして、その足で今の話の内容をお伝えすべく、公爵夫妻の部屋へと足を向けたのだった。
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